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ある意味異世界入門!

ある意味異世界転生しちゃった?!

時は2220年10月17日。

俺の名は神道 歩。

俺は今日、死んでしまったらしい。

気がついたら俺は光がないのにぼんやりと薄暗い場所にただ呆然と立っていた。

「ここは一体...いやというか俺の体、動いてる!なんでだ?俺はGUL患者のはず...」

そう俺は世界でも数少ない奇病と呼ばれるGUL(ガル)の患者であった。

GULとは正式名称「GiveUpLive」を略した名称だ。

ガルは発現から1ヶ月は偏頭痛の様な症状に襲われ、2〜3ヶ月頃は肺炎の様な症状に切り替わり3ヶ月を過ぎた頃、突然脳震盪にあったかの様に倒れ、死に至るその時まで植物人間状態になってしまうという恐ろしい病気だ。発症から死亡まで1年と無いのもガルの特徴で年間発症数は0〜1件。正確に言えば10年に一度発症患者が現れるかどうかというところだ。発症原因すら未だ解明されていない病気だ。医学会では人間の領域を超えた病気だと呼ばれている。

「そうだよ、俺はガル患者だ。倒れる前までの記憶が正しければ今は植物人間状態のはず。まさか俺は...」

わかっていた、わかっていたはずだが現実を受け入れるのが辛かった。

「いや、待てよ、夢なんじゃないか?これ。きっとそうだ!そうに違いない!俺が生きてる間に治療法が見つかるって医者は言ったんだ。そうに違いない!」

俺はそう信じ、薄暗いその場に座り込んだ。その時誰かが俺の名を呼んだ。

「歩くん...歩くん...あーゆーむーくん!」

チッ!誰だ1人にしてくれよ。一体誰なんだ。俺の夢の中なんだ。好きにさせてくれ。

「あーゆーむーくん!あーゆーむーくん!あーゆーむーくん!」

あーっ、もう!

「誰だ!俺の名前を呼ぶ奴は!何回呼んだら気がすむんだ!いい加減にしろ!」

「なーんだ!聞こえてるなら返事してよ〜。歩くん!」

なんなんだこいつ?おかしな奴だ。ん?よく見ると肌の色が真っ青じゃないか。な、なんだこいつ?

「な、なんだお前?!何者なんだ!俺にな、何をしようってんだ!」

「いや、別に何もしませんよー!いや、何もしないってことはないかな?うん。ただ私はあなたをお迎えに上がっただけですよ。」

お迎えに?何を言ってるんだ、この女の子は。ここは俺の夢の中だぞ。

「お迎え?一体俺をどこに連れて行くっていうんだ?ここは俺の夢の中だぜ?」

「歩くん。自分のことは自分が一番わかってるんじゃないかな?違う?」

嘘だろ。マジなのか。マジなのかよ。いや、そんなわけ。いや、でも。嘘だろ。信じたくない。だけど俺、俺ー

「俺は死んだのか?」

信じられなかった。信じ難かった。信じたくなかった。でもこれが現実。事実。今起きていることなんだ。

「そう、君はたった今死んでしまったんだ。」

あぁ、やはりそうなのか。なんとなくこの空間を認識した時に感じていた。脈がなく心臓が動いている感じが全くしなかった。

「私の名はリン、死神なんだ!死者を異界入国管理所まで案内する仕事をさせてもらっているの!短い間だけどよろしくね!」

そんな明るく言われると調子狂うなぁ。まぁ逆にこれぐらい明るい方が落ち着くし、いっか。

「あぁ、よろしくな。リン。」

「うん!」

そうして俺はリンに導かれ異国入国管理所に向かった。

「なぁリン。」

「どしたの?歩くん。」

「いや1つ聞きたいんだが今向かってる異国入国管理所って一体なんなんだ?」

そう、そもそも俺は死後の世界について何も知らない。

「あー。そういや何にも説明していなかったね。」

「では死神リンによる死後の世界についていろいろ説明させてもらいまーす!イェーイ!」

「はいはい、わかった、わかった。」

「それでは1つ1つ説明していきまーす!」

「まず異界とは天国•地獄。その両方のことを指します。ちなみに私たち死神はこの異界とは別に死神界というのがあって死者を異界に送る仕事をメインとしているよ!」

「なるほど。でもまさか本当に天国と地獄があるとはなぁ。昔の人は嘘つきじゃなかったんだなぁ。」

宗教で天国と地獄の考えは知っていたがまさか本当にあるとはなぁ。

「そして異国入国管理所は死者を異界に入れる関所みたいなものなんだ!そして異国入国管理所を通れたらその後裁決場に向かうんだ。裁決場では死者を天国か地獄のどちらに配属するかをか決定するんだ!」

「ま、まさか閻魔大王にやってもらうあれか!」

「あー、あれか。あれは人間の空想で本当は閻魔大王に裁決なんてしてもらってないよ。閻魔大王っていう役職はあるけどね。今は全部機械がやってるよ。空港の税関みたいにね。」

ま、マジかぁ。異界にまでも機械化が侵食しているとは。驚きだなぁ。

「あ、言い忘れてたけど裁決場は地獄にあるからね。ま、気にするポイントじゃないか。ちなみに異国入国管理所も全てが機械化され、無人なんだ!すごいだろ?」

「あぁ、そいつはぁすげぇな。だけどさなら死に気がついたあの場所から異国入国管理所まではなんで機械化しなかったんだ?」

「それはなんていうか、あれだよ。上の命令ってやつ?万物の父には誰も逆らえないでしょ?」

「な、なるほどなぁ...」

そんなこんなリンと話をしながら歩いている間に異国入国管理所が見えてきた。

「あれだよ!歩くん!あれ、あれ!」

「わかった、わかったから静かにしてくれ」

ようやく異国入国管理所についた。

「お疲れ様。ここから君1人で行くんだよ。いいね?それじゃあいってらっしゃ...」

「ちょっ、待てよ。」

「ん?どしたの?」

「いや、最後に1つ言っときたくてな」

「なんだよ〜!照れくさいなぁ。なになに何だね?」

これだけは言っておきたかった。

「本当に短い間だったけどありがとな!また会えるかな?」

「君が地獄に落ちれば会えるね!なーんてね?ふふっ。」

「んじゃもう二度と会えないかもな!なんてな!じゃあな!本当にありがとう!」

「あぁ!元気でね、歩くん!君はきっと天国行きだよ!」

「ありがとうよ!」

そう言って俺は異国入国管理所の中に入っていった。

中はリンが言っていた通り完全機械化されており、管理所の扉を開けた直後まるでジェットコースターのようなものに乗せられた。

アナウンスが流れた。

「これより死人検査を行います。目の前のDeadスキャナーの座席に深く腰掛け、シートベルトを締めてください。」

これに乗るのか。よし、とりあえず指示に従うか。そうして俺はDeadスキャナーに乗り込み指示に従った。

「死人乗車認識。これより検査を開始する。」

Deadスキャナーが動き出した。検査結果は良性。つまり死人ってことだ。

嬉しいような、悲しいような。

俺はDeadスキャナーから降りた後異国入国管理所を抜け、裁決場へと向かった。裁決場へはバスを利用するらしい。バス乗り場には俺の他に老若男女、多くの死人がいた。皆ようやく自分の死を認識してきたようだ。そうもしているうちにバスがやってきたようだ。

裁決場行き と書かれたバスに乗り込み俺は裁決場へと向かった。

バスの車窓から見えるのは燃え盛る炎やな満ちた山々や昔話で見たような地獄の風景もあったが、一番驚いたのは裁決場へと近づくにつれ現代都市のように都市化していたことだった。

「地獄も結構現世に似てるんだなぁ」

炎に満ちた山々があったのは地獄でも結構辺境地だったらしい。全くすごいものだ。

バスはようやく裁決場に到着した。

「つ、ついたここが裁決場...」

とうとう地獄か天国か決まる。

俺は息を飲んだ。心臓は止まっているが動悸のようなものさえ感じた。悪寒、興奮、不安、恐怖?わからない。とにかく体が震えていた。裁決場へは死者の列が連なっていた。俺はドキドキしないはずの胸を押さえながら列に並んだ。

「頼む、天国であってくれ...」

そう願う他なかった。ようやく裁決場には入れた。中に入るとツノのようなものと漆黒の羽の生えた人が死者たちを案内していた。

「あれは悪魔だろうなぁ。」

悪魔であろう人は死者たちにこうアナウンスしていた。

「死者の皆様、ようこそお越しくださいました。これより天国、地獄の裁決を機械を用いて行なっていきます。こちら Dead or Live 略してDoLを使用し裁決を行います。こちらスキャナータイプでございまして、顔を画面に映すと結果が音とともに表示されます。ピーとなれば天国。ブーとなれば地獄でございます。裁決後天国なら天国入国管理所、地獄なら地獄入国管理所に案内させていただきます。それでは皆様行ってらっしゃい!」

DoLかぁ、怖いなぁ。自分の番が回ってくるのが恐怖でしかなかった。ピーとなってほしい。頼む鳴ってくれ!鳴らないと死ぬ!死んでるけど!

前からブーと鳴った。どうやら地獄行きのようだ。

「ギャァァァァァァァァ!!!」

叫び声が館内に響いた。

裁決待ちの死者たちがざわめき出した。やばい。帰りたいと思った。帰る場所なんかないけど。だって死んでるんだもん。とうとう俺の番のようだ。

俺はスキャナーの前に立った。俺は唾を飲んだ。

「ゴクッ...」

画面に顔を映した。判定はー

「ピー!」

や、やった!天国だ!天国なんだ!やった!やったぞ!

俺はスキャンを終え、悪魔に導かれ、天国入国管理所に向かった。そこまるでかの有名なパルテノンは神殿を思わせるような建物だった。入り口を抜けた先では天国の住民登録が行われている様子だった。入国管理所助の職員であろう天使は俺たちに告げた。

「ようこそ!天国へ!善人の皆様、住民登録をこの先で行なってくださいね!」

異界では天国行きの人間を善人と呼ぶらしい。

「やっとこさ住民登録か。長かったなぁ。」

その頃天国ではー

「諸君、この度は急な要請に応じてくれてありがたく思う。」

「いえいえ、我々大天使、神にお呼びいただけるなどとても光栄でございます。だろう?」と大天使ウリエルは他の大天使3人に言った。

大天使は全員で4人。ウリエル、ソフィー、ガイア、ティアだ。

「ええ、その通りですわ。我々大天使は神に仕えることこそが幸せなのですから。」とソフィー。

「あぁ!俺たちゃあんたに呼ばれればいつ、どこにいても駆けつけるっつーもんよ!」とガイア。

「は、はい!わ、我らが万物の父に呼ばれたことを光栄に思います。」とティア。

「今回、大天使諸君に集まってもらったのは他でもない、近年の天国の天使増加問題に関してだ。」

天国は近年の急激な天使増加問題に直面していた。実は天国も無限大に広がる空間ではないのだ。正確には広げることはできるのはできるのだがそれには多大な労力と時間がかかる。そして天国の天使増加問題は地獄の悪魔•鬼の減少問題にもつながっている。地獄では今、人出不足に悩まされている。地獄ではそれに対応すべく機械化が進んではいるがやはり悪魔•鬼の必要な場面は多く存在するのだ。

「とうとう天国も受け入れ人数に限界がきている。」

「やはり原因はあれですか。」

「うむ、SISが原因だ」

SISとはMicrosystem社によって開発された超高性能の防犯AIのことだ。世界は超高性能の防犯AI「SIS」によって監視されるようになってから犯罪という言葉が死語になってしまうほど犯罪が激減。世界で年間、犯罪の起きる総件数が一桁台に達するまでとなっていた。世界は極限まで犯罪を無くなった世界へと変貌していた。

「そ、そんなぁ!ど、ど、どうしたらいいのかなぁ。どうしよう、どうしよう!」

「少し静かにしたまえティア!神の前でなんと失礼な!」

「いや、良いのだウリエル。お前の気持ちはよく分かるティアよ。どうしたものか...」

「天国に入国し天使として受け入れる以上、衣食住を最低限保証する必要がある。だが衣食住の住が不足しているのは我々としてもすぐに対応できる問題ではないですからね。」

「確かにそうだよな。ソフィーの言う通りやっぱ入れる以上はちゃんと面倒見なきゃだよな。」

「神よ。やはり私が以前より提案させていただいているアレしかないのでないでしょうか?あの策を取れば一時的に天使増加を防ぎ、その期間の間に我々大天使や一般の天使と共に天国の領域を拡大することが可能です。」

「ウリエルよ。あの策だけはあれほど言ったではないか!あの策だけは絶対になしてはならぬ。あの策だけは。」

「仕方ありません。どうぞお入りください。」

「失礼したします。閻魔大王を務めさせていただいております、サタン。ここに参上いたしました。」

「おぉ!サタンではないかどうした?何の用なのだ?」

「今回は悪魔•鬼の減少問題についてお話しさせていただこうと思いまして。」

「ふむ、それでは始めよ。」

「了解いたしました。まず、私が今回の件でお伺いさせていただいたのはですね天国から天使を分けていただきたいのです。現在地獄は悪魔•鬼の減少問題に直面しております。近年善人増加が著しく地獄に人が回ってきません。どうか一部天使で構いませんので悪魔か鬼に転生し地獄に来ていただけないでしょうか?」

「な、なんだと貴様!自分が何を言っているのかわかっているのか!」

「も、もちろん承知しております。それをふまあ我々には今優秀な悪魔•鬼が必要です。しかし善人増加が原因で極悪人しか降りてこないがゆえに優秀な悪魔、鬼の育成ができません。そこで天国から天使が欲しいのです。もちろん来ていただく条件はあります。もし来ていただけるのであれば悪人は異界に来て地獄行きだと裁決が決まったら即刻無限地獄に投了し接触を無くします。どうかお願いできないでしょうか?」

「どうでしょうか?素晴らしい提案かと私は思うのですが?」

「いや、しかしだなウリエルよ。私も良い案だとは思うのだが反感もかなり多いと思うのだよ。」

「神よ、あなたも重々承知しているかと思いますが近年の天国と地獄に何か違いがあるのでしょうか?強いて言うならば地獄には悪魔•鬼養成施設があるかないがでしょう?」

「それはわかっておる!いや、しかしだな。いやまてよ、あそこは確か...」

「そうです、あそこには階級(グレード)があります。そして異界憲法17条には地獄内階級にて最上位に達したものは天使に転生する権利が与えられる。とあります。」

異界憲法、それは異界に定められた法律である。そして天国、地獄は共に階級制なのだ。

「そうか、そう言うことだなウリエルよ。」

「さようでございます。」

「ウリエル?それで本当に大丈夫なのか?俺は不安だぜ...」

「心配しすぎだ、ガイア。ソフィー、ティアはどう思う?」

「えぇ、名案かと。」

「わ、私も特にふ、不満はありません。」

「だそうです。どういたしますか?」

「うむ。分かった。大天使諸君がそこまで言うのであれば私も安心だ。では早速実行に取りかかれ!今すぐだ!」

「ハッ!」

こうして天国では着々と善人の締め出しが始まっていった。

歩は住民となるために天使の輪と羽を授けてもらうため住民登録を済まし、天国の入り口へと向かった。

「これから天国での生活かぁ。本当どんなとこなんだろう。」

天使になれると分かっていてもやはり以外での生活は不安だ。慣れない土地に行く時と同じ気分には浸っていた。

歩はようやく天国の入り口に到着した。

「やっとかぁ。案外長かったなぁ。」

「住民登録をお済ませの方こちらに並んでください。これより天使の輪と羽を授けます。」

いよいよだ、いよいよ始まる。俺の天国生活。やっと俺の番が回ってきた!

「それでは装着していただきます。目を閉じでくださいね。」

とうとう天使に転生だ!と思ったら...

「す、すみません。上からの緊急連絡です。輪と羽の装着。今しばらくお待ちください。」

えっ?何?なんなの一体?え、怖い怖い怖い。周りの善人も同じようにざわめき出した。一体なんだと言うのだ。

「えー、緊急連絡です。これより天使の輪と羽の贈与を停止いたします。」

えっ?どういうこと?歩は理解が追いついていなかった。

「これより約1万年間の天使転生が禁止となりました。これより皆様には地獄に降りていただき、悪魔•鬼のどちらかに転生していただき、悪魔•鬼養成学校。EvilGrowSchool。略してEGSに入学していただきます。」

な、なんだってー!!!

そんな急にどうして!善人の俺が悪魔か鬼に転生しなくちゃいけないんだー!

果たして歩はどうなってしまうのか!

次回に続く...

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