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異世界で造形師めざします!  作者: コオリ
第二章【勇者出立祭】
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02 尊いものを拝むのは万国(?)共通


「ああああああ……」


 床に崩れ落ちるファーラを見て、思わずガッツポーズを取る。

 尊いものを見たときの反応は異世界であっても変わらないらしい。美人エルフのぺたんこ座り……いいもの見た。


「ありがとうございます。ありがとうございます」

「気に入った?」

「とっても、とっても尊いです……」


 ――尊い、いただきましたー!


 やっぱり、こういう生の反応って嬉しいね。

 作ってよかった! って思うし、また作ろう!! とも思う。どんなものであれ、創作の活力ってやっぱりこういう反応とか感想なんだなぁ。

 またいいもの作ろう。頑張ろう。


「わざわざ、これだけを届けに?」

「ううん。依頼の報告ついでだから気にしないで」

「あ、じゃあそちらの受付もしますね!」


 ファーラが慌てた様子で立ち上がる。

 すぐ後ろが自分のデスクなのか、そこに慎重に師匠の胸像を飾った。もう一度、眺めてニコニコと笑顔を浮かべている。

 はあ……美人の笑顔ってそれだけで癒されるね。


「セト様はすごい魔術師様なのに、手先も器用だし……本当になんでもできるんですね」

「あー……どっちかっていうと、造形のほうが仕事としてはメインなんだけど」


 今は冒険者みたいに討伐のほうがメインになってしまっているけど。

 早く造形だけで食べていけるようになりたいんだけどなぁ……まあ、討伐を頑張っているおかげで、レベルも少しずつ上がっているけど。


「魔術造形師……でしたっけ?」

「そうそう。まだ正式には認められてないけどね」


 魔術師の派生職業として提出中ではあるんだけど、なかなか承認は下りない。

 前例がないから仕方ないとは思うんだけど、早くそっちも認めてもらえるといいんだけどな。


「こんな素敵なものが魔法で作り出せるなんて、尊敬します!」

「あはは。ありがと」


 褒められて、悪い気はしない。

 めちゃくちゃ照れるけど! どういう顔したらいいのかわからないけど!


「そういえば、もうすぐ王都でお祭りがあるんですよ。知ってますか?」

「お祭り? ううん、知らない」

「勇者様が魔王討伐に向けて出立されるとかで――そのお祭りなんですって」

「……出立で、お祭り」


 ――まだ倒したわけでもないのに?


 壮行会……みたいな感じなのかな?

 頑張って倒して来いよー……って、なんかすごい無責任な感じもするけど。

 っていうか、勇者ってあの高校生たちだよね? ついに魔王討伐に向けて旅立つのかぁ……すごいな。

 巻き込まれただけの私としては、もはや他人事だけど。


「ちょうど、そのお祭りでお店を出す人を募集してるんですけど……セトさんもよかったら出てみませんか?」

「え? 私も出られるの?」

「一応、商人ギルドの審査はありますけど、もし出店されるなら魔術師ギルドからも推薦させていただきます!」

「やる! やってみたい!」

「はい。じゃあ、ギルド長のほうに話しておきますね」


 ファーラ、ついに天使を越えて女神になった。

 本当に……いい子だ。いつもありがとう。


「あ、そうだ。作っていただいた胸像のお代ですけど」

「今回は大丈夫!! ファーラにはいつもお世話になってるから、よかったら貰って?」

「いいんですか?」

「うん。宣伝とか……してもらえると嬉しいけど」

「します! 絶対!」


 やっぱり女神だ。

 家にあるファーラの胸像、今度ぴっかぴかに磨いておこう。



   ◆◇◆



 魔術師ギルドを出て、王都の中にある商業地区のほうに向かう。

 雑貨屋さんに作ったものを売り込めたら、ってぐらいに考えていたけど、露店を出すかもしれないなら、それよりもやるべきは市場調査だね。

 売り込みはまた今度の機会にする。


 ――どういうものが喜ばれるだろう。


 ベタに勇者の胸像とか……って考えてみたけど、まだ出立前だし、いくら勇者ご一行でも、まだそこまで知名度ないよね。作るなら討伐後かな。

 それ以外だと……装飾品(アクセサリー)とかなんだけど。

 普通の装飾品なら既にたくさんある。

 作るなら変わり種にチャレンジしてみたいけど、こっちの世界は魔物の脅威が身近な分、私が好きな魔物モチーフの装飾品があんまり流行りそうにないんだよね。

 いや、ニッチな層はこの世界でもいるだろうけど……いきなり無茶な挑戦をするのは違うと思うし。


 いろんな店を外から観察してみる。

 人気があるのはやっぱり武器屋さんだ。ひっきりなしに冒険者が立ち寄っている。商売道具だし、大事なものだもんね。

 あとは雑貨屋さんだけど、売れているのはポーション系の実用品が多いみたいだった。


 ――やっぱり、そんな感じだよね。


 造形でも武器が作れないわけじゃないけど、耐久性としては落ちる。

 だったら、装備? 飾るための装飾品じゃなくて、装備としての装飾品っていうはありなのかな。


 ――やってみる価値はありそう、かも。


 一つ方向が決まると、ぽんぽんと構想が浮かんでくる。

 あんなのはどうだろう、とか……こういうのもいいな、とか。


 ――早く作ってみたい!


 祭りがあるのは、一か月後。

 試作期間を考えれば、そんなに時間はない。


「一か月、引きこもれるだけの食べ物買って帰るか」


 善は急げだ。

 私は踵を返すと、この街に来て一番最初にお世話になった食堂を目指して走った。


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