探索 一軒目
2019年9月21日
俺の家を出て三十分程たった。
涼太の家が見えてきた。いつもは五分で着くのだがゾンビを見る度に回り道して来たのでこんなに時間がかかってしまった。
まあ、涼太がゾンビを見る度に倒しに行こうとするのを必死で止めていたというのも理由のひとつだろうが。
幸い近くにゾンビはおらず静まり返っていた。
涼太はドアノブを回そうとして硬直しポケットを探り始めた。
洋介が困惑しながら
「鍵は?」
と聞くと涼太は
「忘れた!」
と堂々と言った。
「じゃあどうすんの?」
と俺が聞くと涼太はニヤッと笑ってどこからともなく針金を取り出した。
涼太は針金を鍵穴に突っ込みカチャカチャし始めた。
数分後
カチッという音がしたかと思うと涼太は軽くガッツポーズをしてドアを開けた。
そういえば、涼太の家に入るのは初めてだ。拓也と洋介に聞いたが二人も来るのは初めてらしい。
なお、俺達四人は幼なじみであるにもかかわらず涼太の家だけ行った事がないのは・・・いいやこれ以上は語るまい。
家の中は誰もおらず静まり返っていた。涼太は自分の部屋に向い俺達もついて行く。
涼太の部屋は普通だった。
部屋はゴミもなく机は整頓されている。
まあ、普通だった。
涼太が押し入れを開けるまでは。
涼太は押し入れの扉を開け、段ボール箱を出し始めた。俺達も手伝わされた。
「この段ボールの中に武器があるのか?」
と拓也が聞くと涼太は
「違うぞ?」
と言った。
訳が分からない。
その訳はすぐに分かった。
押し入れの中がすっかりなくなると涼太はその押し入れの床板の端にある紐を引っ張ると床板が持ち上がった。
そこには床下を掘ってそこには一メートル四方の穴があった。
そしてその中にはいろいろあった。
バール、バット、ナイフなどの武器。
謎のビンに入った薬。
薬を作るのかいろいろな道具。
「毒薬の正しい作り方」とか「動物の正しい解剖の仕方」とかなかなかやばそうなタイトルの本が十冊程あった。
牛乳ビンに入ったカエル?何かの液体に漬けてある。
・・・ホルマリン漬け?
「まじかー」
と洋介がつぶやくと涼太が得意げに言った。
「俺の宝物だ!」
今まで見た中で一番の涼太の笑顔を見た。
沈黙する俺達。拓也と洋介が今考えている事が手に取るように分かる。
なぜなら俺も同じ事を今考えているからだ。
考えている事とはすなわち、
(こいつ、やばいのは昔から知ってたけども・・・ここまできたか。)
まだ三軒行く内の一軒なのに一気に先行きが不安になった。
今回は涼太がかなりヤバいですね。途中で(やばいかな?)と、思っていましたが(まあいいや。)という事でこうなりました。
次回はもっと早く出せる投稿できるよう頑張りますので応援よろしくお願いします!