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村へ到着

 林を抜けしばらく歩くと、村らしき建物や農地、柵等が見えてくる。


 シアは走り門番らしき者達の元へ行く。こちらを指差しながらなにやら話しているので俺の説明をしてくれているのだろう。


 俺もようやく門番のところにたどり着く。


「甲斐忍です。よろしくお願いします。」

「ああ、先程シア様から聞いた、中に入っていいぞ。」


 許可は貰ったが門番の人は機嫌が悪そうだ。シアが余計な説明してなければいいけど・・・。


 村の家は木造の平屋。村を囲っている柵も木造で1メートル程度の高さしかない。これは確かに魔物が跋扈する土地での防衛ではないな。


「一番奥の大きな家が村長の家だ。」


 確かに唯一の二階建てだ。その隣は病院か?怪我をした人が出たり入ったりしている。

 それにしても村人全員が垂れ耳、尻尾付き。服装はおおよそシアと同じで違いは男はパンツ、女はスカート程度の違いだろうか。先程の門番の人は皮の鎧を装備していたな。個人的には何のコスプレパーティーだと突っ込みたい。

 しかもみんな此方を見ながらヒソヒソ話。やはりこの村では人族がいないから珍しいのか?

 いや、俺の服装か・・・、ライダースーツだもんな。


 シアに続き俺も村長の家に入っていく。


「村長帰ったぞ。」


 シアが家中に聞こえるように声のボリュームを上げる。倉庫らしき部屋に入っていく。真新しい大きな葉の上に肉を起き包んでいく。成程、防腐処理のようだ。俺も見習い同じように包む。

 倉庫から出て、玄関から二つ目の扉を開いたところで机に向かい合い男性二人で話ていたところに出くわす。当然垂れ耳、尻尾付きだ。


「おお、シア、帰ったか。ん、その人族は誰じゃ?」


 明らかに俺を見た瞬間態度が変わった。

 この人が村長のようだ。想像通り眉毛が白く伸び、腰も曲がっていて如何にもな感じが満載だ。

 服装は村人と違い、ローブを羽織り杖を椅子の脇に置いている。もう1人は金属の鎧を纏いいかにも軍人という格好だ。


「村長聞いてくれ、この人は甲斐忍。希人かもしれない人だ。私の命の恩人だ。」

「甲斐忍です。よろしくお願いします。」


 シアの説明の後に挨拶する。


「希人だと。ふん、怪しいものだ。」


 村長と話していた人が割って入る。誰だ?


「ダンザ落ち着け。」

「しかし」

「これから説明してくれるのであろう、シア。」

「はい。」


 シアが応える。村長と話していた人はダンザと言うらしい。


「その前に、ワシはこの黄狼族村の村長、ゼル・ウルフと言う。よろしくな客人よ。」

「我はこの村の防衛隊長のダンザ・ウルフだ。」


 村長とダンザが挨拶してくれる。決して友好的な態度とは言えない。


「して、シアよ説明を頼むぞ。」

「分かりました。」


 その後、シアが俺と合ってから村に着くまでの話を始めた。シアは楽しそうに話しそれが気に入らないのか、話を聞いている間ダンザは更に機嫌を悪くしていく。


「ふむ、話は分かった。確かにシアの命の恩人のようだの。」

「で、客人よ、何故林の中なんぞにおった?あそこは奥に入ればそれなりに強い魔物もおおいはずじゃが。」


 そこで、今までの経緯を正直に話す事にした。真実でないと乗り切れないと感じたからだ。


「ふむ、俄かには信じられんな。本当に希人ならばあるいは・・・」

「村長!」

「落ち着けと言うておるじゃろ。」


 村長がダンザを叱責する。


「我ら黄狼族は恩に酬いねばならん。そういう意味でも数日村に滞在してもらおう。その間にシノブと言ったか、この者の思惑や実力も分かると言うもの。」

「しかし、」

「お主もこのままでは村の防衛はいずれ崩壊するのは分かっておるじゃろ。ならばここは大人しくしておれ。」


 村長とダンザの話はこれで終わりのようだ。


「それでどうかな?客人よ。試すようで悪いが我らも過去に人族に酷い目にあっていてな。あまり人族を良く思っていないのが大多数だ。分かって欲しい。」

「具体的には何をすれば良いので?」

「シアから聞いているとは思うが、我が村は魔物の襲撃に悩んでおる。若い戦士も怪我が多く防衛から外れる者が多い。そこでお主に防衛に加わって貰いたい。」

「戦力になるか分かりませんよ。魔法もさっき覚えた一つのみですし。」

「魔法はシアが一番詳しいが多くは望めまい。しかし、基本くらいは習得できるはずじゃ。」


 村長が続ける。


「剣や槍などの武術は冒険者ギルドのゴザが良いだろう。そこで鍛えるが良い。戦力になると分かれば防衛に加わって貰う。ダメならその時考えよう。」


 ダンザは怒りでプルプル震えている。


「分かりました。こちらに大きなデメリットは今のところないようですのでそれでオーケーですよ。」


 本当はデメリットもそれなりにある。しかし、それを今言ってこちらに不利な状況を作る必要もない。


「ふむ、では今日は解散としよう。客人はこの家に泊まると良い。客間が空いているはずじゃ。」

「村長、それは駄目だ。シア様と同じ屋根の下など認められるわけあるまい。」


 ダンザが眉間に皺を寄せながら叫ぶ。

 え、今同じ屋根の下っていった?ひょっとしたら・・・


「村長、シアはひょっとして村長の家族ですか?」

「うむ、孫じゃな。」


 村人から様付けで呼ばれているから、ひょっとしたらと思っていたが、本当に偉い人だったようだ。


「じゃあ、次期村長ですか?」

「シアの旦那になる人物が次期村長じゃな。」

「では、その人はまだ決まっていないのですね。」

「そうなるの。」

「分かりました。」


 余り関わらないほうが良いか⁉️偉い人に関わると録な事にならないのだよな。


「ところでダンザ、ワシの決定に不服があるようじゃの?」

「いえ、不服がある訳では。ただシア様の御身を心配しただけで・・・」

「それは余計な心配じゃ。シアに手を出す程バカではあるまい。

 今日はもう解散じゃ。ワシも疲れた。」


 村長の鶴の一言でその場は解散となった。シアの案内で客間に入り、ベットにダイブする。


「とんでもない1日だった・・・」


 独り言をぼやく。既に時は日暮れ、初の経験ばかりで疲れがたまっていたのか直ぐに眠気がやってくる。


「起きたら夢だった、何てことないかな・・・」


 そう言いながら眠りに堕ちていった。



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 ここまで読んで頂き有難う御座います。

 ようやく1日目が終わりました。

 これ大丈夫かと心配になります。





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