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30分後__Fクラスには磔にされた僕とぼこぼこにされた連中が寝転がっていた。しかしまだ戻ってこない奴もいる。鈴木圭と秋山和彦だ。もしかして勝ったのか‥‥‥?たしかにあいつらは見たところ優秀だったが…。くそ!僕はここで磔にされているっていうのに自分たちだけいい思いしようとしやがって!呪ってやる!
「クソ!!」
「負けたああ!!」
戻ってきた。もしかしたらこいつらは他のクラスのやつに勝っているのかと思ったがやっぱりこの学園は甘くないようだ。‥‥‥ざまぁみろ。
「お前らでも負けるのかよ…。俺、この先勝てる気がしなくなってきた…。」
「みんなは誰に挑んだんだ?ちなみに俺は一つ上のEクラスのやつ」
「まじか?それで負けたのかよ。俺はワンチャンを狙ってCクラスのやつと戦って見事完敗。圭と和彦は?」
「俺たちはAクラスのやつと戦った。こいつは学年主席の真鍋千尋と。俺はBクラストップの遠山桜子ってのと。これでも結構粘ったんだぜ?」
「「「マジかよ‥‥‥すげぇ」」」
ちくしょう…勝てなくたっていいから将来有望な女の子を見定めるためにも戦いに行きたかった。
「‥‥‥でも圭でも和彦でも勝てなかったんだな…。俺達無理なんじゃね?」
「‥‥‥たしかに俺たちのトップが勝てなかったんだ‥‥‥。これが才能の差なのか…?」
口々に愚痴をこぼすFクラス。顔を俯いてその才能の差に絶望しているのがうかがえる。しかしそんな中2人だけは前を向いていた。
「何言ってんだ。正直俺も和彦も戦ったがそこまで言われているほどの大きな差は感じなかったよ。確かに今のところ明確な差はある。けど俺達ならできる。クラスアップなんて余裕だよ!俺たちは魔法はだめでも勉強はみんなそこそこできるだろ?作戦を立てりゃ上手く行けるって!」
勉強できるなんてそんなことはないと思うけど…でも凄い熱い‥‥このFクラスは落ちこぼれと呼ばれているはずなのに本当にこの2人は‥‥‥カッコいい。
「それにそもそも俺たちは鼻っから勝つ気はなかった。クラスの代表がどんなものなのか簡単に言えば調べに行っていたんだ。この身をもってな。」
前言撤回。お前らが女子に挑んで勝っていたら美女がこのクラスに来ていたかもしれないんだ。カッコつけるんじゃねぇよ。もうこうなったら僕が行くしかない!勝ってハーレムを‥‥‥。
「だれか僕のこの縄を外して!僕も戦いんだ!そしてあわよくば‥‥‥」
ガラガラガラッ____ ハッハッハ
Fクラスの扉を開ける音とともに甲高い笑い声が響く。そこには金髪ヘアーの160ぐらいの男とその取り巻きたちが立っていた。
「いやぁお前たち聞いたぞ?初日から個人戦争を挑んでみんなことごとく完敗。さすがゴミのたまり場Fクラスだ。」
「誰だお前?」
「失敬失敬、俺はCクラス代表日下部仁こいつらもCクラスの仲間だ。天下のエスバコール魔法学園にもゴミはある。初日から個人戦争をするバカなんてFクラスしかいない。その理由が分かるか?ゴミども」
うっわぁ初対面でとんでもないキャラをつけてきた。金髪 低身長 性格悪いなんて女子に嫌われる要素しかないよ‥‥‥。
「理由‥‥‥?」
「個人戦争ってのはたまに行われる魔法大会の個人部門にもイコールの影響があるんだよ。今日個人戦争をした奴は新歓の魔法個人大会に出場できない。ちなみにそれは挑んだ側だけで受けた側には一切その否はない。有名魔法学校、なかでもこのエスバコール魔法学園の魔法個人大会なんてOBやら現役の優秀な魔法使いやらみんな見に来るんだ。それこそ将来魔法使いとして大成するための最大のアピールになるんだ。そんなことも考えず一時の感情で動いて‥‥‥これだから落ちこぼれのFクラスはゴミなんだよ。」
「確かにそうかもしんねぇけどな!こっちは団体で新歓を制覇しようと考えているんだ!個人じゃねぇんだよ。それに団体だってそのOBやらなんやら見に来るはずだ。」
「余興として‥‥‥な?」
場が静まる。団体戦でクラスアップへの道を切り開こうと盛り上がっていたのにそこに爆弾を投下したんだ。当然か。
「魔法使いが求めるのはそんな戦略どうこうで試合が動く団体戦じゃない。たしかにそれは見ていて面白い。しかし見に来る者たちはそんな戦略をものともしない才能をもった魔法使い‥‥‥いわゆる金の卵を探しているんだ。だからそもそも才能を持たないお前たちが団体戦で勝とうが意味がないんだよ。」
「俺たちはクラスアップを目指しているんだ。確かに今は目を付けられなくても次期にEクラスDクラスと上がっていって、いつかお前らも喰ってやる。」
「ならかかってこいよ。ゴミ溜めのFクラス。もし良かったら今俺に勝負を挑んでもいいぜ?勝てたらなんでもいうことを聞いてやろう!でもあぁそうか。もう誰も挑めないんだったな。アホダカラ。ハッハッハッハ。」
「おい、今の話は本当か?」
「は?」
「お前に勝ったらなんでもいうことを聞くって・・・・本当か?」
ゾゾッ____
磔にされたまま目と顔だけで語りかける僕の顔を見た彼らは少々ちびったことだろう。自分でも今の顔は怖いと思うもん。
「ハッ 本当だ!でも戦う相手がいないんじゃなぁ!?」
「僕がいる。僕は今日結局戦いに行けていないからね。」
「「「「峰久!!」」」」
「‥‥‥誰なんだお前は?」
先ほどの威圧と今の自信。彼には僕がとんでもない実力の持ち主だと思っていることだろう。
「僕はこの学園で最も____
「ゴクリッ」
成績の悪い男。佐々木峰久だ!」
「お前が・・・・・・。ん?お前が?本当に?」
ポカンとしている佐々木仁。フッ カッコつけた甲斐あって見れた顔だ。
Fクラス一同「コクリ」
「はあっはっはっは!どんな実力の持ち主かとおもったらただのゴミの中のクソじゃねぇか!よし勝負と行こう佐々木峰久!お前が勝ったら俺が何でも言うことを聞いてやる。俺が勝ったら‥‥‥そうだなFクラス一同1年間俺らの雑用と行こうか。」
「「「「はああああっ!?」」」」
「なんで俺たちが巻き込まれないといけねぇんだよ!ふざけるな!」
「最下位なんだぞ!?もう勝ち負けなんて決まったようなもんじゃねぇか!!峰久!勝負をおりろ!俺たちのために!!」
誰がお前たちのためにやってやるものか。全部僕のためだ!むしろ負けても連帯責任を取らせてもらえるんだからありがたい!
「乗った」
「「「「ぎゃああああ!!!」」」」
「終わった…。」
「俺学校辞めよう。」
「はてさて雑用は何をしてもらおうかな?まぁ雑用は雑用だ。今考える必要もないか。とりあえず戦いやすい場所に移動しようか。」
「お前は僕のお願いをしっかりとかなえろよ?」
「はっはっは 負けたら叶えてやるとも」 僕らはその足でそのまま闘技フィールドへと向かった。