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異世界の魔法言語がどう見ても日本語だった件  作者: トラ子猫
第二章:冒険者編(少年編)
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竜の群れを殲滅する

 竜種は基本的に上級以上の個体しかないと言われる。


 だが、ウッドドラゴンはその上級個体の中でも単体辺りの危険度は低いほうである。


 しかし、だからといってこいつらの脅威が低いというわけではない。そもそもが弱いほうとはいえ上級個体。おまけにこいつらは基本的に十匹から数十匹の群れを作り人を襲う。


 複数で襲い掛かってくる上級個体である上に、神出鬼没というわけだ。最上級個体を相手にする時以上の脅威がこいつらにはある。


 ……以上、カリウスさんからの受け売りでした。ちなみに俺の魔力感知にも引っかからなかったことから、隠密能力も相当高いらしい。


 割と結構な『化物』が、なんで上級程度の扱いなんだろうな……。


「チッ」


 四方八方から俺とメイファンを餌食にしようと、ウッドドラゴンの頭が迫ってくる。がばりと開かれた大顎は、俺達のような子どもなら容易に飲み込めそうなぐらいに大きかった。


「舌を噛むなよメイファン!」


「へ? ……きゃぅっ」


 とっさにメイファンを抱きかかえて飛び退ると、彼女は可愛らしい悲鳴を上げた。……もっとも、そんなものに構っている余裕などないのだが。


 強化された脚力で空中に舞い上がった俺達に、ウッドドラゴンの第二陣が迫ってくる。


「ダメ、こっちにも魔物が!」


 色を失った様子のメイファンが悲鳴じみた声を上げた。


「心配すんなって。『背中に翼を!』」


 即席の言葉を唱えると、魔力が俺の背中で翼を形作り俺に飛翔能力を与える。その力を使って第二陣の攻撃を掻い潜り、ウッドドラゴン達の遥か上空へと俺達は抜けた。


 飛行能力のないウッドドラゴンは、高みから見下ろす俺達を追ってくることができない。うねうねとその身をくねらせて、恨めしそうな咆哮を上げるばかりだ。


 その数、多分五十匹近い。人間二人で腹が膨れるのだろうか。


 ……ま、俺じゃなかったら第二陣で死んでただろうなあ。空を翔べる人間なんてそこら辺にいるもんでもないだろうし。


 腕の中では、メイファンがぽかんとした顔で俺の顔を見上げていた。


「じぇ、ジェラルドさん……今の、え、これって一体?」


「俺は魔術師だからな。これぐらいのことはできる」


「……凄いデタラメに聞こえるのはなんでですか?」


 実際にデタラメだからだと思う。普通の魔術師なら、ここまで好き勝手に魔術を濫用できないだろうし。


「まあ、助かったんだから細けえこたあいいんだよ」


「こ、細かいこと……なんですか?」


「俺にとってはな。……っと、いつまでもここでのんびりおしゃべりってわけにはいかなさそうだな」


 気づけば下では、ウッドドラゴン達が口を大きく開いてこちらへ向けていた。その口の中で生まれつつあるのは、目にも眩しい光の球だ。


 ……なんだか嫌な予感がする。だって、森で、木に擬態してたりとかするんだろ……太陽光線で光合成とかすっげえしてそうな予感……。


「ってやっぱりかよ!」


 もちろん、戦闘用にな!


 五十匹ものウッドドラゴンの口腔から放たれたのは、当然五十本を超える光の筋だった。


 ソーラーパワーとか、そういうのが凄い使われていそうである。多分人間とかしっかり焼ける。黒焦げどころか塵芥レベルで。


「『屈折しろ』」


 まあおとなしく食らってなんかやるつもりもない。こちらへ向かってきた五十本の光線を魔術で屈折させ、遠い空の彼方へと案内して差し上げた。


 ちなみにその間、メイファンは俺の胸に顔を押し付けて、目をぎゅっと瞑っていた。服を握りしめてくる手とか凄いふるふる震えてるし、犬っぽい耳も怯えるように伏せられているし、角度的に見えないけど尻尾も多分くるくる丸まってる。


「~~~~~っ」


 声にならないうめき声まで上げていた。怖がり過ぎだろ。


 ミィルだったら『ジェラルドがいれば何も怖くないよね!』とか言ってどんな状況でもあっけらかんとした顔をして……いや、あいつはあいつでなんかおかしいか。


 まあ、初々しい反応で俺としてはもう少しそれを堪能したい気持ちはあったが、いつまでも怖がらせたままにしておくのも忍びない。


 さて……ウッドドラゴンを手っ取り早く仕留めるのに一番いい言葉は……。


「『伐採!』」


 やっぱこれだよね!


 (ウッド)だもんね!


 ウッドドラゴンは首からすっぱり切り落とされてすべて倒れた。

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