攻略対象は39人
今朝見た夢を少々アレンジして書いてみました。その為展開がカオスです。
私は乙女ゲームの世界に転生した……らしい。
しかし私はこのゲームをプレイした事はない。タイトルすら覚えていない。
それなのに何故このゲームの事を知っているかというと、このゲームがとあるサイトの『クソゲーランキング』の上位に食い込んでいたからである。
このゲームはクラスメイト全員が攻略対象だ。
クラスメイトは計40人。具体的には男子生徒20人(恋愛)と女子生徒19人(友情)+私(主人公)。多いわ。
女子生徒攻略の際もGLではなくあくまで友情エンドというほのぼの健全ゲームである。
しかし男子20人の恋愛エンドを見るだけでも骨だというのに、女子19人の友情エンドを見たいという猛者が何処にいるというのだろうか。ターゲット層がさっぱりわからん。
ちなみに攻略対象の中にはサポートキャラも混ざっているらしいが、一体誰なのかもさっぱりわからん。サポート役が隠しキャラ扱いってどういう事なの。
もういい、やってられるかこんなクソゲー。
とっとと孤独エンドを迎えてしまおう。あくまでほのぼの路線なのだから死亡エンドって事は無いだろう。多分。
そんな事を考えながら先生の話を右から左に受け流していたら、いつの間にか休み時間になっていた。
この高校はいわゆるエリート校であり、偏差値だけでなく入学金や授業料もべらぼうに高い。
それでも休み時間には高校生らしく友人達と遊んでいる者も多く、ボードゲームやトランプ等をこっそり持参して来ている。今も隣の席の男子が前の席の男子と携帯用の小さな将棋で対局中である。
隣の席の男子が歩兵を進めていき、やがて敵陣にたどり着き駒をひっくり返す。
縦、横、斜め前に一歩ずつ進む事が出来る駒、『と金』――つまり金将と同じ動きが出来るように成ったのだ。
……ん?ちょっと待てよ。金将に成る――金に成る――成り金??
……はっ!もしやこれは高い入学金と授業料を払っているセレブな彼等を「この成り金!」と罵倒する事で恋愛フラグを折れるイベントなのではないだろうか!?
クソゲーならばこんな展開があってもおかしくはないだろう。多分!
自分も高い入学金と授業料を払っているセレブである事などすっかり忘れて、とんちんかんな考えに行き着いた私は早速行動に移した。
しかし今まで無言で隣の席に座っていた女子にいきなり「この成り金!」と言われて、咄嗟にその真意を理解出来る者がいるだろうか。
「う、うん、そうだね。歩が裏返って金に成ったね……」と表情筋を引きつらせながら顔を見合わせる男子二人。
――恋愛フラグというより人生においての何か大切な物をへし折った気がする……。
人生は壮大なゲームだとはよく言ったもので。
本来ならば20対20で戦う本将棋。しかし私の人生という名の本将棋は1対39である。
一歩進んで一歩下がって。私は玉将一人で今日も往く。
きっと攻略対象は「顔良し頭良し運動良しのイケメンだけど打たれ弱いヘタレな王将キャラ」1人、「名前通り高飛車な飛車キャラ」2人、「不意打ち気味に(=斜めから)グイグイ攻めてくるナンパな角キャラ」2人、「成績上位だけれど堅物(=斜め後ろに進めない)金キャラ」4人、「優秀ではあるけれど成績上位の金には勝てず劣等感を抱いている銀キャラ」4人、「不思議っ子でつかみどころのない(=トリッキーな動きをする)桂馬キャラ」4人、「ひたすら猪突猛進な香キャラ」4人、「こつこつと堅実で努力家だけれど特にこれと言った特徴のないモブ的歩キャラ」18人とかでしょうかね。ゲームタイトルは【~君はどの駒(こ)を詰みに往く?~】とかでしょうか。




