表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
はずれ勇者と諸刃の剣  作者: サムライ
8/19

二組合同訓練 前編

訓練開始から四日が経過して、今日は五日目だ。

一日目は僕の失敗でほぼ出来ていないようなものだがそのあとの三日は必死に頑張って、なんとか連携が取れるようにはなってきた。

レベルも三人は6、僕は5で全体の平均が7なので追いついてきてはいる。


同じパーティであれば誰が倒しても経験値は入ってくるようだ。

しかし、気絶や遠い場所にいるなどの理由で戦闘に参加しなかった場合は取得経験値は半減するらしい。

だから、僕だけレベルが低い。


そんな中、今日は広場に4チームとも整列するようにいわれた。


あれは・・・たしかライザー中佐だったかな。

僕達の前に出て話すのは二度目だ。


「今日は2組合同で協力してダンジョンに潜ってもらう。」


「え・・・。」


これはまずい。

足手まといになってしまわないかという不安が僕の心を埋め尽くす。

三人は優しいから僕が失敗しても笑って許してくれる。

それに甘えて努力を怠るようなことはしていないが、それでも三人の存在があるからこそ頑張れてこれた。


しかし2組合同ということは更に4人の仲間ができるということだ。

正直言って怖い。

迷惑をかけないか。

怒られないか。

そんなことばかりが頭をよぎる。


「冒険は別々にすると言っても魔王討伐は四組十六人編成で行ってもらう。今日と明日はそのための訓練だ。」


「「「はいっ。」」」


僕達の返事のあとライザー中佐が「解散。」といったのを合図に場の緊張感は一気にほぐれる。

だが、僕の緊張は全くほぐれない。

むしろ、心臓バクバクだ。


「君達!こっちだ。」


エリーナさんが僕たちに手を振っている。

隣には知らない男の人。

何度か見たことはある顔だ。

おそらく別のチームを指導している人だろう。


「今日はよろしく、僕は別のチームの指導を担当しているマシュだ。」


そういってにこっと笑う。

とても優しそうな人だ。


「それでマシュ。」


「なんだい、エリーナ。」


「その貴様の担当していると言うチームはどこだ。」


「あ、忘れてた!んー・・・と、いたいた、おーい!こっちだ!」


しっかり者に見えてどこか抜けているマシュさんであった。


マシュさんを見つけた男二人、女二人の計四人が歩いてくる。


「おう、お前達が一緒に訓練する仲間か!」


そう声をあげたのはいつぞやのムキムキ君だ。

今日もまぶしいくらいの爽やかな笑みを浮かべている。


「俺はルドだ!」


「あ、あの・・・私メルです。」


「あたしマリサ・・・てかこいつ初日でゴブリンにぶん殴られて倒れたやつだろ?大丈夫なのかよ。」


「マリサ、いきなり失礼ですよ・・・おっと、僕はシンです。」


マリサと呼ばれた女の人が、僕のことを睨んでくる。

こわい。

めちゃくちゃこわい。


「でもあれからレベルは僕達に追いついてきてるんだろ?一日分の遅れがあるのにたいしたもんじゃないか!」


「おお、すごいな!」


バシンッ。


マシュさんの言葉に続いてルドが嬉々とした表情で僕の背中を叩く。

正直言って痛い。


ルドの武器はその体ほどの大きさもあろうかという大剣。

ムキムキの体によく似合っている。


メルと名乗った女の子は恥ずかしそうにみんなの影に隠れている。

小さな体でぎゅっと杖を抱きしめている姿は小動物のようで可愛い。


マリサは小さな杖だ。

片手で扱うような三十センチほどの木の棒。

今の所はメルかマリサ、どちらが回復でどちらが攻撃かまではわからないが二人は魔法使いで間違いないだろう。


そして、シンは槍?薙刀?グレイブ?

いや、それよりは中国の青龍偃月刀といったほうが正しいのだろうか。

シンはアジアっぽい顔つきからして中国人なのかもしれない。

刃に龍の紋章が彫られたその武器は、なんというか・・・かっこいい。


「ユウ・・・ユウ?」


「ん!なに?」


まずい、話を聞いていなかった。


「自己紹介。」


クロナが僕の耳元で囁いた。


「あ、ユウでし・・・!」


噛んだ・・・。

最悪だ・・・。

おそらく今僕の耳は真っ赤に染まっていることだろう。


「がははははは!ユウか!おもしろいやつだな!」


「ちっ・・・ほんとに大丈夫なんでしょーね。」


ルドが僕の背中をバシバシと叩くのも痛いし、マリサの視線も痛い。

ほんとに大丈夫・・・なんだろうか。


「とほほ・・・。」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ