魔王を継承したのは
史上初めて魔国を統一した初代の魔王はあることを憂いていた。
それは自分の死んだ後のことだった。
いまは自分が統治しているから良い。だが、自分の死後にはこの魔王の座を巡って争いが起こり、また戦乱の世に戻ってしまうのではないだろうか?
せっかく統一を果たして平和にしたというのに、それではあまりにもやるせない。
そこで魔王はある魔法を作り出した。
そして初代魔王の死後、その魔法は効力を発揮した。
それは実に単純明快なものである。
「この魔国にいる全ての存在の中で最も大きな魔力を持つものこそが魔王である」
魔人に限定しなかったのは、グリフォンなどの動物系の魔物やゴーレムなどの無機物系の魔物でも魔王になれるよう、公平になるようにしたかったからである。そしてすぐさま魔王が決まった。
そのあまりの大きな魔力に、魔国に住む全ての存在はその魔王に対しては異を唱えることなどとても出来なかった。
そしてそれから千年近くが経ったいまでも二代目の魔王の統治は続いている。
かつて神樹と呼ばれていたその大樹は、いまでも魔王としての威厳を備えた堂々とした立ち姿で魔国の象徴となっている。
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