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ヒトラーの真剣なドイツを守った戦争の道を辿る文士逹

作者: 小財 明

秋田家は娘、理夏子の変身ぶりに戸惑っていた。

高校生の頃に漫画で読んだ、「漫画版源氏物語」に影響を受け、お隣のお兄さん、月矢に戸惑いつつも恋心に近い感情、源氏物語に出てくる紫の上のように、自分をなぞらえるような恋をしていたかのような錯覚を抱いていたのだが、結局、それは虚偽の感情で、自己犠牲と言う甘い家族のまことしやかな誘惑に自分を閉じ込めていただけの事であったのである。


要するに、月矢としては、2016年の夏、酷暑が続く夏に理夏子がホットパンツを履いてきて、月矢の書斎から見える道で、何か呟いた後、急にしなだれるような感じで、こちらを見た後、月矢はなぜか、おかしいな、何時もの理夏子ちゃんではないなと感じ、事態の急変さを悟り、吃驚したのであった。


理夏子は音楽を聴きながら、恐らく御代志駅から歩いて帰ってくる。


そんな日常風景が戻ってくることを月矢は思い、頭の左側を少し掻いた。


理夏子さん、貴女には、ホットパンツは似合いません。正直、足が白過ぎ、目の毒です。


昔、志木詩織と言う、早稲田大学でサークルで同期だった女の子が居ました。立教大学の付属高校を出て、ワセダに入学した娘でしたが、ある日、サークル、政治経済攻究会と言うサークルの地西と言う先輩に私と一緒に呼ばれ、「無理しているなら止めた方がよい」と言われ、その子は服装を改めず、私は当時極め込んでいたモード系のファッションをするのを止めました。


志木は、東京の目黒に実家があり、裕福な家庭であり、私は貧乏学生でした。


その子は、丸山真男の勉強会に出ており、偉そうに思想を語っていました。


今、岩波文庫がダメダメになっているのは、丸山が元凶であり、筑摩文庫がダメダメになっているのは、佐藤亜紀先生が批判している通りであり、元々、筑摩書房が敗戦直後に創社された書店であるからであり、アメリカの影響の息がかかっているに違いなく、それは、社運が著しく伸びた、バブルの初期に、これ見よがしに、ちくま文庫を創刊したことによる。ちなみに、ちくま文庫には、『劇画ヒトラー』と言う、月矢が合志西合志図書館にリクエストした「本」がある。ヒトラーには定説の学説、決定版がなく、参考になればと思い、勇気を持ってリクエストした本である。


ヒトラーが、割かし善人として漫画として描かれている漫画であり、水木しげるが描いた。


ファシズム的世界では、「あり得ないことがあり得る」。幻が現実となる時、日本では、法悦の世界が広がるが、一旦魔族の侵入を許した国は衰運、メイキング・同時・多発・法悦を迎え、人々はただにこやかに笑う。少なくとも、月矢や「声」が耳に入る上層階級はそうである。


苦悩、悩むことが無くなる。


こういう場所では芸術は生じない。


魔法社会が始まっている現在、志木はおそらく、おそらく、外資の銀行に勤めていると聞いているので、「無理」をしていた分、無理のある人生を何時までかは知りませんが、送ったことでしょう。


外資の似合う人、外資の似合わない人が居ます。


何でもそうですが、ぴったしかんこの人生なんて送っている人なんかいません。


だから、ホットパンツをはくのもいいでしょう。


ただ、ホットパンツと言うのは、色仕掛けの商売女が履く服で、志木の実家は、キャバレーを経営していたが、その意味で、「ホットパンツ」を履いていたのかもしれず、理夏子さん、そう言う意味においても、そう言う服装は色に強い男性にはあんまり受けがよくないですよ。


説明より説教を好みたくなる年齢なのですよ、私は。


歴史とは、説教臭くはなく、案外、躍動感に満ちており、弱者と強者が回転木馬のように、競い合う、とても真剣なコロッセアムなのですよ。


恋も又、真剣なものなのですよ。


へらへら、笑ってばかりいると、笑いの本当の意味が判らず、曖昧模糊とした「魔法ファッショ」に取り込まれ、人の態度が分からない、場の空気が読めない、非政治的人間、空虚な哄笑しかしない虚無の塊のような最低人間になってしまいます。


笑う袋は案外、金の亡者かもしれないし、プラスのプラスは拡大拡張の何も無い領域に笑いを投げ掛ける、丘の風の吹かない大地で、アハハアハハと一人笑う事象であり、市場原理主義とは、梃子の様に経済の実効的支配が物を言う、力の強い者が勝つ学歴の高い者が勝つ「システムゲーム」なのですよ。


魔法社会とは、主としてデカルト以前の西洋教養に基づく、「魔法」に基づく社会であり、魔族とは、アンティキティラ・コンピューターを駆使して、世界を魔法化した上で、人間、人類を滅亡させようと画策している悪魔を含む一族の事を指す。


アンティキティラ・コンピューターは、古代のコンピューターで、判明している限りでは、星の運行が分かったと言う。


星の運行が分かっていたと言うことは、天文学において、かなり高度な性能を備えたコンピューターだったと言える。


アンティキティラ・コンピューターの時代、古代からかなり時が経過しており、アンティキティラ級の後継コンピューターの実力は、計り知れないものがあるとは推測される。


少なくとも、魔法と相乗効果を持ち、魔法因子を作り出す、世界中に散布しうる能力は所有しているものと思われる。


宝貝、パオペエは仙人が持っている「武器」で、周の太公望が持っていた「打神鞭」は『封神演義』に詳しく書かれている。


今時大戦で、三十六歌仙が魔族と、竜の子供を守るため戦ったときにも、パオペエが使われた。


芸術が宮廷で、「歌会」で「魔」と和歌で戦っていたと言うのは事実であり、別に遊びではなかった節がある。


日本が「文明国家」を自称するならば、少なくとも、10万円特別給付金などで、一律万遍的に魔女の大乱に戦争補償金などを出す代わりに、積極的に、先ず、過去の誤りを率直的に認め、昔神経症で苦しんだ夏目漱石の「病根」を素直に、「統合失調症」と世間一般に通っている病名であることを認め、文庫本、新版を出すよう、文化庁に働きかけるべきであろう、この国のエリートたちは。


天皇陛下は少年時代、TVを見ている限り、時々、首をかしげ、耳を澄ませていられるような気がするのは気のせいであろうか。


明治、大正、昭和と天皇制は機能していた。昭和、戦後、平和と経済成長の時代、それは、学ぶ意欲のある個人と国家がドライブしていた「幸せ」な時代だった。


太平洋戦争があったが、『はだしのゲン』を見ればわかるが、長崎と広島は軍港があり、それで、原爆を投下されたのである。


今、書店のある町をターゲットにして、魔族の侵攻が行われている。書斎は、ラジオが言っているように、少し嫌がられ、書店員たちは勝手に盛り上がっている。


平成は、事実上、魔族への無条件降伏、パソコンの通信を大幅に受け入れる時代であり、インターネットは、アメリカの軍事技術の転用である。


事実上が、事実に変わったのが、今回の2016.夏からの「魔法社会」の現実化であり、文字通り世間の人達が魔法を使い出したのであった。


現実化であって、現実ではないと辛うじて言えるのは、日本が残った文化的な力を全て、小説に投入し、主として、90年代位から作家の新人育成に力を入れ始めていたからであって、講して、辛うじて魔族迎撃体制は不十分ながら動き出すことになる。


本は対魔族の銃として、人々の魔族によって掛けられた魔族の構造転換からの意識の解放の十字架、守護体となるはずである。


書店員さん達の士気は高いが、それは、本が、銃が、価値を相対的に挙げているからであり、本人達の教養力自体が、教養の真価を発揮しているわけでは決してなく、月矢としては、信頼出来ない。少なくとも、地衣書店は信頼出来ない。教養とは、「霊山」の「高行健」をいちいち中国語に「ガオ・シン・ヂェン」と発音し直して、月矢に伝えることではない。


他の書店はどうか?熊本市内の書店は大概大丈夫みたいである。


教養の真価とは、その人が個人的であるにせよ、集団的にであるにせよ、危機に陥った時にその人の読書に応じた力を教養が助ける力の事を言う。


魔族側は主として、月矢の視角視野におけるイメージによる操作、携帯の操作ボタンに介入をかけ手元を狂わせる方法を妨害行為として取り、小説の完成を遅延させんとする。


時に、令和二年の初冬であり、月矢は、「CLIMAX LOVE」を聴いている。


明日も、小説を書くだろう。影は月矢にそう語りかける。


月矢は、魔族を拒絶しつつも、煙草を吸う。

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