夜明け、そして
「シノブ起きろ‼️朝だぞ。飯の支度も出来ている、早く起きろ‼️」
朝からやけにうるさい声に起こされ、眠気眼を擦りながら上半身を起こし、周りを確認する。
シアが扉から顔を出しこちらを睨んでいる。
「ようやく起きたか。下で飯の支度が出来ている、直ぐに来いよ。」
そう言うとシアは扉を閉めてどこかへ歩いて行ってしまったようだ。
やはり、夢オチではなかったか。自分の服装を見ると昨日と同じライダースーツだった。当たり前だスーツのまま寝てしまったのだから。
周りを見るとこの村の人達が着ていた服らしきものが置いてあった。
「用意してくれてたのかな?まあ、有難い。」
早速着替えて下の部屋へ行く。俺に宛がわれた部屋は二階だった。
昨日村長と話した部屋に入ると村長とシアがテーブルを囲んでいる椅子に座り何やら話している。
「お早う御座います。」
一声掛ける。
「昨日はよく眠れたようじゃな。」
「はい。お陰様でぐっすりでした。」
「そうであろうの。あの部屋には密偵を付けていたが朝方文句三昧で帰って行ったわ。あんな奴に何故密偵を付ける必要がある、とな。」
「密偵⁉️」
「まあ、我らも念のためじゃ。気を悪くせんでくれ。」
まるで気付かなかった。下手すると昨日で俺は死んでいたのか。
まあ、これで黄狼族の警戒が緩めば結果オーライか?
「取り敢えず、顔でも洗ってきたらどうじゃ?そしたら飯じゃ。井戸は裏庭じゃ、シア案内してやってくれ。」
「分かった。こっちだ付いて来い。」
井戸で水を汲み早速顔を洗った。くーーーー!サッパリする。
その後、再度二人が待つ部屋に入るとテーブルには既に料理が並んでいた。サラダとスープそしてデカイステーキ。やはり獣人は肉がメインか?
「では、食べるとするかの。」
俺が席に付いたのを確認すると村長の言葉を合図に食事が始まる。
味の方は不可ではないが可以上はないと言う感じだ。基本的に味付けは塩のみ。旨い訳がない。・・・我慢しよう。
「ところで、服を用意して頂き有難う御座います。」
食事中村長に話し掛ける。
「何、構わんよ。むしろあんな格好で村を歩かれる方が厄介じゃ。」
確かにライダースーツでは目立ってしょうがない。只でさえ人族は俺1人なのに・・・
「ところでお主の今日の予定じゃが、シアと魔法の基礎を学んでくれ。聞くところによるとお主はすでに中級火魔法を使えるらしいからの、魔法の才能はありそうじゃ。」
食事が終わり、一息ついたところで村長が切り出した。
「分かりました。」
こちらとしても生き残る為には強さが欲しい。今はギブアンドテイクで協力しよう。
「では、少し休憩したら呼びに行く。」
シアがそう言い残し部屋から出ていく。俺もこちらにきてから持ち物の確認が出来ていない事に気付く。
「では、俺も少し休ませて貰います。」
そう言い残し部屋を出て自分に宛がわれた部屋へ向かう。
部屋に入り、持っていたウエストバックの中を確認する。
財布、スマホ、充電器、ボールペン、携帯食、デジカメ。無くなっているものはないな。
スマホの充電は・・・とスマホの黒い画面を見た瞬間、いやスマホに映っている自分を見た瞬間、
「はあああああー!」
間抜けな声を大音量で叫んでしまった。
「若返ってい!?」
そう、そこに映っていたのは17歳頃の自分だった。
確認のため自撮り機能で自分の顔を写してみたが、やはり若返っていた。
「何でだ?これも異世界転移の影響か?」
そんな独り言を喋っているとドタドタと廊下を走る音が聞こえる。
「どうした?」
シアが突然部屋に入ってきた。
「いや、顔が・・・」
っとそこまで喋って冷静になる。シアに若返っていると言ったところでどうにかなる訳でもなし。
「顔のキズが治っているなと思って、つい大声を出してしまった。」
そう。確かに顔のキズや首のキズが治っているのも事実だ。そんなに早く治るキズでもないはずなのだが。腕の痛みもかなり和らいでいる。
「その程度のキズ夜寝れば治るだろ。何を言っているのだ?」
え・・・?この世界ってそうなの?
「いや、すまん。こんなに早く治ったのは初めてでな。つい大声を出してしまった。騒がせて申し訳ない。」
「なんだ、そうか。ところでもう準備は良いか?良ければ行くぞ。」
「ああ、分かった、行こう。」
この先、この常識の差は苦労しそうだ。そう考えながらシアの後を追って部屋を出ていった。
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ここまで読んで頂き有難う御座います。
正直中々話が進まず自分の文才の無さが嫌になります。
今後もう少しスピーディーに話を進めようと思います。
今後ともよろしくお願いします。