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異世界で造形師めざします!  作者: コオリ
第二章【勇者出立祭】
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20 ねじねじリングとごっついリング


「さすがに、それを使って試すのは気が引けるので……ちょっとだけ待ってもらえますか?」

「なんだ? 代わりの商品があるのか?」

「いえ。今から作ろうかと」


 アイテムボックスの中にいくつか他の装飾品がないわけじゃないけど、どれも効果が高めで販売を諦めたものだ。ここにある金貨500枚のものと同等か、それ以上のものしかないので、ヴァンさんたちの前に簡単に出すわけにはいかない。

 それぐらいは、私も心得てるからね。師匠と違って常識はあるんだ、ちゃんと。


「そんなに簡単に作れるものなのか?」

「ええっと……効果がそれほどではないものなら」


 ということにしておく。嘘だけどね。

 リードさんが買ってくれたレベルの装飾品なら、そんなに時間はかからないけど――それだって、規格外の能力かもしれないし。ヴァンさんの正体もまだわからないし、ここはやっぱり慎重にいかないとね。


「製作方法を秘密にしなくてもいいのか?」

「秘密にするようなことでもないので」

「ほう」


 ヴァンさんはずっと興味津々だ。

 リードさんは冷静なように見えるけど、私の手元から目を離していないところを見ると、一応気にはなっているのだろう。


「ええっと、汚れたりはしないと思いますけど、この机の上で作っても?」

「ああ、構わん」


 そう言って頷くと、ヴァンさんは全体を眺めるためになのか、私と少し距離を取った。

 腕を組んで、じっとこちらを見つめている。


 ――よーし。やるか。


 作るのは、ごくシンプルな指輪だ。

 アイテムボックスから、芯棒を取り出す。杖の先から、いつもの要領で魔力パテを展開させる。


「……これは。まさか、材料は魔力なのか? これほどまでに、安定して魔力を物質化させるなんて」


 ヴァンさんは一目見ただけで、私の魔術造形がどういうものなのか、わかったらしい。この人、師匠並みに頭の回転がいいのかな。

 その独り言らしい呟きに是とも否とも答えずに、私は手元の魔力パテに集中する。

 簡単なものだけにしようと思ったけど、やっぱりちょっと面白くないよね。こんなに注目してくれてるんだから、少しぐらい。

 指先で捏ねた魔力パテを、細長く伸ばしていく。二本作った1ミリにも満たない太さの魔力パテを捻じりながら束ねていく。


 ――思いつきの割に可愛くなりそうかも。


 ねじねじ、と均一に束ねて、指輪三つ分ぐらいの長さにする。それを一周目は普通に芯棒に巻きつけて、二周目はゆるりと波打つように巻きつけた。

 ランダムにうねりをつけながら、一周目に巻きつけた魔力パテを装飾していく。


「よし。こんなもんかなぁ」


 シンプルだけど、結構可愛いのができた気がする。

 指に密着する形じゃないから戦闘職の人には向かないかもしれないけど、こういう遊び心があるのもいいよね。


「すごいな……こんなにも一瞬で」

「本当なら色付けとかの工程もあるんだけど……とりあえずは試験用なので」


 色付けの工程は今回は省くことにした。

 なので、魔力パテそのままの色――グレーのままだ。


「固定化も完璧なのだな」

「……この装飾品が、すべて魔力で作られていたものだったとは」


 ヴァンさんもリードさんも驚いているみたいだ。

 リードさんにいたっては、自分のつけている指輪を目をまん丸にして見つめている。コツコツと指輪同士をぶつけて硬さを確認しているみたいだ。


「一応、机に強くぶつけても傷はついたりしなかったですけど……さすがに、剣を直接ぶつけられたりしたら壊れるかも」

「それも後で試してみても?」

「ヴァン様。作った方の前でそれは」

「ああ、そうだな。すまない――興味が先に立ってしまった」

「いえいえ。もし、リードさんさえよかったら、実験を手伝ってもらえませんか? 私も耐久度がどのぐらいなのか、気になっていたので」

「君の頼みとあらば」


 ――うん。その返しも超騎士っぽいね。すごいや。


 二人とも、眩しいぐらいのイケメンなんだけど、目もだいぶ慣れてきた。こういう振る舞いにもだ。

 そもそも、この世界の人たちってみんな揃いも揃って、顔面偏差値高めだからね。師匠もファーラもそうだから、いちいち感動したり、驚いていたって仕方ない。


「じゃあ、剣でぶっ叩く用のも作っちゃいますね」


 今回は特に凝らずに、ただの指輪だ。

 剣を当ててもらいやすいように、太めのフォルムにしておく。


「よーし。やりましょうか!」


 机の上にねじねじリングとごっついリングを並べて、それぞれその横に魔力水の小瓶を置く。お願いします、と声を掛けると、ヴァンさんとリードさんがそれぞれ魔力水に魔力を注いでくれた。


 ――うわー、ヴァンさんの魔力。リードさんより濃い金色なんだけど。


 先に魔力を注いだリードさんの淡い金色の魔力に、ヴァンさんの濃い金色の魔力が混ざる。

 こうやって比べると、リードさんの金色は少し青みがかっていて、ヴァンさんの金色は赤みが強い。それにヴァンさんのほうは砂金みたいに細かい金の粒子が見える気がする。


「綺麗だなー。魔力の色って、みんな違ってみんないい」

「私とリードは従兄弟だからな。色合いが似ているだろう?」

「血縁だと色の系統が似るんですか? これって、属性とかも関係したり?」

「魔術師なのに、魔力について詳しくはないのか? ああ……大賢者はそういう説明を省く方だったな。私のときもそうだった」

「……? もしかして、師匠と面識あるんですか?」

「短い期間だったが魔法を習ったことがある。その頃はまだ、大賢者も王城に住んでいらっしゃったからな」


 ――んんん? 王城?


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