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友人を探し出して!

「落ち着いてもう一度依頼内容教えていただいていいですか?」

ライトは、焦る依頼者をなだめていた。

依頼者が来たのは今から15分ほど前の事だった。

"ピンポーン"

チャイムが鳴り、何でも屋レイズの元の世界の事務所に客人が来た。

客人は、事務所に入ってすぐにライトに言い放った。

「友達を連れ戻してくれ!」

ライトが話を聞こうとしても、客人はそれしか言わない。そのため、いちど別室に連れて行落ち着かせることにした。


客人がようやく落ち着いたのは15分後。そして今に至る。


「落ち着いてもう一度依頼内容を教えていただけますか?」

ライトは、依頼人の名前、職業、年齢、依頼内容を聞き出すことにした。

「名前は陸といいます。大学生で、現在21歳です。落ち着かずにしゃべり続けてしまってすいません。」

「いえいえいいんですよ。慌てるのは誰にでもあることです。」

「それで依頼なんですが、僕の友人の颯太が異世界に行ったきり帰ってこなくなったんです。颯太に何かあったんじゃないかと心配で、でも僕は異世界のことよくわからないから。なので、なんでも屋さんにお願いしようと思ったんです。」

簡単にまとめると、異世界から帰って来の友人を連れ戻してきて欲しいと言うことだった。

「友人の特徴や、異世界に行った目的などを知っていれば教えてください。」

「颯太の特徴は、痩せ型でやや身長が高く、茶髪のメガネ男子です。異世界には、研究で使いたいからってことで石を探しに行ってました。ただ、何の石かわからなかったんです。異世界の事だから、警察にお願いしても無理だし。なのでここに来ました。」

そう、異世界で起きた事は自己責任になってしまうため、警察や救急隊に依頼することは事実上不可能なのである。もし助けを求める場合は、レイズのような何でも屋か探偵事務所などに頼むしかないのである。


「なるほどね。わかった。その依頼引き受けます。報酬は依頼が成功した場合のみいただいてますのでよろしくお願いします。念のためあなたが本当に陸さんである事を証明する学証や住民票を持ってくることをお願いします。仕事は明日から始めます。」

ライトは今回の依頼を受けることを決めた。ライトの中で、ただの人探しになるとは思えなかったのだ。

「ライトさん。よろしくお願いいたします。これ僕の電話番号です。颯太についてわかんないことがあったら連絡ください。」

こうして、何でも屋レイズの仕事が始まる。



ライトは、異世界に存在する石について調べていた。

「捜索対象の颯太さんは、異世界に研究にいっている。世界にしかない特殊な石はかなり多くある。」

そう、異世界には現実世界には存在しない様々な物質がある。石もその一つだ。

オリハルコン、アダマンタイト、ヒヒイロカネ、ミスリルなどの伝説や物語でしか登場しなかったような石が存在するのだ。

「でも大体のものは、もう研究がされている。あったものをさらに研究するのか、新種を探すのかでまた話が変わってくるぞ。」

狙いを定めたいライトは少しでも情報が欲しかった。闇雲に探すのは現実的ではないからだ。

ライトそう考えると、スマホを取り出した。陸に連絡しようと考えたのだ。

「もしもし、陸さんかい?何でも屋レイズのライトです。颯太さんの研究文書の途中だったり彼がどんな研究をしようと考えていたか何かデータ持ってないかい?」

「わかりました、ちょっと颯太の部屋に行ってみます。同じ寮の隣の部屋なので。」

そう言うと、電話を繋がったまま陸が移動することがわかった。

陸は、颯太の部屋につくと颯太のパソコン開けた。幸いにもパスワードがかかっていなかったのですぐに見ることができた。

Wordファイルを開くと、そこには颯太の想像のスケッチがあった。石の中に木が描かれている。

「ライトさん。颯太のパソコンに木が書かれた石のスケッチがあります。多分この石を探しに行ったんだと思います。」

「わかりました、ありがとうございます。もう少し考えてみます。」

「よろしくお願いいたします。」

こうして電話を切ると、ライトは頭を抱えた。

「まじかよ。よりによってウッドストーンか。この石の情報を持ってねえんだよなぁ。とりあえず異世界で聞き込みだな。無事ならいいんだか。」

どうやら、ライトの予想はウッドストーンと言う特別な石だそうだ。しかも、名前以外はライトも知らないようだ。

ライトは最低限の準備を行った。足りないものは異世界のオフィスの方から準備する予定だ。そして眠りについた。明日からの颯太さん捜索のために。

日付が変わり、ライトは異世界に行く支度を始めた。

ひとまず、颯太を探す前にウッドストーンの情報を手に入れようと考えていた。

「一切合切情報持ってないんだよなぁ。とりあえずアイツと可能性のありそうな場所に行ってみるか…」

こう言いながら、ライトを机の中にある腕輪を装着した。

この腕輪が、異世界へ行くための道具となる。

ライトが腕輪をつけたホーム腕を、胸の位置に持っていき、異世界移動へのキーワードを唱え始めた。

「エクセランスチャージフォルダ」

こう唱えた次の瞬間、ライトの体が光に包まれ、事務所から姿を消した。


少しの時間が経った後、ライトは事務所にいた。しかし、この事務所は異世界側の事務所である。ライトは異世界に到着した。

到着した瞬間、別の部屋から声が聞こえてきた。

「所長?お戻りになられたんですか?」

ガチャリとドアを開けて、顔を出したのは、茶髪ロングの整った顔で見た目15歳くらいの少女だった。

「おー、ウェルか。あぁ、仕事だよ。相変わらずだなぁ。」

女の子の名前は、ウェルというらしい。何でも屋レイズの助手だという。

声をかけたライトの目線は、ウェルの胸元にあった。

「相変わらず、育ちのよ『バチーン!』って痛ー!」

「まったく、いつもいつも人の胸を見てくるんだから…。で、こっちに来たってことは、仕事ですか?」

ライトは、ウェルから平手打ちをされ少し悶えていた。そして、痛みが引いてきて話しはじめた。

「あぁ、元の世界からの依頼だ。サポートを頼む。この後内容を説明する。」

「はぁ。分かりましたよ。」

ライトは、今回の仕事内容についてウェルに説明した。


「えー!、ウッドストーンですか!?なんてものを仕事依頼で受けてるんですか…」

ウェルは、仕事内容を聞いて驚きを隠せなかった。

「まぁそういう反応になるわな。」

「それって、見つけるのが大変って有名な石じゃないですか。そもそもなんでそんなものをわざわざ探すんですか?」

「俺もよくわからん。」

ライトは、自分が受けた依頼内容を話し始めた。

「依頼主の友人が行方不明になって、友人がいなくなった理由が、その依頼された石を探して異世界にいった可能性が高いからだ。」

「なるほど……でもその石を一体何に使うんですかね。」

「異世界の鉱石研究だとさ。それ以上は知らん。」

二人は、颯太の行方とウッドストーンの謎を解くために動き出した。

ライトとウェルは、異世界の街中を歩いていた。その時、ウェルが思い出したかのように話しだした。

「あの、所長?市長の所に行ってみませんか?もしかしたらなにか知っているかも…」

ウェルは情報収集のために市長を訪ねることを提案した。

「あいつ忙しいだろ?てか、今街にいるのか?」

「いや、分かりませんが…」「まぁ、とりあえず行ってみるか。」

ライトは、面倒くさそうにしながら市役所に向かった。

ライトとウェルは、市役所に着いた。

ライトは、受付嬢に声をかけた。

「すいませ〜ん。市長に面会したいのですけど、あいつ暇かい?」

「はい、大丈夫ですよ。少々お待ちください。」

「あいよ〜」

ライトは、椅子に座り待った。数分待つと、受付嬢が戻ってきた。

「市長がお会いになります。こちらへどうぞ。」

ライトとウェルは、受付嬢の後をついて行った。

「ライトさん久々じゃないか。」

「おう、元気にしてたか。」

「はははっ、私はいつでも健康そのものだよ。」

ライトと会話しているのは、ライトのいる街の市長である。年齢は40代前半で、金髪の短髪で、細身の男性である。

ライトと市長は、世間話をしながら応接室へ向かった。

ライトとウェルは、ソファーに座ると、市長が話しだした。

「それで、今日はどう言った用件だい?」

「実は、お前に聞きたいことがあってきた。」

「ほう、それはなんだね?」

ライトは、颯太という大学生が失踪したこと、その友人から捜索依頼を受けたこと、颯太がウッドストーンを探していたことを全て話した。

「なるほどねぇ。それで、ウッドストーンを追えば、捜索している人物に会えると考えたわけか。」「あぁ、だが全く情報がなくて困っている。」

「ふむ、ちょっと調べてみようか。」

「いいのか?」


「あぁ、君には色々と世話になっているからね。それに、ウッドストーンについては私も興味がある。」

「そうか、ありがとうな。」

こうして、ライトと市長は情報共有を行った。

「では、失礼するよ。」

「またな。」

ライトとウェルは、市役所を出た。

「さて、次はどこ行くか……」

ライトは、颯太の足取りを掴むため奔走していた。

「とりあえず、図書館で情報を集めますか。」

「そうだな。」

ライトとウェルは、図書館に向かうことにした。

「ところで、ウェル。」

「はい、なんでしょうか?」

「俺の呼び方そろそろ変えてくれないか?ずっと所長だしよ。」

「嫌です。」

「おい、即答かよ。」

ライトは、不満げな顔をしてウェルを見た。

「だって、所長は所長なので。」

「はぁ。わかった。もういいや。」ライトは諦めて、ウェルと共に図書館へと向かった。

ライトとウェルは、図書館についた。

「さて、まずは本から当たってみるか。」

「ですね。」

ライトとウェルは、ウッドストーンの情報を探し始めた。

ライトは、まず植物図鑑を開いた。

「うーん、やっぱり載っていないか……」


「所長!これ見てください!」

ウェルが見つけたのは、『異世界の鉱石』という本だった。

「どれどれ?おぉ!」

「このページ見て下さい!」

ウェルが指差したのは、「ウッドストーン」という項目だった。

「あった!」

ライトとウェルは、ウッドストーンの情報を読み始めた。

『ウッドストーンとは、異世界に存在する特殊な鉱石の一種である。この石の特徴は、木のように成長することである。

この石は、異世界で採掘することができる。特徴としては、非常に硬く加工が難しい。この石を加工できる職人は非常に少ない。そのため、この石は高値で取引されている。

この石は、異世界のとある場所に生えている。しかし、その場所は異世界でもトップシークレットである。この石は気軽に触れてはいけない。世界に災いを起こす石の1つであるのだから…

著者:不明』

ライトとウェルは、読み終わった後、しばらく沈黙が続いた。そして、ライトが口を開いた。

「えっと、ウェル?」

「はい、なんでしょう?」

「これ絶対ヤバイ奴じゃん……。」

ライトは、冷や汗をかきながらウェルに聞いた。ウェルは、呆れた表情をしてライトに話しかける。

「だから、大変なものじゃないですか?って言ったんですよ!」

「しかも、場所も分からないときたもんだしなぁ。」ライト達は手掛かりをつかめず途方に暮れていた。唯一手に入ったのは、ウッドストーンが危険な代物らしいということだけだ。

ライトは、異世界のオフィスに戻ってきていた。しかし、その顔は浮かない様子であった。そんな時、ドアをノックする音が聞こえてきた。

コンコン

「はいよー。」

ガチャリ

「やぁライトくん!待たせたねぇ。」

入ってきたのは、市長だった。「おう、どうだ?何か分かったか?」

「あぁ、バッチシだよ!」

ライトと市長は、応接室に向かい席に座った。

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