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6話 紅の女王

開幕は女王が仕掛けてきた。女王の能力は鏡の反射を利用した自身の複製だと現状は分析したので、僕は複製体が実体なのかを検証する為に電撃魔法を打ってみる事にした。


「ライトニングスピア!!目標を貫け!!!」


電撃の槍は複製体の体を貫いた、これで彼女達がただの幻影ではない事が分かった。しかもそれを補うように

追加の複製体が鏡からまた出てきた。


「アリス、ノワールちょっといいか? 無数に増えた女王は全部実物だ、という事は仕掛けてくる攻撃は全部避けるか防御しなきゃダメだぞ?」


「そっか〜 じゃあ私の剣を大きくして全部吹っ飛ばせば良いって事だよねっ!!!任せてっ おにーさんと一緒に居るととんでもなく力が溢れてくる気がするのっ」


「へぇー・・・、やれるもんならやってみなさいな。そんな剣じゃ私のコピーを1体倒せるか倒せないかのレベルでしょうに。その後は串刺しにしてあげましょう。」


出会った時から元気満点のアリスだったが、そこから驚きの連続で正直疲れているのが隣で見ていて心配だった。でもあの剣を出してから元気を取り戻した気がする。これもワンダーアーツとやらの力なんだろうか。


ただ、さっきみたいなバカでかい巨大な剣を振り回されるとこっちにも被害が出そうなので、ちょっと小さめにしてくれとお願いをしといた・・・。 おかげで抑えてくれたのか、アリスが生み出した剣は10メートルほどの大剣で済んだ、とは言え通常であればとても少女に持てる大きさでは無いのだが、本人は枝を持つような感覚で女王に向かって振りかかった。


「これで反省してよねっ!!ワンダーソードッッッッ!!!」


脳筋アリスが打ち込んだ一撃は威力が高すぎるのか振りかぶっただけで空間が湾曲した様な気がした。僕は寒気を覚えてノワールの方を見るとノワールも僕の方を見てくれて意図が伝わったのか時を止めてくれた。


「タイムホッパー・・・」


そう彼女が呟くとこの世界で動く全ての物が停止した。僕はノワールを抱えて一旦空中に避難することしたがなんとなくあの一撃に嫌な予感を覚えたのでバリアを貼っておくことにした。


「じゃあタイムホッパーを解除するね、ぴょんっと動き出せ」


ノワールが手を叩くと時間の動きが始まり、アリスの剣が女王に向かって吹っ飛んでいき・・・・

聞いた事もない爆音と共に城の壁は吹き飛び、衝撃波と共に空の太陽に直撃。 他の残骸は地面を抉りながら遥か彼方までその爪痕を残しながら飛んでいった。


「うわー・・・わぁ・・・凄いことになっちゃった・・・」


自分でやっといてちょっと他人事感を出しているアリス。彼女にはこの件が終わったら力の調整を覚えてもらわないと今後が心配だと思った。


「女王様ー!!!生きてますかー???返事してくださーい!!!」


そうだ、心配するべきはあの攻撃を受けた女王だ。無事なんだろうか・・・?


「ゲホッ!!!はぁっ・・!はぁ・・・!し・・・死ぬかと思ったじゃないの!?!?!?」


よかった、生きてたみたいだ。手鏡から出てきた所を見るとあそこから隠れて避難していたのだろうか?


「う・・・ぐす・・・お城が・・・私のお城・・・どうしてこんな事に・・ゔえぇぇぇぇぇぇん!!!」


最初のクールなイメージが嘘の様なマジ泣きをしてしまう女王に罪悪感を覚える僕


「ごめんね、うちのアリスがやりすぎてしまって・・・謝るよ。でも君も殺す気で来るだろうから許して欲しいな」


「殺す気なんてある訳ないでしょう!!!侵入されてちょっとムカっとしたから・・・ちょっと力の差を見せて説教してやろうと思ってただけなのに・・・あ゛ぁぁぁぁぁ!!!!」


マジ泣きをする彼女に色々話を聞いてみると、どうやら彼女はノワールの母親を救う為に世界中の薬を集めていたと。そしてその薬を買うために鏡の能力を使って仕事をしてお金を稼いでいたのだけど、お城の仕事まで手が付かなくなって全部ノワールに任せる事になってしまった様だった。ただ、隠れて汗水垂らして働いてるのを部下であるノワールに知られたくないから演出していたのだった・・・。


「女王様・・・そうとは知らずに・・・ごめんなさい・・・私の為にそんなにしてくれてたなんて。

私は・・・私はなんて事を・・・うぅ・・・」


「あわわ・・・お、おにーさんどうしましょう・・・何かいい方法はないでしょうか・・・?」


せっかく女王とノワールのすれ違いが解けたのにこのままじゃあんまりだ。グリモワールを持っていく時に

創造系の禁書を持ってきた・・・あれ・・・?なくなってる・・・?ディメンション内に入れておいたはずの禁書はグリモワールを除いて全部姿を消してしまっていた。 すると


「起動、魔導書吸収完了。常時使用可能。」


グリモワールがまた喋り出した。聞く限りは他の禁書を食べて魔法を吸収したのだろうか・・・?

そんな魔導書は見た事も聞いた事も無い。しかしまぁ、細かい事は一旦置いておいてまずはお城を直さないとだ。


「リメイキング」


魔法を唱えると壊れた外壁が元に戻っていった。しかも戻るだけではなくてなんだか進化している気がする・・・・。まずノロマな人形が素早く仕事をこなすメイドの姿になっていた。

お城の周辺には川が流れ中央に噴水が出来たことでとてもオシャレな宿泊施設の様だ。

この変わり様に女王も大興奮で


「あ・・・ありがとうございます!貴方はひょっとして伝説の大賢者様か何かなのでしょうか?!

そうとは知らず失礼をお許し下さい・・・」


元はといえば僕たちが悪いので後ろめたさを感じながら、必死に謝る女王をなだめる事になってしまった。


・・・


「へぇ〜、おにーさんは別の世界から来たんだ?」


ずっと急足だったのでようやく腰を落ち着けて話をする事が出来た僕たちは、改めて自己紹介をする事になったのだった。


「そうなんだよ、でもこれからも変わらずよろしくね。」


「もちろんだよっ! おにーさんはもう私たちのお友達だもん!ね、ノワールちゃん。」


「はいっ この度は私のせいで色々すみませんでした。 改めまして、私はノワールと申します。

これからもお友達としても・・・もしくはそれ以上でも、よろしくお願いします///」


なんだかノワールの顔が真っ赤な気がするのだけど、気のせいだろうか。それ以上って親友の事だよね?


「こほん、私の名はスピネルよ。普段は紅の女王と名乗ってるわ。まぁ、どっちも本名みたいな物だから好きに呼ぶといいわ」


すっかりメンタルを回復させて威厳も元に戻ってきたスピネル。お城が進化して修復直後が滅茶苦茶ハイテンションで大騒ぎしてたっけな。


「城を直してくれてありがとうございます、あのままだったら仕事どころじゃ無くなる所でした。凄い大魔法でしたわね、私は感服致しました。」


「いや、元はといえばこちらが悪いから気にしないでよ。あと薬もなんとか生成出来て良かった。」


ノワールの母親に有効な薬をグリモワールで生成できたお陰でスピネルも遠出をする必要がなくなり、メイド人形のおかげでノワールも朝から晩まで働かなくて良くなったのだった。


「本当に神様かと思った・・・お母さんを助けてくれてありがとう・・・女王様も今までありがとうございました。まさかそんなに頑張ってくれていたなんて、私は知らなかった・・・」


「いいのよ、気にしないで頂戴。家臣や民全力で守るのが王の務めでしょう?まぁ、ここには私と貴女しかいないのだけど。」


うふふ、と上品に笑いながら会話する二人。本当に良かったと心から思う。


「所で貴方様?ご結婚はなされてますか・・?良ければ城主として何時までもここに居てくださって結構ですのよ?」


スピネルの突然のプロポーズにびっくりした僕は、顔を真っ赤にしながら再度ここに来る前の話をした。

仕事の事・クビにされた事・王から国を追放された事。グリモワールを手に入れて、本に飲み込まれた事。

全部の話をうんうんと言いながら聞いてくれたり、追放の話の時にはぷんぷんと怒ってくれる皆に対して、久しぶりに温かい感情で心が満たされて行くのが分かった。


「それならさ!グリモワールに聞いてみればいいんじゃない!?どうやったら出られるの?って!!」


アリスが妙案をくれたのだが、正直あまり期待出来ないものだった。グリモワールはいつも一方的に話して終わりだから僕の質問に答えてくれるとは思えなかったからだ。

とはいえ試してみない事には始まらないだろう、という事で


「グリモワール、知っていたら答えて欲しい!どうやったらこの世界から出られるのかを」


僕がそう質問するとグリモワールは勝手に開いて僕たちの前にあるページを見せてくれた。

そしてそのページの中には鍵が挟まって居たのだった。

いつも童話無双をお読み下さりありがとうございます。


よろしければ下部に設置してある応援ポイントを★5押して頂けると嬉しいです。

また、ブックマーク入れて頂ければ投稿時にお知らせが行くと思います。よければ追加して下さい。


次回も面白い話が書ける様に頑張りますので、何卒よろしくお願い致します。

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