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D級大学出身のその女は、典型的なB型だった。
おおざっぱで、不器用で、とにかく何も出来ない。
ただ笑っているだけの奴だった。
こんな女に負けるはずがない。自分は正反対の人間で、全ての要素において優っている。
入社してからはその優越感に浸っていた。
入社したのは小さな商社で、ホテルなどのアメニティを販売する会社だった。
営業成績もよく、入社3年目の上司からも一目置かれる存在になっていた。
一方その女はどこで油を売っているのか、ここまでできない新人は初めてだど逆に感心されるほどだった。
ただ笑って愛想よくその場をやり過ごしていた。
一番遅くに来て、一番早くに帰る。それが女の社会人、だった。
私はそんな奴が大嫌いだ。雑用と呼ばれる作業も私が全部やって帰る。
あいつは何もしていない。なのに給料は一緒。
それが理解できなかった。
更に理解できなかったのが、それでも気さくに話しかけてくる女だった。
私がどういう心境でいるのか、本当に理解できていないのだろうか、だとしたら相当イかれた奴だ。
それを考えると頭に血が上る。これ以上は考えないようにしよう、と言い聞かせる。
そんなやりとりを女を前に自分の頭と心をいったりきたりした。
「昨日さあ、映画行ったんだけど、全然面白くなかったよお、結構期待したのに」
「そう」
「あれ結構評判良かったんだけどさあ、私には合わなかったな」
「ふーん」
こんなやりとり。ただ、お前が早く帰るせいでこっちは映画にいく暇もない。そんなことも言えず、ただ心の中には俺が認められているという自尊心を平常に保つしかなかった。