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18話 王国の異変

ヘレと別れを済ませ、元の世界に帰ってきた僕達は王国から爆発音や火が上がってる事に気づいた。

すぐに確認に行こうとしたがスピネルから


「明日の朝でよろしいと思いますわよ。もうお疲れでしょう?、貴方様をあんな目に合わせた街なんかどうなっても宜しいですわ。」


とちょっと怒りが篭った声で話すスピネルに押し負けて寝ることにした・・・のだが、やっぱり気になってしまって皆が寝た後にこっそり街へ行くことにした。


街へ到着すると城門や外壁があちこち壊されている、中へ入ると城の兵士達が無数に倒れており、生き残った兵士への治療の真っ最中だった。状況が知りたかったので生き残った兵士に声を掛けてみる。


「あの、何があったんですか?街から出ていて帰ったらこの状況で・・・教えて下さい」


「ゲホッ・・・あぁ、隣国が攻めて来たんだよ。王様が居なくなった情報が届いたみたいでな・・・

まだルナ様も若い、攻めどきだと思ったんだろう・・・」


確かに国内がまだ不安定な時だ、あの賢女の手腕を持ってしてもしても2〜3日で完全な体制に持って行く事は無理だ。その穴を突かれてしまった様だった。


「国王様が死んだという噂はほんとだったようだな・・・これだけの惨状になっても出てこないのだから・・・くそっ!!!戦闘指揮を取ってくれる者が居ないんじゃ勝てるわけがない!!」


「ルナ様は何をされているのですか?」


「ルナ様は・・・今日行われた戴冠式中に何者かに刺されてな・・・今治療中との事だ・・・」


そうだったのか・・・必要な情報を得た僕はその場にいた負傷兵の傷を全て回復させる事にした。


「オールキュアリー」


腕を失った者、体に穴が空いて死を待っていた者達の欠損部が全て元に戻り起き上がる。


「腕が・・・俺の腕が戻った!!!!」 「痛くねぇ!!!全部治ってるぞ!!!」


「あ・・・貴方は一体・・・?」


あたりが騒然とする中、僕は名乗りを上げた。


「僕はグリム、王国の近くの高台で暮らしてる魔法使いだ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


僕の力を見た兵士達に連れられて、ルナ王女の元へ向かう。着いた先では治療魔法を使える者が必死に魔法をかけ続けていた。


「もうダメです・・・脈も無くなって・・・。これでは苦しめる時間が伸びるだけになってます」


泣きながらそう訴えているが、側近達がそれを許さない。


「ふざけるな!!!今王女様を失うことが何を意味するか分かっているのか!?なんとしても治せ!!生き返させろ!!!」


あんな低級な治療魔法では無駄だろう、僕は王女の前に立った。


「なんだ貴様は・・・?お前・・・確か処刑リストに・・・」


「黙れ。王女を救いたければ黙ってみていろ」


殺気を込めた魔力を放出すると腰を抜かす側近。僕は王女に向けて魔法をかける


「オールキュアリザレクション」


グリモワールが吸収した回復系が記された魔本の中にあった最強の魔法だ。塵と消えた者であっても完全に元通りにする神話級の魔法。ルナ王女はすぐに呼吸を取り戻し、目を覚ました


「あ・・・れ・・?私は確か刺されて・・・」


「目覚めましたか?何か悪い所はありますでしょうか?」


「大丈夫です・・・助けて頂いてありがとうございます。貴方は確か司書の・・・」


流石は賢女ルナ、僕みたいな末端の人間でも覚えてくれていた様だ。前国王とは違い、人を導いていくのに相応しい器を持っている。


「覚えて下さって光栄です。この現状は把握しております、外で傷ついた兵士達も回復させ、外壁も治しておきましたのでご安心下さい。」


「ありがとうございます・・・こんなに凄い魔法使いの方だったのですね、是非国を挙げて感謝をしたい所ですがまた明日になれば戦闘が始まるでしょう。それが終わりましたら必ず・・・・」


「安心なさって下さい、明日は私も戦闘に参加させて頂きます。だから今夜はゆっくり休んで下さい

それでは失礼致します。」


「ま・・・待て!!!急に現れて何者だ!!!ルナ様に気安く声を掛けて失礼であるぞ!!!」


側近が噛み付いてくる、この状況を急に出てきて解決した僕の事が気に入らない様だ。


「お待ちなさい、こちらの魔法使い様は私の旧友です。無礼な態度を取ることは許しません、これ以上の失言は私、王女ルナへの暴言であると知りなさい。」


ルナはこちらを見てウィンクをしてくれる、目覚めたばかりで状況の整理が大変だろうに、機転が効いた素晴らしい対応だ。


「ルナ王女、ありがとうございます。ではまた明日」


そう伝えた後、僕はワープして家に帰ると居間が明るいことに気づく。


「おかえりなさいませ、今軽食をお作りしますわね。」


スピネルが出迎えてくれた、どうやら抜け出した事に気づいていて起きて待っていた様だ。


「全くもう・・・行くのならいっその事ご一緒しますのに・・・貴方様、以後このような際はちゃんと行って下さいまし。」


「ごめんね、スピネル。でも付き合わせるのも悪いと思って・・・」


「何を言っておりますの、貴方様の為なら火の中水の中、ですわ。それより信じてくれてないかと思って悲しかったですわ・・・」


とても申し訳ない気持ちになり誠心誠意謝る僕だった。王国で起きていた事を全て伝えると


「そうでしたか、私からするとざまぁみろと言いたい所ですが、貴方様は明日にでも助けに行くのでしょう?絶対に、絶対に私達も着いて行きますからね」


なんでもお見通しの様だった。ぷんぷんしながらご飯を作ってくれて、お風呂の準備をしてくれるスピネルに感謝をして、その日は一緒に寝る事にした。


「貴方様は優しすぎますわ、ご自身をあんな目に合わせた国が憎くないのですか?」


「憎くないわけじゃない、でも原因だったガーベイも国王も死んだから・・・憎む対象はいないからね。

あの件以外は別に悪い暮らしじゃなかったよ、本に囲まれて、静かに過ごせて幸せだった」


はぁ・・・全く・・・と呆れるスピネルだったが


「そんなに優しいから、私は好きになったんですわ。心配させられた見返りを頂く事に致しますわね。」


そう言って被さってくるスピネル、僕は普段からの慈愛に感謝しながら、彼女を受け止めるのだった。

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