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はずれ勇者と諸刃の剣  作者: サムライ
17/19

ノアの機能

もぐもぐ・・・。


猿との遭遇から半日ほど、俺は俺が目覚めた湖のところに戻ってきていた。

そこで壁にあいた横幅4メートル縦幅2メートル奥行き2メートルほどの穴の中に隠れ、なんとか動かせるようになってきた左手で非常用の干し肉を食らっている。

ここは地上から3、4メートルほどの高さにあるため魔物に見つかる確立も低いだろう。


登るときは苦労したがなかなか眺めもよくて気に入った。

天井にはたくさんの光る鉱石が散りばめられ、まるで星空。

眼下を眺めれば月夜に照らされた海のような湖が広がる。


心が癒さr・・・。


「ん?」


メキメキ・・・。

バキッ・・・!


鉱石が自分の重さに耐え切れなくなったのか、われた!

そのまま一直線に湖へと落ちる。


これはまるであれだ。

よく地球温暖化のやつで見る、氷河がドーンでわれるやつみたいだ。


パチッ、パチッ、パチッ。

・・・ドガァァァアアアアアアアアアアアアン!!!


ええええええええええええ!?


さっきの鉱石が水につくと同時に大爆発を起こした。

驚きのあまり、俺の顔はたいそうマヌケな事になっているだろう。


『これは興味深い、あの鉱石使えそうですね。』


「使えそうって・・・あぶねぇなぁ。」


いや、でもたしかに使えるかも知れんな。


「・・・。」


しばらく周りを警戒してから穴を降りる。


『我が主、私をちょっとそこの湖の中においていただけますか?』


「あ?ああ、いいけど。」


またノアが変なことをいいだしたぞ。


「ほれ。」


チャポン。


言われた通り湖の中につける。


『スキル:水鉄砲を習得しました。』


「水鉄砲?」


『はい、新しいスキルです、私はそれはそれはすごーい武器ですから接触したものを捕食することでそれに応じたスキルを習得することが出来るのです。』


「なにっ!」


こいつはどこまでチートなんだ。

なんかめちゃくちゃ頼もしく見えてきたぞ。


「じゃ、じゃあこいつを捕食すれば。」


俺は鉱石を指差す。


『やってみましょう、固形のものは細かくしていただかないといけませんのでダガーを使って割ってください。』


なんか楽しくなってきた。

鉱石にダガーを付き立て何度か同じ場所を叩く。


カン!カン!カン!


カリンッ!


そうすると小石ほどの大きさの欠片が取れた。


「これで大丈夫か?」


『はい、ありがとうございます。』


ダガーの上に欠片を一つ置く。

それがみるみるうちにダガーに吸収されていく。

まるでスライムで満たした水槽に小石を一つ投げ込んだかのように。

それが薄くて硬いダガーの上で行われているのだからなんとも言えない不思議な光景だ。


『スキル:武具撃水結晶化を習得しました。』


武具撃水結晶化・・・。

水鉄砲は大体の予想がつくけど、武具撃水結晶化っていうのはよくわからないな。


『解析・・・解析・・・解析・・・解析完了、素材名は撃水結晶、その多くは水辺で生成されるにも関わらず水と交わると激しく反応を起こし大爆発する厄介な鉱石です。』


そうなのか。


「こういう石を吸収してもスキル覚えるのか?」


『もちろんです、私が吸収できないのは命あるものと魔力で生成されたもの、それと幻影くらいのものです。』


小石を一つ手に取る。

いろんなものを食べさせてみたくなるな。


しかし周りをきょろきょろと見渡しても他には特に食べさせられそうなものは見当たらない。


食料の問題がなければ干し肉なんかも食べさせてみたかったが、今この状況においてそんなことを出来るほど俺の頭はお花畑じゃない。


カリンッ・・・。


ダガーの上に小石を乗っける。


『スキル:武具石化を習得しました。』


つまりこれは武器の素材を石にできるってことか?

なんだか・・・弱そうだが。


「とりあえず・・・。」


拠点に戻る。

といってもすぐそばの壁をよじ登るだけだが。


「さてさて・・・。」


そういえばだが、レベルが上がってスキルポイントがたまっていた。

だが、ノアがいるならまだいいかと後回しにする。


今は・・・。


「ノア、水鉄砲!」


『了解しました。』


ダガーの形がみるみるうちに変わっていく。

あれだけ硬かったダガーがぐにゃりぐにゃりとうねる。


少ししてその動きは止まる。

出来上がったそれはタンクがついたハンドガンのようなものだった。

一体どの程度の威力のものなのか。


武器の形が変わるという演出のおかげで期待値も高まる。


「・・・。」


ぴゅ~・・・。


「・・・おい、嘘だろ。」


『冗談です。』


ザァァアアアアアアッ!!


最初は駄菓子屋に売っているおもちゃの水鉄砲程度の弱々しい威力だったが、それはまたいつものノアジョークですぐに消防車のホースから出るような威力の水になる。

こいつは人工知能のようなのに冗談を頻繁にかましてきやがる。

変なやつだ。


「わっふーい!」


めっちゃ楽しい。


『空気中の魔力で生成するため弾切れなし、お気に召しましたか?』


「ああ!」


楽しくはあるがあんまり遊んでいると魔物の襲撃を受けかねないので、これくらいにしておく。


「ふぅ・・・それと、結晶の武器ってのはどんなんだ?」


『水に触れると爆発するのでお気をつけを。』


カリンカリンカリン・・・。


硬いもの同士をぶつけたような甲高い音が無数に響く。

響くといってもうるさくはなく、むしろ心地がいいくらいだ。


そして、俺の手の中にはいつもの黒くて無骨なダガーではなく半透明で青白く光る美しい短剣が姿をあらわす。

長さが通常状態のダガーより多少伸びている気がする。

でこぼことして切れ味はさほどよくはなさそうだが、リーチが長いのは戦闘において重要だ。


光っているというのは長所にも短所にもなるな。

暗闇での明かり代わりになるのは嬉しいが、めだってしょうがない。


「最後に石の武器を。」


『はい。』


メキメキ・・・。


今度は地面が割れるような音がする。

何度見ても他の武器に変わる瞬間というのは不思議だ。

こちらの世界では魔法もあるんだし普通なのかもしれないが。


変化した後の姿は片刃の真っ直ぐと伸びた直剣だった。

刃は幅広で、表面がざらざらしている。

リーチでいえば今のとこ一番かもしれないが、切れ味、耐久力ともにあまりなさそうだ。


「今あるのはこんなとこか・・・。」


さてさて、どう地上に戻ったものか・・・。


俺は地下1500メートルで一人唸りをあげた。

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