墓守りの大鎌
――――ん?ここはどこだ?
見た限り墓地か?
というか、なんで俺はここにいるんだ?
確か酒場で飲んで酔っ払って・・・よく思い出せんな・・・。
それになんだか体が軽・・・っな!?
て、手が骨に! 足も!? な、なぜ――――――
――――何で体が骨だけになってるんだ・・・。
どうしてでっかい鎌なんてもんが脇にあるんだ・・・?
なんか・・・昔見た図鑑の死神って魔物に似てるな・・・。
あまりよく覚えてないが、能力とか使えるか――――――
――――あぁ、せっかく人が来てくれたが、にげちまった・・・。
やっぱり、怖いのか?
はぁ、いったい何をすりゃいいんだろう。
この墓地からは出れないようだし、独りじゃさびしいな――――――
――――やっぱり来たか。
まぁしょうがないとはおもうがな、俺は魔物だし。
見た所それなりの経験を積んだ冒険者ってとこか。
この体になって少したったがまだ違和感があるな。
どうせ剣抜いてる時点で話は聞いてくれそうには思えないし
どうにか撃退するか――――――
――――危なかった。
テレポートが無かったら倒されてたところだった。
しっかし便利な能力だな。
いくら範囲が狭いっつったって戦ってる最中なら不意をつけるぞこりゃ。
切り裂かれた羽衣もいつの間にか元通りだし
どうにかやっていけそうだ――――――
――――ん、なんか茂みに・・・ありゃただのガキか。
付き添いがいないって事は興味本位でどっかから抜け出して来たのか?
にしてもたいそう勇気のあるガキだな。
こっちが見てること判ってても逃げねぇ。
ま、襲う気は端からねーけどな。
こっちに不利益が無ければなにもしないぞ。
この体だと飲み食いも必要ないっぽいし――――――
――――まったく。
ガキ共は危なっかしくてしょうがない。
魔獣を見たらとっとと逃げて欲しいんだがなぁ。
なんでこっちに走って来るんだよ。
助けろってか?
ま、目の前でガキが死んでもいい気にはならないしな。
どーれ、元冒険者の腕の見せ所よ――――――
――――うーむ、ここに来る人間が多くなった。
この間ガキを助けたからか?
そういえばあのガキとの会話楽しかったな。
っと、まあ、あんときのことは置いといてだ。
人が増えて独りじゃなくなるのはいいが
これじゃ冒険者が来たときにやりずらいな。
まだ死なすってとこまでいったこたぁないが
もしもやっちまったときはどうしようか――――――
――――なんだか最近拝められてる、特に老人達に。
なぜだ。
なにも変わったことは・・・墓地内に侵入してきた魔獣退治のせいか?
うーむ、「墓守り」か。
こっちは自分がいやな思いをしないためにやってるんだがなぁ。
人生どうなるかわからんもんだ。
人生?死神も一応人型だが――――――
――――ふーん、結構近くにあったんだこいつらの村。
そこの村が管理してる墓地なのかここは。
え?
一度村に来てくれないかだって?
無理無理。
ここから出ようとすると透明な壁に阻まれるからさ。
ま、その好意はありがたく受け取っておくけど――――――
――――最近冒険者が来ないと思ったらあの人たちが追い払ってくれてたのか。
いい人たちだ。
だがまずいな。
凄腕の冒険者が派遣されてくるとなりゃ、本気でやるしかない。
国から送られてきたんじゃ追い返すこともできないだろうし。
そいつが着いたときはどうにかして村の人たちを非難させることはできるか?
・・・よし、ありがとうな――――――
――――ついに来たか。
村の人たちは・・・よし、いないな。
ふむ、相手は修羅場を乗り越えたこともある強者ってとこか。
体も十分なじんでる。
少しは勝機もあるだろう。
だがどうせ能力は知られてるはずだ。
油断はできんな。
ほう、名乗りを上げてくるか。
ならばこちらも名乗らないとな。
・・・今までのことを簡単に言ったのにあまり驚かないか。
精神面もしっかり鍛え上げられている。
相手に不足は無い。
そんじゃ、やりますか――――――
――――ああ、鎌をとばされた。
テレポートのための魔力も残ってない。
光の魔法が飛んでくる。
これで終わりか。
最初は驚いたけれど慣れれば楽しい人生?だったな――――――
――――これはあの死神の鎌か。
不思議な奴だったな。
名乗りを返してきたときは驚きそうだった。
しかも元人間の冒険者と言ってきた。
本当かどうかはわからないけれどたぶんそうだったのだろう。
この鎌はどうしようか。
そうだ、あの一際大きな石の上に置いておこう。
「墓守り」がいた事を忘れさせないために――――――




