9話 死ねない地獄
小さな少女達が何かの肉を解体している。胴体なんだろうか・・・? 手足と思われる部位は綺麗に裁断され、トランプタワーみたいなものが出来ている、頭部は綺麗に残っていて、別の少女達が楽しそうにボール遊びをしている。
「あはああっははあっはあはは、あはははぁ、殺してくれぇぇぇ殺してころして殺してころ」
死ねない状態で意識だけ残っており、本人はとうに狂ってしまっていた。中年男性に見えるので恐らく例のガーベイとかいう男なのだろう。その近くでは年老いた男が椅子に縛られていて、こちらに気がつくと声を荒げた。
「た・・・助けてくれぇ!!!!!なんでもやるから!!!!早くしろぉぉぉぉぉ!!!!!!!!」
こいつが王様なんでしょうか?助ける訳ないでしょうに。それよりグリム様はどこでしょうか。
暗い部屋を目を凝らしながら見渡すと、グリムが檻の中に居るのが見えた。
「グリム様!!!!ご無事ですの!?今、縄を解きますわ!!!」
縄を解き、そっとグリムを床に寝かすと彼の意識がない事に気づいた。呼吸を確認すると正常で彼が生きている事が分かって一安心した。
「という事は、あの人形は魔法で生み出された物・・・そして貴方様のこの傷・・・全ての苦しみや憎しみを込めて魔力を解き放ったのですわね・・・・」
爆発した負の感情から、心を守る為に意識を手放した為に起きた魔法の暴走、それがこの地獄の原因だった。
次の標的な王様だった様で、少女達は王様を的に見立てて楽しくダーツの様な事をしている。真ん中に打ち込めれば高得点だろうか・・・?頭・胸・お腹にボードが描かれていて、真ん中に撃ち込んだ少女が大喜びをしている。
「痛いいいいいいぃぃぃぃぃぃ!!! 女あああああああ 早く助けろおおおおおおおお。回復魔法をくれええええええええ」
頭が剣山の様にダーツの矢だらけになっている。普通なら死んでる傷でも、苦痛でも、死ぬ事は許されない。それはこの人形の魔法なのかはもう分かりはしなかったが、一つだけ思うことはこの魔法はいつになったら終わるのか?という一点だけがスピネルを悩ませていた。
「そそそそそそそこのあなた? 私をつ、連れて逃げてくれませんか?私は何もしてなくて、ただ処刑があるから仕事で呼ばれただけなんです・・・!」
そう泣きながら訴えるシスター。この人はまぁ・・・どうでもいいですけど悪い事してないならまぁ・・・位の慈悲しかスピネルは持ち合わせていなかったが、この状況がいつまでも続かれると困るので、グリムを起こすことにした。
「貴方様!!起きてくださいませ!!貴方様のスピネルですわよ〜!!!!ん〜、起きませんわねぇ。
そこのお前、助けてやるからこの事は誰にも言うなよ。周りに吹聴したらすぐに殺しに行く。」
そういってスピネルはシスターの縄を解いて、精神安定代わりに回復魔法を掛けた。
「はいぃ!!!ありがとうございますぅ!!!貴方に神のご加護をぉぉぉぉ!!!!」
そう言いながらシスターは一目散に逃げていった。一方スピネルはグリムを起こそうとするものの
通常の方法では起床が難しいと判断し、魔法を使う事にした。
「ミラーコントラクト。失礼ですけど、ちょっとだけ貴方様の心の中に入りますわね。」
グリムの目を指で開け、鏡を瞳に映した直後、スピネルも意識を失った。
「・・・ま〜 ・・・あな・・様〜 ・・貴方様〜」
聞き覚えのある声がする・・・この呼び方はスピネルだろうか・・・。僕はとても眠かったがその声に釣られて頑張って起きる事にした、そして目を開けると、スピネルが僕の顔を自分の顔の目の前に近づけていた。
「わぁ!!!びっくりした。どうしたの?一体」
「うぅ・・・またギリギリの所で駄目でしたわね・・・いつになったらこの唇を奪って頂けるのでしょうか・・・」
奪われるのは僕の方じゃない?というツッコミは抑えた。
「よく聞いて下さいね、ここは貴方様の心の中ですわ。そして現実の貴方様は気絶されておりますの。
だから目覚める為に私に着いてきて下さいませ。」
そう言って手を引いてくれるスピネル。そのまま着いていくと段々明るくなってきて・・・僕は目が覚めた。
「ううん・・・確か僕は・・・拷問を受けて・・・いったぁ!!!!」
起きる時に使った指から血が出ており、爪がない事を見て自分が何をされたかを思い出した。
ツン・・・と何か異臭が鼻を刺激した。なんだろう、と周りを見ようとするとスピネルに目隠しされた。
「よく聞いて下さいまし、貴方様がこれから目にするものに対して、貴方様は何も後悔する必要はありません。これはやった事に対する正当な罰なのです。ですからどうか、負けないで・・・・」
そういつになく真剣なスピネルの言葉を聞いて、僕は身構えながら周りを見た。
意識が戻った事によって魔法が解けて、いつの間にか少女達は居なくなっており、本来死ぬダメージを負っていた者を強制的に生かし続けていた力も無くなり。辺りには二人分の死体がバラバラに吹き飛ばされていた。
サッカーボールもダーツも、何も言わなくなっていたのでどっちがどっちなのかはグリムには分からなかったが、まぁ・・・分からないままで居させてあげたいとスピネルは思った。
「うっ・・・おええぇぇぇぇぇぇえ!!!!」
余りの惨状に嘔吐が我慢できなかった、およそ人間の範疇を超えた殺人現場だ。
「これは、、、僕がやったんだよね・・・?」
スピネルが顔を上下に振ると、グリムはそっかぁ・・・と呟き座ってしまった。
とりあえずこれらを放置しておくとまずいので、スピネルはグリムに魔法での撤去を進言し、綺麗に無くなったので家に帰る事にしたのだった。
「スピネル・・・僕の事を軽蔑したかい?」
帰り道に飛行しながらグリムはスピネルに尋ねてみると
「そんな事・・・ある訳ないでしょう?ただ・・・私は貴方様の心が心配ですわね。あっ、もし今日一人で寝れない気分でしたら私が添い寝してあげますわよ!!添い寝だけじゃなくなるかもしれませんけど!!!」
いつもの調子で笑いかけてくれるスピネルに、一緒に寝て欲しいことを伝えると
「えっ・・・本当に?」
ただでさえ紅い特徴が多い彼女が更に紅くなっていた。
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