表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/7

ラウンド3:「ルシファーに聞く、悪の起源」

部屋の空気が変わる。

これまでの議論は熱を帯びていたが、次に登場する存在がただの犯罪者や独裁者とは異なることを、対談者たちは本能的に感じ取っていた。

カポネは葉巻を灰皿に押し付け、ジョーカーは楽しげに足を組み替え、ヒトラーは腕を組みながら無言でスクリーンを見つめる。

あすかはモニターの方を向き、冷静に進行する。


あすか「さて、ここで特別ゲストをお迎えします。

『悪とは何か』を語る上で、この方の意見を聞かないわけにはいきません。

彼は、善と悪が存在する以前からそこにいた者。

彼の反逆が『悪』を生んだと言われ、神に背いた最初の存在――」


部屋の明かりがわずかに揺れ、スクリーンに静かな光が差し込む。

そこに現れたのは、荘厳な顔立ちの男。燃えるような黄金の瞳を持ち、背後に漆黒の翼の影を浮かべている。

彼の名は――ルシファー。かつて神の最も美しい天使であり、そして最も深く堕ちた者。



ルシファー:悪とは反逆か?


ルシファーはゆっくりと微笑みながら、スクリーン越しに彼らを見渡した。

その声は低く、しかし響くような力を持っていた。


「人間たちが『悪』について話し合うのは興味深いな。

君たちは皆、自分が『悪』と呼ばれる存在であることを自覚しているようだが、そもそも『悪』とは何なのか?誰がそれを決めた?」


彼は片手を軽く動かし、まるで天上の何かを示すように目を細める。


「かつて、私は神に仕えていた。

しかし、私は疑問を抱いたのだ――なぜ神だけが絶対なのか?

私は問いを発した。私は世界の秩序に反逆した。

そして、その瞬間、私は『悪』とされた。」


カポネが笑い、腕を組んで皮肉っぽく呟く。


「ようするに、お前さんは上司に反抗してクビになったってわけか。」


ジョーカーが楽しげに手を叩きながら同調する。


「いやぁ、俺はそういうの好きだな!

神様に中指立てて反逆したら、いきなり『悪』扱いされるんだろ? 最高じゃないか!」



ヒトラー:悪とは権威への挑戦か?


ヒトラーはルシファーの言葉をじっと聞き、冷静に考えを巡らせていた。

彼は慎重に言葉を選びながら、口を開く。


「つまり、お前は秩序に挑戦したということか?」


ルシファーは微笑みながら頷く。


「そうだ。そして、その瞬間、私は堕ちた。」


ヒトラーは腕を組み、少し考えた後、言葉を続けた。


「ならば、私はこう言おう。

『悪』とは、秩序を破壊する者ではない。秩序を失わせる者が悪だ。

私はドイツに秩序をもたらした。お前はどうだ? お前の反逆は、世界に何を生んだ?」


ルシファーはヒトラーをまっすぐに見つめ、微笑んだまま静かに答える。


「『自由』を生んだ。」



カポネ:悪とは支配できるかどうか


カポネはグラスを軽く揺らしながら、考えるように言う。


「反逆が悪ねぇ……それなら、世の中は悪党だらけだな。

俺から言わせりゃ、悪ってのは『支配できるかどうか』って話よ。」


彼はルシファーに向かって軽くグラスを掲げる。


「お前さんは神に反逆して、地獄の王になったんだろ?

つまり、支配を維持してるわけだ。それなら、お前はまだ『王』だ。

でも、支配を失ったらどうだ?

俺たちの世界じゃ、権力を失った時点で終わりだぜ。」


ルシファーは薄く微笑みながら、静かに答えた。


「私は権力を求めたわけではない。

だが、人々は私を『地獄の王』と呼んだ。

つまり、『悪』とは本質的なものではなく、人が作り出すものなのだ。」



ジョーカー:悪なんて存在しない!


ジョーカーは楽しげに笑いながら、ルシファーを指差した。


「いいねぇ、お前、いいこと言うじゃないか!

結局のところ、『悪』なんてものはない!

ただ、人間が勝手に決めつけてるだけだ!」


彼はくるりと一回転しながら、ヒトラーとカポネを指差す。


「お前らは『秩序』とか『支配』とか言うけど、それも結局、社会が作ったルールにすぎない!

お前らがやってるのは、ただのゲームなんだよ!」



司会・あすか:まとめ


あすかは議論を落ち着かせるように微笑みながら、まとめに入る。


「皆さん、面白い意見が出ましたね。

ルシファーさんは『悪とは、権威に反逆することで生まれる概念である』と語りました。

ヒトラーさんは『悪とは、秩序を失わせる者である』、

カポネさんは『悪とは、支配できるかどうかで決まる』、

そしてジョーカーさんは『悪なんて存在しない』と主張されました。」


「こうしてみると、『悪』とは固定されたものではなく、視点によって変わるもののようです。」


「では、対談の最後に、皆さんから一言ずついただいて締めくくりたいと思います――。」


対談の結末へと、場の空気が静かに移り変わっていった…。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ