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ラウンド1:「悪とは力か?」

あすかが軽くグラスの水を飲み、落ち着いた声で語り始める。対談者たちはそれぞれのスタイルでリラックスしながらも、話し合いの始まりを感じている。


「さて、最初のテーマは『悪とは力なのか?』という問いです。

世の中では、強大な権力を握る者が悪と呼ばれることが多々あります。暴君や独裁者、犯罪組織のボス、武力を背景にした者たち――。

しかし、力を持つこと自体が悪なのか? それとも、力の使い方こそが問題なのか? 今日は、この問いについてそれぞれの視点から語っていただきます。」


あすかが穏やかに手を振ると、舞台右側のヒトラーがわずかに身を乗り出した。彼の目には冷静な鋭さがあり、声は低く、確信を持っていた。



ヒトラー:力こそ秩序を生む


ヒトラーは椅子の背もたれから離れ、手を組みながら静かに、しかし強い意志を込めて言葉を紡ぐ。


「力こそが世界を形成する。力がなければ秩序はなく、秩序がなければ文明は崩壊する。私はそれを知っていた。国家を立て直すためには、揺るぎない力が必要だったのだ。」


彼は視線を鋭くしながら、あすかを一瞬見つめ、続ける。


「弱き者が支配すれば、社会は腐敗する。力を持つ者こそが、人々を導く責任を負う。悪とは何か? それは無能な指導者が国を乱し、国家を弱体化させることだ。力を持つことは決して悪ではない。むしろ、力なき者が国を動かそうとすることこそが真の悪なのだ。」


ヒトラーは静かに椅子にもたれ直し、手を組む。その言葉には、確固たる信念があった。



カポネ:金の力がすべて


対照的に、中央の席にいるアル・カポネは、葉巻を指で転がしながら笑みを浮かべる。


「総統閣下、あんたの言う『力』ってのは、政治の話だろう? けどな、本当の力ってのは、もっと単純なもんさ。カネだ。」


彼は肩をすくめながら話し、ゆっくりと葉巻をくゆらせ、楽しむように続ける。


「俺はシカゴの街を支配してた。警察だろうが政治家だろうが、みんな俺の金で動いた。ピストルを持ったやつより、札束を握ったやつの方が勝つ。結局、世の中はそういうもんよ。力はな、持ってるだけじゃ意味がねぇ。どう使うかが大事なんだ。」


カポネはジョーカーを横目で見て、薄く笑う。


「俺は悪党だと? だったら、政治家や銀行家はどうなんだ? 俺とやってることは大して変わらねぇ。違うのは、俺がそれを隠さないってだけさ。」


カポネは大きな声で笑い、葉巻を灰皿に置くとゆったりと椅子にもたれかかる。



ジョーカー:力なんて、どうでもいい


ジョーカーは足を組み替え、両手を広げながら笑う。彼の動きは軽やかで、まるでこの場にいること自体を楽しんでいるようだった。


ジ「やれやれ、君たちは『力』にこだわりすぎてるねぇ。権力とか、金とか、そんなものに価値があると本気で思ってるのかい?」


彼は突然立ち上がり、テーブルの周りをゆっくりと歩きながら話し続ける。


「世の中には、力なんてものがなくても混乱を生み出せる方法がある。例えば…ただ、ルールを壊せばいい。 それだけで人々は怖がり、パニックになり、世界は崩れるんだ。」


彼はカポネの肩を軽く叩き、ヒトラーの前で立ち止まる。


「君たちは、力を持つことに必死だ。でも、俺は知ってる。力なんてなくても、人々は混沌に怯える。恐怖、それこそが本物の力さ!」


ジョーカーは椅子に戻り、楽しげに笑う。


「つまりね、力が悪なんじゃない。悪とは、どれだけの混乱を生み出せるか……どれだけ面白くできるかってことさ!」



司会・あすか:まとめ


あすかは微笑みながら、議論の整理を始める。


「なるほど。

ヒトラーさんは『力こそが秩序を作る』、

カポネさんは『本当の力は金である』、

そしてジョーカーさんは『力そのものに価値はなく、恐怖こそが支配の鍵』だと考えているわけですね。」


彼女は視線をそれぞれに向け、次の問いを投げかける。


「では、次のテーマに進みましょう。『悪とは恐怖か?』

人々を支配するのに恐怖は必要不可欠なのか? それとも、恐怖に頼ることこそが弱さなのか? 皆さんの意見を聞いていきます。」


あすかが次の議論へと進める中、ジョーカーはにやにやと笑い続け、カポネは葉巻を再びくわえ、ヒトラーは冷静な表情で前を見据えていた――。


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