魔法の勉強をする
魔法書を父さんにもらってから三日が経った。
俺は夢中で魔法書を読みふけっていた。
魔法書には、呪文以外にも魔法そのものに関して記述している項目もあった。
これは俺も是非知りたかった情報なので何度も何度も読み返した。
記述によると、この世界に満ちている魔力に、魔法言語で働きかけることで超常的な現象を引き起こすことを『魔術』といい、その仕組のことを『魔法』と呼ぶらしい。
そのため、魔術を用いるためには必ず魔法言語を用いなければならないのだという。
魔力は魔法言語……つまり日本語以外には反応せず、そのため魔術が発動することはないという。
日本語マジすげーって思った。
さらに読み進めていくと、こんなことも書いてあった。
魔法言語とはいえ、『言語』なのだから言葉には意味が込められている。この『意味』を理解しないまま魔法言語を唱えても、その場合は魔力に働きかけることができないのだという。
なるほど、日本語ペラペラで言葉の意味を把握している俺がいきなり魔法を使えたのも納得だった。
また、魔法言語の発音や言い回しが多少おかしくても、言葉や文脈のおおまかなイメージを掴めていれば魔術を発動させることができる。
その場合、当然のことながら威力や効果は落ちるみたいだが。
例として例えると、『太陽よ!』と唱えることで、照明を灯す魔術を使えたりするらしい。
どちらも『明かり』や『光』という共通したイメージが存在するため、魔術として発動することができるわけだ。
だがこの場合、物凄く肌が焼けることになるらしい。まあ、これで生まれた照明は紫外線が強そうだから当然のことだと思う。
魔法書をさらに読み進めていくと、今度は魔術の発動する仕組みについて書かれていた。
魔法が発動する仕組みとしては三つのパターンが紹介されている。
まずひとつは、周囲の空気に含まれている魔力に魔法言語をぶつけて反応させることで魔術を用いる方法。
これは自分の魔力を使わないため、魔力を消耗しないのだという。その代わり細かい威力や効果の調整ができないため、的確な発音やしっかりとしたイメージが必要になるという。
発音が間違っていたり、イメージが曖昧だったりすると、上手く使えないらしい。さらにはその場の魔力の濃さに左右されやすいため、安定感に欠ける方法だろう。
次に、自分の魔力を魔法言語に込めて呪文を唱えることで魔術を行使する場合だ。
この場合、自分の魔力を使っているため威力や効力の細かい調整ができる。そのため安定感は、周囲の魔力を利用するのとは比べ物にならない。
しかし、当然のことながら自分の魔力を消耗するため、それに伴い体力も消耗するようだ。
また、魔力を感知する力がなければ魔力を操ることもできない。おまけに魔力には底があるため、魔力を使いきってしまえばそれ以上魔術を行使することができない。
最後の一つは、いわばハイブリッド法みたいなものだ。
周囲の魔力を一度自分の中に取り込み、その魔力を魔法言語に練り込むことで魔術を発動する。
このやり方なら体力や魔力の消耗も少なく、その場に漂う魔力の濃さに左右されにくくもなり、また魔術の微妙なコントロールも可能だという。
だが当然のことながら、魔力を感知できない俺には夢のような話である。
なので当面は、魔力を感知することができるようになるのが目標だ。
他にも、魔力量の鍛え方なんかについても書いてあった。
その方法は……魔術を使って使って使いまくること。こうやって抜き出して書くと、まるで筋トレみたいだな。
また、最初は魔力を感知できなくても、魔術を何度も使っていれば次第に魔法言語が魔力と反応する感覚に慣れ感知することができるようになってくるらしい。
このことから、魔術を使いまくることは、魔力量を増やす意味でも、魔力を感知できるようになるためにも、非常に重要だということが分かった。
分かったからには、やらねばなるまい。
とにかく、魔術を使って使って使いまくる。
魔術の腕を磨きたいなら、それが今の俺にできる最善だろう。
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