序章 研究者クラードの願望
今回と次回は本編ではありません。一話だけにするつもりでしたが四千字は長いと思ったので二話に分けました。
何字位がちょうどいいか教えて下さい。
2019年9月17日
この施設は太平洋にある島の密林の奥深くにある米軍の施設だ。
そもそも大半の国はこの場所を知らない。知っていたとしてもせいぜい軍の訓練場としか知られていない。
この施設では今までの戦争を覆す生物兵器の研究が極秘裏に進められている。
その兵器は中東の紛争で敵の軍が使ってきた物だ。それは米軍が研究者を取り込みその紛争関係者を買収し、又は取り込み、それでも駄目な人間は社会的にも物理的にも始末してもみ消した。
その兵器は、先に対策を立てられたら為す術なく失敗するだろうが、そうでなければとんでもない被害を生むのは間違いないなかった。
この施設が完全に秘匿されているのはそういう理由でもあった。
その施設で、今喫煙室で煙草をくわえているクラードも取り込まれた者の一人だった。
煙草の煙を口から勢いよく吐き出しつぶやく。
「帰りたい。」
それが研究者クラードの偽らざる本音であった。
細菌専門の研究者としてアフガニスタンでそれを開発に携わっていた。紛争に負けてからここに連れてこられ生物兵器の研究をしていた。
待遇は想像よりもよかった。
個室は風呂もトイレもあるし食事もみんなが食べているものと同じで生活に必要な物も、もらいにいけた。
かなり待遇がよかった。期待されているのか?監視の意味合いが大きいと思うが。
やはりというかなんというか家への帰省は駄目でおまけにメールも手紙も認められなかった。
故郷が家族が恋しい。
もう何か月故郷に帰ってない?
もう何か月家族の顔を見ていない?
もう何か月母の手料理を食べていない?
話すだけ、いやひと目見るだけで少しは元気になるだろう。
ここでの暮らしは精神的にきつい。一緒に連れてこられた仲の良い研究者も数名いる。気づかってくれる人もいる。
でも休みの時は常に護衛兼監視として兵隊が必ず二人つく。島では訓練でもしてるのかひっきりなしに銃声が聞こえ、施設内を兵隊がうろついている。部屋の外にも常に兵隊がいる。部屋に入ってこないだけましなのだろうが。
心から休める訳がない。
クラードはここに来て何度目か分からないため息を煙草の煙とともに吐き出す。
「もうなんでもいい。ここから出たい。」
クラードはそうつぶやく。
その願いはもうすぐで叶うことになる。ただそれは彼の望むような形であるのかというと残念ながらそうではないのだか。
運命の歯車は回り出す。それも最悪の方向へと向かって。
慣れていないのでおかしい所があったら教えてくれると嬉しいです。
これから頑張るので応援お願いします。