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ラウンド2:「悪とは恐怖か?」

部屋の雰囲気は次第に熱を帯びてきていた。

グラスの中で氷が溶ける音が静かに響き、カポネは葉巻をくゆらせながら、ジョーカーは足を組み替えながら、ヒトラーは鋭い眼光をたたえながら、それぞれの視点で議論に備えていた。

あすかは穏やかに微笑み、静かに手を上げて次のテーマを提示する。


「さて、次のテーマは『悪とは恐怖か?』です。

歴史を振り返ると、恐怖を利用する者はしばしば『悪』とみなされてきました。

独裁者は恐怖によって国を支配し、マフィアは恐怖で敵を封じ込め、犯罪者は恐怖で混乱を生む。しかし、本当に恐怖こそが『悪』の本質なのでしょうか?

それとも、恐怖を生むことはあくまで手段にすぎないのでしょうか?」


対談者たちはそれぞれのスタンスを示すように、互いを見回した。



ヒトラー:恐怖は統治に必要不可欠


ヒトラーは椅子の背もたれから少し前かがみになり、冷静に語り始める。声は落ち着いているが、確信に満ちている。


「統治において、恐怖は必要不可欠だ。恐怖を持たない国家は弱く、内部から崩壊する。」


彼は手をゆっくりと開き、視線をあすかへ向ける。


「私はドイツを強国にするために、国民に恐怖と規律を与えた。なぜなら、人々は自発的には秩序を守らないからだ。

彼らには指導者が必要であり、指導者には力が必要だ。その力が示されなければ、国は混乱し、衰退する。

恐怖を利用することを『悪』だと? いや、それは誤解だ。国家において恐怖は安定をもたらす道具なのだ。」


彼は手を組み直し、わずかに微笑んだ。


「私を悪と呼ぶのは自由だが、歴史を見てみろ。どんな偉大な指導者も、恐怖を使わずに国を治めた者はいない。」



カポネ:恐怖だけでは支配はできない


ヒトラーの発言が終わると、カポネは肩をすくめて微笑み、葉巻を灰皿に置いた。


「まぁあんたの言うことも一理あるが、恐怖だけじゃ組織は動かねぇよ。」


彼はグラスを手に取り、ウイスキーを一口飲んでから、ゆっくりと語り始める。


「俺はシカゴで何年もマフィアを動かしてきたが、一つ言えることがある。恐怖は支配の手段のひとつにすぎない。

人はな、恐怖だけじゃ動かねぇ。信頼と敬意がなけりゃ、組織はすぐに崩れる。」


彼はヒトラーを見て、軽く指を振る。


「総統閣下、あんたは国を恐怖で統治したって言ったが、結局、それで最後はどうなった?あんた自身が恐怖に飲み込まれたんじゃねぇのか?

恐怖を生み出しすぎると、いつか自分もその恐怖に喰われるのさ。」


カポネは葉巻を再びくわえ、ジョーカーを見て笑う。


「それに比べて、このピエロはどうだ? こいつは恐怖を楽しんでるように見えるぜ。」



ジョーカー:恐怖は最高の娯楽


カポネの言葉を受けて、ジョーカーは愉快そうに笑いながら手を叩いた。


「アッハハハ!いいねぇ!やっと俺の番か!」


彼は背もたれに深くもたれかかりながら、指を軽く鳴らす。


「恐怖はねぇ……最高の娯楽さ!みんな恐怖が嫌いだと言うけれど、実は違う。

人間は本当は恐怖が大好きなんだよ!それがなかったら、ホラー映画は売れないし、戦争だって起きないだろ?」


彼は体を乗り出し、目を輝かせながら続ける。


「恐怖があるから、人は生きる意味を見つける。恐怖があるから、みんな秩序にしがみつこうとする。

つまり、恐怖は人生のスパイスさ! 俺がバットマンの街で暴れ回るのも、みんなの人生をちょっと面白くするためなんだよ!」


彼はカポネの肩を軽く叩き、ヒトラーの方を見て、ニヤリと笑う。


「総統閣下? あなたは恐怖を道具として使った。でも俺は違う。俺は恐怖そのものを愛してるのさ!」



司会・あすか:まとめ


あすかは議論が落ち着いたのを見計らい、まとめに入る。


「なるほど、皆さんの立場が明確になりましたね。」


彼女は一人ずつ視線を送りながら続ける。


「ヒトラーさんは『恐怖こそが秩序を生む』と考えており、

カポネさんは『恐怖だけでは人は動かない』と主張。

一方で、ジョーカーさんは『恐怖そのものが最高の娯楽だ』と語りました。」


彼女は一呼吸置き、次の展開を示唆するように微笑む。


「さて、ここで特別ゲストとリモートで繋がります。

恐怖と悪の起源について語るには、彼の意見を聞かずにはいられません。

次のテーマは『ルシファーに聞く、悪の起源』です。」


その瞬間、スクリーンが暗転し、次第に光が集まり始める。

画面に浮かび上がったのは、堕天使ルシファーの姿だった――。

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