夢物語はいかがですか?
お待たせいたしました!
「…………これで、最後っ!!」
俺が石と藁で簡易に作ったお手製の手裏剣が最後の一匹の喉に吸い込まれていき、その一匹の命を消し去った。
ドチャリ
生きていたものが地にぶつかる独特のその音が俺の耳にこびりつき、そして、少しの遅れのあと、モンスターは粒子の如くはぜた。
「…………本当に不快な音だ」
そうぼやきながら、俺は今回の逃走中の際出くわした奴等を倒したときにドロップしたアイテム一覧を開く。
フォン
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goodjob!(SサポートはSSで表示)
◎ドロップアイテム一覧◎
1,ゴブリンポリゴン×3<new!>
2,SSポイズン<new!>
3,モンスターエッグ×1<new!>
4,錆びた短剣×1
5,魔性石×10
▼next
合計入手金額
14589円+(素材ボーナス)5222円
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「おお、中々に良いものがドロップしている……、流石に高難度エリアに無茶して死にかけただけの成果はある!」
表示されたアイテムの数々を見て思わず一人で俺はガッツポーズをとる。
おまけに高価で取引されるモンスターエッグがあるため、これから一週間は金に困らない。
新しい防具や武器も調達できる。
その事が余計に夏目を興奮させた。
「よし早速カツマとクレに伝えよう!あいつらも今日は数日振りに安心して眠れるぜ!」
そう言うと俺は体を固有『グロウステータス』を使って強化し走り始めたーーー
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数時間後。
俺は街に無事帰還した。
見慣れた穏やかな風景に、俺は心を落ち着かせる。
「…………そうだ、焦らなくてもいい。もう、俺は間違えない。…………負けられない」
大きく息を吸い込み、ゆっくりと俺はある一つの建物に足を運ぶ。
カラリ
鈴の軽やかな音が店内に滑らかに響いた。
「ちはー」
その店のなかは何処も綺麗されていて、優しげな印象を感じる。
「はーいちょっと待っててねー!」
鈴の音に気づいた女性が、店の奥から涼しげな声が此方にそう呼び掛ける。
その声に俺は一応
「はーいっ」
とだけ答えておいた。
すると1、2分位だろうか。
奥からエプロンを首からかけた少女が小走りに駆けつけてきた。
「あっ、お帰りですよ夏目くん!」
「あぁ、ただいま」
こいつは霧乃原クレ。(18)
俺の大切な家族の一人だ。
その美しい容姿と性格、更に上位に匹敵する回復スキルも兼ね備えていることから、度々移動系チームに勧誘される超人気キャラ。
街にはクレファンクラブなんてものもある。
……あいつらには、こないだ俺がクレを少し困らせてしまった一時間後に痛い目に遇わされたので、出来るだけ逆撫でするような事は最重要レベルに避けたい。
「…………ああそうだ!」
帰ってきた俺は何の為に出掛けたのかを思いだして、アイテムポーチから一部のものを外に出現させた。
その出現させたものは、
モンスターエッグ、錆びた短剣、魔性石。
ポリゴンとSSは俺が使うとして、今回のドロップアイテムをクレに渡す。
すると
「わああーっモンスターエッグじゃないですかー!」
その中にモンスターエッグがあるのを見つけたクレはパッと花が咲いたように笑って目を輝かせた。
その表情をみると、頑張った甲斐もあるというものだ。
今写真でも撮って後でファンクラブの連中に高値で売り付けてやろうか、そう考えているといつの間にか階段付近には、彼がひっそりと立って天井を見つめていた。
あの特徴的な目元近くでノコギリの先端を曲げたように流されている髪型の人物と言えば…………
「よおカツマ」
今冒険者から市民にまで信頼されている巷で有名な上級者『知間カツマ(19)』その人だけだった。
カツマがその声に反応して此方を見つめ返してくる。
その静かながら深い瞳は、じっと見ていると中に引きずりこまれそうな印象を持つ。
「…………今日は、家計の計算しながらやりくり睡眠しなくて良いんだな。安心した」
しかしその口から放たれる事の数々は、そのカツマという人の第一印象とは裏腹に、かなり付き合いやすい性格の内容を含んでいる。
俺はそんなカツマのギャップが好きだ。
「じゃあ、風呂に入ってくる」
俺は今日の用事も済み、汗を掻いていたことを思い出し、無性に湯を被りたくなり、風呂場に駆け込んだーーー
◆風呂場◆
「ふぅ~」
湯気をたたせほんのりとした熱気を帯びている湯にゆっくりと脚から入っていく。
皮膚から感じる強めの熱さが心地好い。
その熱さはまるで日々のドロドロを流し落とすようで、暫く俺は何も考えずその湯にボーッと浸かった。
(…………俺、明日は何すんだっけな)
どれくらいたったのだろうか?
ふと、俺はそう考えた。
最も、今俺達にはちょっと面倒くさい用件が絡み付いており、休みなんてことは無いのだが、逆上せてきたのだろう。明日の日程が全くもって思い出せなかった。
「仕方ない、もうあがるとするか……」
素直に俺は腰をあげ湯から体を出す。
その体はかなり火照っており、立つと少し目眩がした。
クラクラとする微睡んだ思考の中、俺は湯を被って垂れていた髪を上にかきあげながらフラフラと風呂場を後にして、自分の部屋に戻ったーー
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◆夏目ルーム◆
「ぅはあ~~」
ドサリ
すっかり逆上せてしまった俺は崩れるようにして布団に飛び込んだ。
そしてその状態のまま、俺はスキルを開く。
フォン
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Sサポート変更一覧
1,警戒(持続10分)
2,自動治癒(持続5分)
3,ダメージ減少(持続一回)
4,★爆裂(残り3回)
5,銃補助(持続1分)
6,応急治癒(持続2分30秒)
7,移動系デバフ解除(持続1回)
8,攻撃系デバフ解除(持続1回)
9,捕獲(持続3回)
10,無し
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一覧を見ると、10のところだけ無しと表示されていた。
「丁度こないだ一個壊れたから空きがあるな。そこにでもセットするか」
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small support change
10『無し』から10『ポイズン』に変更。
…………変更が完了しました。
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さして時間も掛からずに変更が完了する。
「よし、Sサポートは終わったし固有の確認でもするか」
フォン
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▲back
固有スキル一覧
『グロウステータス』
level2
レベルボーナス
攻撃力補助 (極小)
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level、2。
そのとても残念な数を見て俺は思わず唸る。
俺は結構狩りに出ている。この二年間、休んだ日なんて片手で足りるくらいだ。
正月、命日、更新祭、クリスマス。はい終わり。
それでも、俺と共に成長している筈の肝心の固有スキルは、なんとこの様である。
当然、理由は一つ。伸びが悪いのだ。
自分でもこんなスキルを引いてしまったことを後悔したいくらいだが、そんなことをいっても、最早後の祭りである。
そう考えていると、良い具合に疲れていたのだろう。ドッと疲れが押し寄せてきた。
「…………思い出した。明日、力と狩りに行くんだった……」
そう最後に思い出し、俺は色々あったこともあり、瞬く間に睡魔に絡め捕られていったーーーーーーー
第二話、「夢物語はいかがですか?」
↓
第三話、「■◆■◆」
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