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全員狂ってるラブコメ⁉

 ラノベの始まり方というものはどういうのが多いのだろうか。このように読者へ疑問を投げかけたりするのが正しいのだろうか。それとも持論を語って主人公での考え方を皆に知ってもらうのが正しいのだろうか。

 ということで、少しだけ自分の持論を語ってみたいと思う。皆は友人という言葉を聞いて皆は何を思い浮かべるだろうか。 

 例えば、友人は協力し合うもので相手を助けてもらったり代わりに助けたり。はたまた、一緒に遊んだりと楽しむためだったりと。

 そしてコミュ障がない人は、何を話せばいいか分からないといって友人が出来ない。他にも単純に昔の黒歴史から人と喋れなくなるというのもあるだろう。

 だが、俺はそれはただ単に勇気がないだけだと考えている。どうせ後から友人になるなら今話して仲良くなっても結果は同じだからな。

 それでも、勇気がでなくて友人が出来るやつに言いたい。その程度で友人が出来ないくらいならむしろいい方だと。俺なんて、作りたくても勝手に人が離れていくんだから……。

 まあ、そんな話はともかくとして俺は今非常にまずいことになっている。それは……、


「ねぇ、あの人なんか持ってるよ」

「うわやば、近寄らないでおこ」


 周りの女子生徒にそんなヒソヒソと話されながらまるでゴミを見るような目でこちらを見る。それもそのはず、俺の手にあるのは表紙からアレなエロ本だ。

 いや待って欲しい、俺がこれを持ってきたわけじゃない。鍵のかかるはずの下駄箱を開けたら、これが出てきたのだ。こんなものを自分で入れる訳もなく、この様子を見られたら俺がやばい奴と勘違いされてしまうだろう。


「はあ、あいつらか」


 そのエロ本を他の人に見られないように体で隠しつつ丁寧にカバンの中にしまうと一目散に階段を駆け上がり、二階にある二年D組の教室に駆け込む。

 既に教室の中には様々な生徒がおり、友人同士で仲良く喋っているようだ。なあ俺には親しい友人がいないので、『おはよう!』などと、言ってくれるような奴もいない。

 周りの目を少し気にしつつ、自分の席に荷物を置き目当ての人物の前まで行く。

 その者は、空いた窓から一人外を覗き黄昏れているようだ。こちらに気づいたのか、顔をこちらに向け―—


「ん? ああ、下川か。どうしたんだい」


 そいつはなんの悪びれた様子もなくいつも通り話しかけてきた。ということは、こいつじゃないのか? いやまだ分からない、こいつなら平気でとぼけてくる可能性は十分ある。しっかりと聞かなきゃな。


「俺の下駄箱にエロ本を入れたのはお前か?」

「エロ本? 何の話だい、というか面白そうな話だな。詳しく聞かせてくれないか?」

「内容を?」

「何故そうなる、単純に何があったかだ。これだから頭のおかしい奴は困る」


 こいつにだけは言われたくない。先程から喋っている少女の名前は『加山いとか』。後ろでまとめた紫の髪に、すらっとしている腕や足と二つの大きな物を胸に抱える。何かを発明することが好きで、自分でパソコンなどを作るどころか空を飛べる道具もどきなどを作ったりする天才だ。人当たりのいい美少女かつ天才、男子から普通なら人気になるものだ。そう、普通なら……、


「だって、お前だぞ。お前がエロ本の内容に興味を持たないなんて事ないだろ! どうしたんだ、病院行ってこい。頭の」

「まあ、どうせあたしじゃなくてあのどっちかでしょ。健全なあたしがそんなことするわけないじゃないか」

「お前が健全? 笑い話もほどほどにしろ」


 この間当たり前のように大人のおもちゃとかも作ってきたりしたしな、健全な奴はそんなものを作ってこない。それはともかくとして、


「エロ本なんてお前以外にあんなものを持ってくるとは思えないんだよ。俺にいたずらするようなやつ」

「そんなわけないだろ全く。あたしがやるなら、ちゃんと靴とかも全部どかしてエロ本まみれにするぞ」


 そんなに自信満々で言われてもそれはそれで思うところが……。


「下川はそれみたいな小柄な子が好きなのか?」

「だから、これは俺のじゃねぇって!」


 こいつはエロ本を俺の物にしなきゃ気が済まないのか。これだから、人の話を聞かない奴は困る。


「冗談はさておいてだな、可能性として考えられるのは他にもいるだろ?」

「それもそうだが……。でも、あいつはまだ来てないよな」


 来てないのにどうやって俺の下駄箱にエロ本を送っていうんだ。いやでも、前日に準備しておけば行けるか。

 そうこう考えを巡らせていると、突然テンションを高くした加山が……、


「そんな事より、これを見てくれ。昨日発明したんだ」

「おいこら、話を急に逸らすな」


 そうして、加山が自分のバックから取り出したのは黒い四角のスマホのようなもの。

 笑顔で机の上にドンとおいてくるのを見るに自信作だろう。こうなってくると本格的に人の話を聞かなくなるのでさっさと話を合わせて俺の話に戻そう。


「これを見るのだ」

「はあ、それがいったいどうしたんだ」

「なんだそれが一体どうしたんだ?」

「ふふふ、これは一見ただのスマホに見えるでしょ? でもこれは実は……小型テレビだ」


 発明……? そんなの今でもたまに売っているぞ。何を言っているんだ、いやまだ決めつけるのはよくない。他にも機能があるかもしれない、


「ちなみに、改造している途中でスマホの機能は一切なくなりテレビの機能しかない」

「ダメじゃねえか」

「いや待って欲しい、他にもこのスマホで高画質件高音質の映像をリアルタイムで送れるんだ」

「それもビデオ通話でいいだろうが! なんでスマホ機能を取ったんだよ、それに別にテレビ機能もいらん!」

「なんだと……!? こんな素晴らしい機能が山ほどあるのになぜだ」


 無駄な機能のまちがいなんじゃないか。こいつはちょくちょく本当に要らないものを作ってくるせいで本当に天才か分かんなくなる。


「ついでにこっちが人を強制的に惚れさせる惚れ薬」

「三万で買おう」


 こいつの才能を疑う事自体が間違ってるだろうな。こいつは間違いなく天才だ。


「それを幼女に使うのかい?」

「使わねえよ! もし好きになった人に使うだけだ」

「下川もなかなか鬼畜だな。倫理観バグってんじゃないのか」


 持っているだけなら買う意味がないだろう。こういうのは誰かに使うことに意味がある。


「全くこれだから幼女好きの変態は怖い」

「だから俺をロリコンにするんじゃねえ。俺は健全な学生だ」

「健全な学生がこの惚れ薬を買うかな? まあこれはそもそも他の人に頼まれたものだし売らないぞ」

「なんだそれ、売って欲しいやつなんて居るのか? 全く困った奴だな」

「買えないって知った途端凄い手のひら返しだな」


 全く、惚れ薬なんて非人道的なものを使おうとしてる奴なんてきっとろくな奴じゃない。俺がきちんと回収しなくては。


「ついでに最近新しい媚薬もある」

「いくらだ」

「だから売らないって、そんな札をヒラヒラさせてもあげないぞ! それにそれって確か生活費だろ」

「ふ、毎日パンの耳を拝む生活だけでそれが買えるなら安いものだ」

「そんなこと言っても、かっこよくないからな」


 一人暮らしをしている俺にとってこのお金は生命線。バイトもしていないので臨時収入を得れるわけもないのでこのお金を出したら確実に今月はまともなものを食べられないというわけだ。


「まあ、最悪水と塩だけで二週間は生きてられるだろう」

「何その極貧生活……」


 ここまでの俺たちの会話を聞いていたクラスメイトが何やらこちらをチラチラとみながら話し始める。


「やっぱやべえよ、パンドラ達はなんか媚薬だの惚れ薬だの」

「アホ。今ではパンドラプラスって呼ばれてるんだよ」


 俺たちの会話を聞いていたクラスメイトがそんなことをコソコソと話している。

 パンドラプラスとはこの学校の特別推薦と言われる総合能力で選ばれる試験を突破してきた者たちで頭や運動神経がよいのは当たり前、そこに容姿や性格財産なんかも評価対象となるのだが、この試験で受かる生徒はどういうわけか変人が多い。パンツを被ってそこら辺を歩き回るような奴が居たり、自分より年上はばばあ年下ロリとして愛せない性癖を持っていたり。まあそんなこんなで、変人扱いされて関わってはいけないということでパンドラの箱。そこに特別推薦でもないが、何故か変人たちに絡まれやすく同じ扱いをされてしまっている俺、そのことを意味するプラス。この二つが合わさり箱が取れてパンドラプラスという名前になったのだが……。

 はっきり言って俺は変人ではない。というか、周り変人が絡んでくるせいで俺もそこの仲間入りにさせられているというわけで、俺をこのくくりに居れた奴に言ってやりたい、人のことをなんだと思っているんだと。


「ちょっとあいつら締めて来るわ」

「待て待て待て、その私から奪った惚れ薬で何をする気だ」

「決まってんだろ? あいつらに飲ませてホモにし、俺の代わりにパンプラ入りさせるんだよ」

「そういう事言ってるからパンドラプラスに入ってるんじゃないのか」


 いいや俺は誰にどういわれようとまともだ。俺を勝手に入れたやつが悪い。


「おいお前らさっさと席に着け、ホームルームを始めるぞぉ」


 チャイムがなるのと同じタイミングでうちの担任の先生が中へと入ってくる。その声を聴いた生徒は皆すぐさま椅子に座る……、ただ一人を除いて。


「おい、加山。何をしているさっさと座れ」

「いえこれを見てください先生。今回は小型テレビを作ってみたんだ。どうだい」

「よーし、三十秒以内に片づけないならそれをたたき割るからな」


 言われた瞬間すぐさまそれをバックの中へと入れて、何事もなかったように席に座る。流石に、作ったばかりの物を壊したくないようだな。


「まだ寒風澤は来てないな。下川はなんか知ってるか?」


 当たり前のように俺へと聞いてくる。


「先生! なんで俺に聞くんですか」

「いやだってお前らいつも一緒に居るだろ」

「いつも一緒に居るつもりは無い! 同類に思われるから俺に聞くのやめてください」


 こういう所から意識を変えていなければ、俺は一生このグループから抜け出せることは出来ない。

 これは一言で言えばいじめと同じだ。その人への思い込みによって、最初はネタにしていたが、それがエスカレートして悪意は持ってなくとも相手を傷つけるようになっていくと。


「ハハハ、それじゃあ早速始めるぞー」

「おい笑って誤魔化さないでください! 人の話を聞け」


 そんな会話をしていると、遠くの方プロペラのような音が聞こえてくる。


「またあいつか……」


 突然だが、学生の金持ちと聞いてどう登校すると思うか。普通なら黒い車と様々な使用人を連れ、赤いシートをひいて歩いてくる。

 このようなイメージが多いと思うが、うちの金持ちは次元が違う。


「ハッハッハ! 私が来たわよ」


 ヘリコプターの中からメガホンを使って出てきたのは、水色の髪のサイドテールをひっさげ、小柄の体型をした美少女だった。

 

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