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この街では全てが順調に進んでいった
この街では俺に文句を言う人は誰もいなかった
後で理由が分かったのだが
文句を言うと俺がすぐに 他の街に移り住むので
領主やギルドマスターから 俺に文句を言わないように言われていたそうだ
お金を稼ぐ孤児達に不満を持つ冒険者もいただろうが
俺が来る前よりも安全に魔物退治が出来ていて
俺はお昼に 孤児達だけでなく 冒険者達にも オークの肉を振る舞っているのだ
文句を言ったラダマカの冒険者達がどうなったのか噂が流れて来ている
怪我人が続出したり 孤児達がいなくなったので 倒したスライムを運んで欲しいと領主やギルドからお願いされているのだと
孤児達の護衛が街の門を中心に守ってくれているので
何かあれば すぐに 護衛の孤児達の内側に入れば安全になる
前のように孤児の護衛達がいなくなれば 街の中に入るまで気を抜けなくなる
体力をギリギリまで使えなくなるのだ それを忘れて 街から離れた場所でギリギリまで体力を使ってしまうと
街の中にたどり着くまでに スライムにやられてしまうことになるのだ
街の側で戦えばいいと思うかもしれないが
それだと 冒険者が集まりすぎて 効率よく戦えなくなる
冒険者達にも 孤児達の魔物運びはプラスになっているのだ
孤児達がいなくなれば 他の誰かが魔物運びをしなければならない
重い魔物を たいしたお金にならない魔物を街まで運ぶのは割りに合わない重労働なのだが
孤児達がいなくなれば 一番下っ端の新米冒険者にその役割が回ってくるのは言うまでもない
もちろん ギルドや領主は上級冒険者達にも魔物運びをお願いすることになるだろう
俺が街にいることは プラスなのだ
王都やラダマカの二の舞になっては困ると 領主 ギルドマスターは 冒険者 そして 孤児院の院長達を集めて 口うるさいくらいに何度も説明をしていたのだと
ポンテコの街に引っ越して来てから 一ヶ月が経ち
お金が貯まって来たので
奴隷市場に行くことにした
本当はすぐに行きたかったのだが
お金がね
ラダマカの奴隷市場と比べたら狭いみたいだが
ラダマカと王都以外の街の奴隷市場はだいたい これくらいの 同じくらいの広さなのだと
まあ 東京ドーム1つ分くらいの広さかな? って分かり難いか
俺はいつものように ギルドで紹介された商人と一緒に訪れ
そして 1人で鑑定しながら見て回る
今回は 今まで気にしていなかった戦闘職もいたら買おうと思っている
・・・
(おっ あの男の子 当たりかな? よさそうだね)
特殊能力 上級剣士
(え~っと 上級剣士は あれっ 外れなのか?)
マニュアルには 剣の才能がある順に 剣神 剣王 剣聖 剣豪 上級剣士 中級剣士 下級剣士となっていた
勇者の仲間にするんだから 剣神は難しいかもしれないが 剣王くらいの才能は欲しいかな
・・・
(いた 絶対に買いだ 当たり中の当たりかな もしかして 今までにもいたのか 戦闘職も見ておけばよかったよ)
特殊能力 槍神
槍の才能のトップクラス
5歳の女の子ってのが不安なんだけど この世界の強さはレベルが上がれば強くなれる
年齢は関係ない のかな?
薄紫の長い髪の小さな5歳の女の子
ライア 女 レベル1 レベル31で特殊能力 槍神を覚える
他にも剣豪 上級槍士を覚える子もいたが 槍神の後では いまいちに感じてしまい 今回の戦闘職はライアのみにした
戦闘職業のことを商人に聞くと
武器を持たせて素振りをさせるだけで 才能のある男の子の将来性が分かるのだと
まあ 目利きは 才能のある者にしか出来ませんがね っと教えてくれた
(ってことは 男の子で才能のある子供が残っている可能性は低いのかな?)
女の子の才能は確かめないのかと聞くと
商人は笑いながら 戦闘職の才能は ほぼ男の子のみだと教えてくれた
(う~ん それは偏見のような?)
むしろ 女の子の方が才能がある子が多い
(あっ そうか 才能のある男の子は見抜かれて買われているからか)
その道のプロなら 鑑定がなくても 感覚や勘で分かるのだろうか
バート 男 レベル1 レベル7で特殊能力 武具職人を覚える
フィア 女 レベル1 レベル2で特殊能力 アイテムボックスを覚える
俺は3人の子供の奴隷を購入することにした
屋敷に戻り ラナとノルンと一緒に奴隷市場に
金貨1500枚を払う
「ノルン この子はライア ノルンと一緒に戦ってもらうことにする よろしく頼むね」
「というこは この子は」
「まあ そういうことだ 詳しいことは屋敷に帰ってからね」
「うん 私はノルン ライアちゃん よろしくね」
ライアはコクリと頷き ノルンと手を繋ぐ
「ライアには槍を装備させるからね きっと強くなるよ まあ だいぶ先になるだろうけどね」
「うん 分かった 一緒に強くなる」
ライアはキョトンとしているが
ノルンは嬉しそうな顔でライアと話を始めた