探索 出発編
2019年9月21日
昨日の夜作戦会議を開いたがまともな案が浮かばず4人はテレビに目を向けた。
この騒ぎは東京湾から広がったらしくなんでも朝突っ込んできた船が原因らしい。全国に現在進行形で広がっているらしくいずれ世界中に広がっていくとのことだった。
現地のリポーターの人が生中継で襲われた時はすぐスタジオに映像が戻りアナウンサーの人もゲストの人も青ざめていた。
スタジオの人達は青ざめながらも話していたのだがゾンビが乱入してきた。スタジオは騒然となった。
スタジオは言葉どうり地獄絵図となった。
しかもほかの人も全員やられたのかカメラはゲストやアナウンサーの人が喰われているのを生中継で放送し続けた。
拓也が慌ててテレビを変えるがほかの局は放送をしていなかった。
そして寝ることにしたのだ。
危ないとは思ったが家族が帰ってくるかもしれないので玄関の鍵を開けておいた。
しかしその夜、家族が帰ってくることはなかった。
(あれはやばかったなー)と昨日のあれを思い出して身震いをする。
ついてもいないのにテレビのチャンネルを変えているとみんなが起きてきた。
みんな起きて来て家が少し騒がしくなった。でも少し嬉しく思ったのは気のせいではないだろう。
朝ご飯はいつ電気が止まるか分からないので冷蔵庫の中の物を先に食べる。ウインナーを焼き卵焼きを作る。あとご飯は炊いてあったのですべて朝ご飯とおにぎりにした。
みんな嬉しそうに食べた。そのあとご飯を炊けるうちに炊いて、水もいつ止まるか分からないので風呂をきれいに洗って水を張った。ほかにある容器にも水を入れた。
そしてみんなで改めて話し合った。
「これからどーするよ?」
と俺が聞くと
「家族が心配だし帰りたい」
と洋介が言った。
「俺も帰りたい。家族が心配だしまたここに戻ってくるにしても一度帰りたい。」
と拓也が言った。
「俺も一度帰りたい」
涼太だ。やはり涼太もなんだかんだ家族が心配なんだな。
「武器を取りに帰りたい。バールとかナイフとかなー」
(・・・え?そこ?)
みんながそう思った。
「理由・・・それ?」
拓也がそう言ったのだが。
「バールだぞ?ゾンビゲーじゃお決まりだろ?」
そう涼太は言った。
(ずれてる!ずれてるよ涼太さん!)
とみんながそう心の中で絶叫した。
・・・やはりみんな一度家に帰りたいようだ。例外もいるが。
「そういえば食料はどの位もつんだ?」
と洋介が言った。
そうだ。食料の問題があった。いずれ食料は尽きるだろうし電気が止まればもっと早く食料は無くなるだろう。
「探そう」
と俺が言うと涼太も
「飯を探しに行くぞー」
と言った。
こうして鶴の・・・いや涼太の一声で食料を探しに行く事になった。
とりあえず外に行く準備を始めた。
俺と拓也と洋介はおにぎりを作る。
具?塩と海苔だ。長持ちさせたいので具はこれだけだ。
おにぎりが二十個位できた。頑張った。すぐなくなりそうだが。
そんな中涼太はバットで素振りを始めた。家の中で。とりあえず涼太からバットを奪いおにぎりを作らせた。
何気に俺が作ったのよりきれいな三角である。なんか負けた気がした。いや負けている。
見返さねばと俺もおにぎりを作る。しかし勝てない。
まだまだ勝負はこれからと思っていたら米がもうない。勝負はお預けになった。
涼太が左を見て衝撃を受けている。左では洋介と拓也がうまくおにぎりを作っていた。
俺と涼太のおにぎりに比べて雲泥の差だった。
負けた。完敗だ。
俺はリュックに水とおにぎりを4人分詰めたついでにグミや飴を入れた。
台所の机の上に水の入れたペットボトルとおにぎりを5個置いて紙に
「俺は無事。ちょっと食料とかを集めてくる。9月21日 大樹」
と書いておにぎりの傍に置いた。みんな無事だといいのだが。
家を出て俺の自転車の籠にリュックを入れて残りの3人は歩きだ。文句を言われたので仕方なく自転車は交代制にした。
金属バットは2本あったので涼太と洋介に渡した。洋介は少し不安そうだったがのだが、涼太はバットを眺めながら、「頭をかち割って」とか「にんげ・・ゾンビ殺し放題」や「俺の時代だ」などとやばそうな事を呟いている。
・・・何も見なかったことにしよう。うん、そうしよう。まあ、止めれたら止めよう。
俺達四人は一人危ないのが混じっているが出発した。
まずは涼太、拓也、洋介の順番で家を回ることにした。ゾンビとなるべく戦わなくていいように、曲がり角などは何度も確認し、ゾンビがいる道は避けて遠回りした。
そしてやはり涼太は大人しくする事はなかった。
ゾンビのいる道に吸い寄せられるように何度も行こうとした。
それを慌てて三人掛かりで止めた。涼太は不服そうに「なんで止めるんだよ?」と聞いてきた。拓也が馬鹿を見る顔で
「逆になんで行くんだよ?」
と聞くと涼太は当たり前のように
「にんげ・・・ゾンビを殺しまくるためだ!」
楽しそうに涼太は言った。いやそれより今こいつゾンビの所を人間って言いかけた?これは問い質さねば。
「今さ、ゾンビの所人間って言いかけた?」
しばしの沈黙の後
「イヤソンナコトナイヨー」
駄目だ。確信犯だ。
とりあえずゾンビ倒したら血で汚れると言い訳をしてゾンビのいる道を迂回した。
探索に出て直後にこれは先が思いやられるが俺達の探索・・・いや、俺達のサバイバルは始まったばかりなのだ。