パニック
2019年9月20日 金曜日
34Rの教室ではドアに椅子と机を積んで作ったバリケードが築かれていた。廊下ではゾンビがいるのかペタペタと足音がしている。
教室内は静まり返っていて誰一人言葉を発することなく教室の隅に固まった。
教室に立てこもり2時間がたったその時だった。
ドガン、ガシャン、ガラガラ。
「うわーー」「来るなー」「キャー」
と、隣の教室から破壊音といくつもの悲鳴が上がったのは。
ブチッ、ペチャッ、グキッ、クチャ
同級生の絶叫と骨を折り、肉を食い千切るような音が夕日の差し込む教室に響き渡った。
さらに逃げようとしたのか、ガラララという音の次に立て続けにグチャッグチャッという音が聞こえてきた。
それが隣の教室の生徒がゾンビから逃れようとして4階から飛び降りたのだと下を見た女子が悲鳴を上げた事でみんなが悟った。
そんな音を聞いておまけに地面に散らばるグチャグチャの生徒を見て何人かは悲鳴を上げた。「ゾンビが来るから静かに!」と言ってもこの状況でパニックにならない方がおかしい。
余計にパニックになるだけだった。
大きなな音に寄ってきたゾンビがドアを叩き始めた。
始めの方はみんな必死に机や椅子を押していたが、ゾンビがドアを倒した。みんなその姿を見て机から手を離して教室の隅に逃げていった。
逃げなかった何人かで少しの間は耐えていたが数十秒もしないうちに押し返されバリケードは崩されて、ゾンビが十数匹程入ってきた。
何人かゾンビに噛みつかれて倒れた。諦めて座りこんだ人も出て教室は大混乱となった。
何人かは諦めず逃げようとした。
俺達とあと20人位が窓から出てパイプづたいに降りていった。地面に足がつくなり俺達は校門に走り出した。
校門に行く途中もゾンビはいて何人か噛みつかれて倒れた。周りを見ると幾つもの死体が転がっていた。
校門に着く頃には俺達だけになっていた。
道路を見るとそこにもゾンビがいた。ここにいるのは危険だということで学校から近い俺の家に向かった。
俺の家に向かう途中もゾンビがいてそいつらがいる道路は遠回りしてやり過ごした。
家についた。
鍵が掛かっていたので、ベランダから入り玄関を開け3人を家に入れた。
家の中にもゾンビがいるかもしれないと思ったが、幸い家の中にはゾンビはいなかった。
テレビを付けると2局が頑張っていてどちらもゾンビについて報道していた。
分かったのは
ゾンビは人間を見つけると襲いかかってきて噛まれる。
体全て食べられることもある。
噛まれたらゾンビになりゾンビになるのは大半が噛まれてすぐ。
頭を潰すと動かなくなる。
この四つだった。
そして俺達は作戦会議を始めた。これから先も生き残る為に。
「で、これからどうすんだ?」
「うちの食料はすぐ尽きるぞ。」
「探しに行かないとないな。」
「外のゾンビは?」
「何弱気になっているのだね拓也君。ゾンビ
なんぞ蹴散らせばいいのだよ。テレビでも言っていたじゃあないか。頭を潰せばいいのだよ頭を。」
「どうやって?」
自信満々に言うので聞いて見る。ドヤ顔なので素晴らしい案を思い付いたに違いない。みんながそう思った。
「ショットガンだー!」
「うちにショットガンはないぞ?」
「チッ。何で無いんだよ」
「逆に何であると思ったんだ?」
「しょうがないな。それならチェーンソーで我慢してやる。持ってこい。」
「それも無いわ!てか何でそんなにえらそうなんだ?」
という感じの話が続き結局涼太はしぶしぶバットで妥協した。そして明日の作戦を立て俺達は眠りについた。