夜の間だけは、自分らしくいたい。
高校2年生の主人公が、夜の公園で会った1人の少女に恋をするお話。
僕は、夜が好きだ。
だって、自分らしくいれるから。
誰も僕を咎めたりしないから。
そして、なにより・・・・
【君に会えた、大切な時間だから】
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9月になり、昼の猛暑は鳴りをひそめ、過ごしやすい季節となった。そんなある日の深夜0時、僕はスマホとサイフだけを持ち、家を飛び出した。
高校には、もう行ってない。いや、つい1週間前から行かなくなった。勉強とか、運動とか、友達とか、頑張るのが当たり前ということに嫌気が差して。親も僕に無関心ってわけではないだろうが、基本仕事で手一杯だから、気にする余裕もあまりないのだろう。
親は今家にいない。シングルマザーで、昼夜問わずバイトで働いている。幼少から少しの贅沢も許してくれなかったことは今でも不満に思っているが、それでも女手一つでここまで育ててくれたことは感謝している。だからこそ、少し罪悪感があった。
外は思ったよりも肌寒かった。基本どの家の部屋も暗くなっていて、人もほとんどいない、信号機は点滅信号になっていて、コンビニにも車はあったが、お客さんはいなかった。
トン、トン、トンと。自分の足跡だけが周囲に木霊する。
まるでこの世が自分だけしかいないような景色に、気分が高揚した。
行く宛もなく道を歩いていると、やがてある公園に着いた。
「・・・・・・・・・・ん?」
その公園には、先客がいたのだ。
1人の少女がいた。
年齢は・・・中学生くらいだろうか。艶めいた髪に庇護欲を掻き立てるようなあどけない顔立ち。夜の公園には似ても似つかないような少女が、ベンチに座っていた。
ただぼーっと、夜空を見つめている。
そんな彼女に目を取られていると、彼女と目が合った。
不意打ちだった。彼女は僕にぽかんとした表情をしたのち、やがて微笑んだのだ。
僕は数秒その笑顔に見惚れた後、不意に我に帰り、その場から逃げようとした。そりゃそうだ、こんな時間に公園にいる中学生少女に声をかける?いくら自分が高校生であろうと立派な犯罪だ。もし彼女が警察に通報しようものなら一発アウト。どう転がろうとも、めんどくさいことになるに変わりはないのだ。
そうして、僕が公園の敷地から出ようとした瞬間だった。
「待って!!!!!!!!」
思いがけないその言葉に、僕は足を止め、振り向いた。
彼女は立ち上がり、僕の方へ寄ってきた。
そして、
「もしかして、君ひとりぼっち?
もしそうなら・・・・・・・・・
【私と友達にならない?】
9月ながら、短い僕の夏が、始まった気がした。
はじめまして。visukuです。
この物語は3話くらいで完結予定の短編小説です。
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