3話
この時の俺は忍び寄る悪夢に全く気がつかずにいた。
グルルゥルゥ グルグルグルゥゥゥ
急激な便意が俺の体を包み込んだ
ググゥルルルグルグルゥゥ
や、やばい!
めっちゃうんこがしたい。
村までガマンするか?
いや、村があるかどうかすらわからないこの現状でそれは悪手だ
それに村があったとしても、「トイレ借りていいっすか?」「ああ、いいよ、トイレはここをまっすぐ行って右だ!」
とはならないだろう、最悪、門番にでも捕まって、尋問中に漏らすことも考えられる。
普通に野グソをすればいいんだが、紙がない。
パンツで拭いて捨てる? ダメだそんな1回だけ助かったとしても
後で困る。
どうする?
動物とか紙が無くても大丈夫なんだから、人間もなんとかなるんじゃないのか?
原始人とかどうしてたんだ?
ベタに葉っぱなのか?だが葉っぱで上手く拭けるビジョンが見えないんだが?
ちゃんと拭けない上に手につきそうだ
サイズは大きめでやわらかいけど破れにくい、そんな葉っぱがあるのだろうか?
他に何か拭くものはないだろうか?
昔の日本はヘラでうんこを拭いてたとか聞いた気がする
なんとか枝を加工してそれを作れないか?いや、どれだけ時間がかかるんだ?うんこを拭く道具にそんなリソース割けない
うんこはそんなに待ってくれない、それどころか
グルルルギュルゥゥ
はぅっ、やばい、思ったより限界は近い、もうそこまできている。
プランBだ、直ちに葉っぱを探して排便態勢に移らなければ、ズボンを脱いでる途中で
限界突破しそうだ!
やわらかいけど破れにくい、そんな葉っぱあるのか?今まで通った場所には生えてなかっただろうか?いや、わからん。
そんなトイレットペーパーを見るような目で、生えてる葉っぱを見てこなかったから。
けど、そんな心配はしなくてもよかった。
ケツ筋に力を入れながら、少し歩いたところで運よくお目当ての葉っぱは見つかった。
手のひらサイズで表面がもふもふふわふわしててめっちゃ触り心地が良い
かなり理想に近い葉っぱだ!
俺は光速でズボンをずり下ろしその場にしゃがんでうんこをして、その葉っぱでケツを拭いた。
はぁ~、ベリースッキリ!とりあえず目の前の危機はさった。
気を取り直して進んで行こう。
少し経って俺はケツに違和感があるのに気付いた。
あれ?俺うんこ漏らしてる?
そして目の前にあった蔦を手のひらで横に避けようとした瞬間
手のひらにぶよっとした感触と鋭い痛みが走った
俺は自分の手のひらを見て驚いた。
手のひらが黒ずんでいる
そして今蔦を触ったところは黒い肉がえぐれて赤い肉が見えている、その肉は蓮画像のように
無数の穴が開いていた。
「うわあああぁぁあああぁぁぁあぁ!! なんだこれ???」
今、毒を持った何かがいたのか?
俺は思わず後ずさりする
痛っ! ケツからもぶよっとした感触と鋭い痛みが走る
なんだこれ??呪いか?毒か????
どうすんだこれ?死ぬのか?俺、死ぬのか?
考えてる間にも手のひらの黒い部分が徐々に正常な部分を侵食していってるのが伝わってくる。
やばいやばいやばい
そうだ!やくそう!やくそうで治るんじゃないのか?
「いってえぇぇぇぇぇ!!!」
俺はポケットに入ったやくそうを取り出そうとして痛さで飛び上がった。
指先の腐った肉がポケットのふちに当たって取れて
赤い肉と中の白い骨が見えている。
いや、これ俺にやれるのか?やっていいのか?手が壊れそうなんだが?
ポケットに手を入れるだけなのにめちゃめちゃためらってしまう。
その時反対のポケットに入れていたどくけしそうが見えた。
あ、そうだ、回復の前に解毒じゃないのか?
俺は骨の見えてる手でどくけしそうをポケットから引っ張り出そうとした。
指先がどくけしそうに触れた瞬間、まるで呪いが解けたかのように
手やケツの痛みがやわらぎ、侵食されていく感覚が消えた。
ただ、損傷した皮膚や肉はそのままだ。
歯を食いしばって痛みをガマンして、ポケットから薬草を取り出す。
これは触れるだけじゃ効果発動しないのか?
迷わず口に入れてみる。
なんかエネルギーが注入されているような感覚が沸き上がってきた。
そして骨が見えてボコボコになってた手のひらが、まるで巨大な建造物が
早送りで建てられているかのようなエフェクトで綺麗に治っていった。
すごい効果だな、この[やくそう]は!まさにゲームのアイテムって感じがする。
良かった、やくそうを持ってなかったらと思うとぞっとする。
それにしてもなんだったんだ?毒虫じゃないのか?
[しらべる]
[とくになにもみつからなかった]
なにもないのか、そうだよな知らない間にケツも攻撃受けてるんだから、毒虫じゃないよな………
手とケツ………
あ! ひょっとして、さっきの葉っぱか!
その可能性が高いか?
あんなにフワフワして拭きやすかったのに!クソッ、騙された!




