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いつものように
お昼にみんなでオークの肉を食べようと王都の外に行くと
何かを言いたげな孤児達が
(あれっ どうしたんだろう?)
イリスが暗い顔で近寄ってきた
「あつし様 マヤ達が その 自慢したみたいで」
マヤとはイリス達と一緒に回復薬を作ってくれている女の子
「え~っと 何を」
「その 沢山貰っているって」
(あっ そうか まあ まったく稼ぐ金額が違うからね)
剣を持った男の子が近寄ってきて
「もっと 護衛費を上げて欲しい」っと
魔物運びをしている男の子も
「もっと下げて欲しい」っと
そして 12歳の男の子が近寄ってきた
イリスが小声で俺に
「リーダーです」っと
「俺達は自分達でも稼ぐことが出来る 感謝してるけど その 自分達だけでやりたい」
周りの孤児達もコクリ コクリと
俺は即答で
「いいよ じゃあ 契約は今日までだね 今までありがとう」
俺は皆に頭を下げた
孤児達は笑顔で やった~っと喜びあう
リーダーは俺のおかげだぞ 明日からは もっと稼げるぞ~ っと喜んでいた
更に回復薬を一緒に作っている女の子達が
「私達も自分達でやるから 今日までいいですか」っと
俺はもちろん 即答で
「いいよ 今まで ありがとう」っと
女の子達も笑顔で立ち去っていった
イリスは困惑した顔で
「いいの? 回復薬 沢山作れなくなるよ」
「別にいいよ お金は十分稼げたからね」
「でも 私は続けたい」
「アオもやる~」
「はは それじゃあ 最初みたいに イリスとアオで そうだな 目標は1日千個にしようか それだと 1人金貨50枚になるけどいいかな」
イリスはギョッとした顔で
「それじゃあ いつもより 増えてるよ」
「アオ 頑張る~」
小さな反乱によって 俺の魔物運びは終わってしまった
(そうだ)
「イリス アオ 他の街に行ってみたいけど 2人は」
「行く」
「アオも一緒~」
「いいのか?」
イリスはすぐにコクリと
アオはいつも通り笑顔で 行く~っと
行くと言ってくれると思っていたけど ・・・ 嬉しかった
俺は引越しの準備を終えて ラダマカという街に移り住むことにした
理由は単純に ラダマカには大きな奴隷市場があると教えてもらったからだ
王都の奴隷市場は時々覗いていたが 入れ替わりは少ない
まあ 重犯罪を犯す人なんて そんなにいては困るんだけどね
恐そうな男の奴隷は毎日入れ替わっているようなのだが 連帯責任で奴隷になる子供は年に200~300人何だとか
俺が屋敷の鍵を返すと商人が笑いながら教えてくれた
他の商人が俺の回復薬を作っていた女の子を多額のお金で雇ったのだと
しかし 笑いながら 上手くいってないようですな 何か秘密があるのでしょう 苦草だけで出来たら苦労しませんからね っと
この商人も作り方を調べていたのだろう
女の子達の作業は
苦草を綺麗に洗って 乾かし 潰して丸める
それで出来るのは ただの苦草の塊だからね
俺達は王都から 毎日1回出ている ラダマカの街への馬車に乗り
王都を後にした