第十八話 初飛竜討伐
「クェェェェェェッ!!」
イャンクックが怒りの咆哮を上げる。
全身傷だらけ。
クチバシも砕けている。
それでも飛竜種の闘志は消えていなかった。
ナインも同じだった。
熊牙刀を握る手は震えている。
息も荒い。
体力は残りわずか。
だが。
ここで退く気はなかった。
「行くよ!」
地面を蹴る。
イャンクックも突進してくる。
正面衝突。
一瞬の勝負だった。
イャンクックがクチバシを突き出す。
ナインは身体を捻った。
紙一重。
クチバシが肩を掠める。
服が裂ける。
だが。
避けた。
そして。
懐へ入り込む。
「はあああっ!」
熊牙刀を振り上げる。
ザシュッ!!
首元へ一撃。
さらに。
ザンッ!!
脚へ追撃。
イャンクックがよろめく。
その瞬間。
ナインは勝機を見た。
大きく息を吸う。
全身の力を刀へ込める。
「これで終わり!」
熊牙刀が大きく振り上げられる。
そして。
渾身の一撃が振り下ろされた。
ザァァァァンッ!!
強烈な斬撃。
首元から肩口にかけて深い傷が走る。
イャンクックの身体が止まった。
静寂。
森から音が消える。
数秒。
いや。
ほんの一瞬だった。
やがて。
ドサァァァァッ――。
巨大な飛竜が地面へ崩れ落ちる。
翼が動かない。
尾も動かない。
完全な沈黙。
「……」
ナインは息を止めた。
そして。
「勝った……?」
恐る恐る近付く。
反応はない。
もう動かない。
そこでようやく実感した。
「やったぁぁぁぁぁっ!!」
森に歓声が響き渡る。
飛び跳ねる。
そしてその場へ座り込む。
疲労が一気に押し寄せてきた。
初飛竜種。
イャンクック。
討伐成功だった。
しばらく休憩した後。
ナインは解体用ナイフを取り出した。
「いっぱい取れるかな」
期待しながら剥ぎ取りを始める。
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イャンクックの鱗×35
イャンクックの甲殻×18
イャンクックの翼膜×12
イャンクックの耳×6
イャンクックの怪耳×2
イャンクックの火炎袋×8
イャンクックの巨大クチバシ×1
イャンクックの牙×15
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さらに。
部位破壊報酬。
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イャンクックの怪耳×3
巨大クチバシ×2
火炎袋×5
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「すごい量!」
ナインの目が輝く。
これなら装備も武器も余裕で作れる。
さらに。
サブクエスト用の素材も確保済み。
薬草。
ハチミツ。
火炎袋。
全部達成だ。
「大成功だね」
アイテムポーチへ収納する。
その後。
討伐証明を提出するためキャンプへ向かった。
夕暮れの森。
その背中は以前よりもずっと頼もしく見えた。
ドスジャギィ。
アオアシラ。
そしてイャンクック。
ナインはまた一つ大きな壁を越えた。
そしてホムラの里では――
報酬。
新装備。
そして新たな狩技の秘伝書が彼女を待っているのだった。




