表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で造形師めざします!  作者: コオリ
第二章【勇者出立祭】
26/46

10 さーて、もうすぐ開店です


 東広場に着いた。

 ファーラが説明してくれたとおり、あんまり治安はよさそうじゃない。巡回している騎士以外に、細い路地の入口に立つ冒険者らしき人の姿が見えた。


「あの人も警備の人?」

「そうですね。冒険者ギルドのほうで警備の依頼が出ていたはずなので、それを受けた方でしょう。こうして立ってくださっているのは安心ですね」

「だね。私の魔法の出番はなしかな?」

「そのほうがいいと思います」


 だよね。私、魔物の倒し方なら師匠に習ったけど、対人間の場合については何も習ってないからさ。

 殺さずに無力化するって、案外難しいんじゃないかなって思っている。

 人を殺すことに抵抗がないわけじゃないよ? 普通にあるけど、向こうがそのつもりで襲ってきたときに容赦するつもりはないし、最優先は自分の命だし?

 場所が変わればルールは変わるってやつ、ちゃんと理解しているつもり。


 ――あの人のレベルとか装備とか、そういう情報知りたいなぁ。


 ステータスは当たり前に秘匿事項だし、簡単に聞けることではないけど。

 でも、装備としての装飾品(アクセサリー)を作っている人間としてはやっぱり気になるんだよね、そういうの。どういう人がどういうものを欲しがっているか、っていうのは。

 これも市場調査の一つなんだけどな。


「ここが5番ですね。広場の入り口に近くていいと思います」

「私もそう思う。足を止めてくれる人が多いといいなぁ」


 一つの露店に与えられたエリアは大体3メートル四方って感じかな?

 背面に壁がある場合は、そこも自由に使って大丈夫らしい。私の後ろはちょうど建物の壁だった。近くに窓もないのでいい感じに使えそうだ。

 両側にも露店用のエリアがある。

 特に仕切りはないから、境界線のあたりはお互い譲り合って使う形になるんだろう。

 どちらもまだ、出店者の人は来ていないみたいだった。


「本当はお手伝いしたかったんですけど、私、一度ギルドのほうに戻らなくちゃいけなくて」

「大丈夫だよ。案内してくれてありがとうね」

「また見に来ますので! あ、宣伝もしておきますからね!!」


 ファーラはそう言うと、前に私があげた指輪をこちらに見せびらかすように手を掲げる。

 嬉しそうな笑顔が眩しすぎて、私は思わず手で顔を覆った。



   ◆◇◆



 ――やっぱり、金貨10枚……高くないかなぁ。


 自分の露店を準備しながら、こっそり両隣の露店をチェックする。

 右隣の露店にはご婦人向けのアクセサリーが、左隣の露店には革製の小物が並んでいた。どちらも結構いい品に見える。

 だけど、どれも金貨1枚にも届かない、リーズナブルなお値段設定だった。


 ――こっちの革小物の材料って、やっぱり魔物なのかな。


 値段を調査していたはずなのに、気づけば商品のほうに釘づけになっていた。

 だって、なんか珍しい見た目のものがあるんだもん。

 表面が岩みたいにごつごつした見た目の革。

 お財布みたいだけど、あれって使いにくくないのかな。


「何か気になるものがあるかい?」

「あ、すいません」


 話し掛けられてしまった。

 革小物の露店のほうは、どうやらご夫婦のようだ。旦那さんが並べた商品に奥さんがせっせと値札をつけている。話しかけてきたのは旦那さんのほうだった。


「面白い見た目の革だなぁ、って」

「気になってるのはこれだね?」

「あ、はい。やっぱり珍しい革なんですか?」

「わしらが住んでる辺りじゃよく見かける魔物なんだけどね。王都のほうでは珍しいからか、よく聞かれるんだよ。まあ、使い勝手はよくないから全然売れないけどね」


 ――そっか。客寄せ的な感じか!


 なかなか面白いやり方だと思う。

 売れる売れないの前に、まずは足を止めてもらうっていうのは大原則だし。


 ――私も一番高くて効果がやばいやつ、目立つところにディスプレイしたほうがいいかなぁ。


 悪目立ちしそうな気もするけど。

 ううん。難しい。


「お前さんの商品はどれもすごい代物だなあ……」

「こら、あんた。勝手に触るんじゃないよ」

「おお、すまん。ちょっと気になってな」

「大丈夫ですよ。もし気になるものがあればおっしゃっていただければ」

「いーやいや、そんな高価なものに手が出せるほど、うちは裕福じゃないんだよ――だけど本当、うっとりするぐらい素敵なものばかりだね」


 ちゃきちゃきした話し方のおばさまだ。

 はっきりとした物言いが、聞いてて気持ちいい。


「これは、普通の装飾品じゃないのかい?」

「どれも付与効果のついたものになります。なので、どちらかといえば冒険者の方向けかな……と」

「それを聞いて安心したぜ、嬢ちゃん。お隣で商売敵かと思っとったわ」


 反対側からも話し掛けられた。

 ご婦人向けのアクセサリーを並べている露店の店主だ。

 こっちは見るからに商人って感じの人だった。行商人ってやつなのかな。日焼けした浅黒い肌で、口元にはくるりんとした髭を蓄えている。


「そちらも素敵ですね。私、こういうのも大好きです」

「いやあ、嬢ちゃんのものを見た後だとどれも劣る気がするがね。これが冒険者向けとはな……ちょっと惜しい気持ちもあるな」

「惜しい、ですか?」

「ああ。ご婦人方も気に入るんじゃないかってね。まあ、今回は客層が違って助かったが……いい仕事をする職人と繋がってんだなぁ」

「あ、これ全部私が作りました」

「……は? これを、嬢ちゃんが?」


 ――そんなぽかーんとした顔させるほど、意外でした??


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ