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プロローグ
いつも通りの朝、いつも通りの仕事、いつも通りの食事。
代わり映えのしない日常が、今日も訪れる。
それを不満に思ったことは無い。裕福ではないけれど生活には困っていないし、考えることは少ないに越したことはない。
「婚期を逃した」なんてよく言われるけれど、むしろ一人の方が気楽でいい。
同世代はみんな村を出て冒険に出たけれど、なぜ自分から危険に身をさらすのかわからない。
身の丈に合った普通の生活が一番いい。
だからこのまま平凡に生きて、平凡に死ぬんだと思っていた。
それがまさか
魔王を拾ってしまうなんて、思いもしなかった。




