豊穣祭三日目 闘技大会/予選
えーさすがに長いので渋々切ります。なんか三日目だけで2~4話ぐらいになりそうです。
文章(小説)の書き方を見ると間違いがあったので置換して直しました。!の次に空白が入っていないのは仕様です。
↑と言ったな。あれは嘘だ。
※6/17薄いアジサイ色の髪→薄い紫色の髪
試合会場はあ東京ドーム二個分と考えてください。でかい。
三日目。そういえば昨日は辻斬りには会わなかった。まあ遊戯場で仕掛けてくる人がいても困るが。
日課の鍛錬。……朝郵便受けを見たら魔女と門番長から一通届いていた。内容はどちらも同じだった。
要は『闘技大会があるから参加して』だ。魔女は促し、門番長は誘いだったが。
ミリナさえよければ参加したいがどうだろうか。多分いいよと言ってくれるだろう。
剣を振り、魔法陣を描く。
魔法陣は恩人のオリジナルのものが多い。恩人は元々の魔法陣とか嘯いていたが。
まあ、魔法陣には一般化のものと個人のものがある。
特徴は、一般のものは少し不備があっても効果を落としながら発動するが、書き込むものは多い。
個人のものは少しでも不備があれば発動しないものがある。そして制御が離れることがある。爆発するなど。しかし、書き込むのは少ないものが多く、なにより覚えやすく作られているものが多い。まあ、人によっては発動しないこともあるが。
基礎鍛錬からは走り込みを外しておいた。闘技大会は朝から夕方までだからだ。
「やっほーヤッくんー。今日は白と水色の夏に着るっぽい服だよ~」
庭に来た。あれ、遅いか?今日の鍛錬。
ミリナの服はまあ、言った通りだった。白と水色のワンピース。マリーゴールドがスカートの下の方と、上衣の下、丁度スカートとのつなぎ目少し上のほうにあしらわれていた。
「ああ、おはよう。どうした?」
「今日の朝は屋台で何か買おうかと思って」
「ああ、それでいいよ。あーそれとちょっといい?」
「ありがと。無茶なことじゃなければ、いいよ」
「今日の闘技大会に参加しようと思うんだけどいい?」
「ぜんぜん大丈夫だよ。私は観客席から応援してるね」
「ありがとう。それじゃ、準備して行こうか」
「うん!」
門番は武具一式と指輪をつけて朝ご飯を探しに行った。
指輪は右の中指に着けられている。
朝ご飯は相談した結果、もち焼きということになった。おもちというものを食べたことはあるが、そのもちではなく、もちっとした平べったいものだ。いくつか層になっていて、たくさんの味があるのに美味しい。
闘技大会。中央の所のでかい競技場に作られたフィールドで戦う。闘技とは魔法も含む。当たり前だが。
「参加希望者はこちらにー観戦のお客様は向かって右の受付にお願いしまーす」
「参加希望者です」
「はいはーい! 一応確認ですが命の保証はありません。今年はどうやら顧問が肉体があればなんとかするとか凄いこと言ってますが、体ごと消し飛ぶとダメらしいのでそこは大丈夫ですね?」
「大丈夫です」
体消し飛ぶって…その配慮はあるだろ。実力者ならなおさら。
「はいではその命知らずなあなたの名前をここに記入してくださいねー!」
気分高揚しすぎだろこの人っ。
「全くまだ若いのにこんなのに参加しちゃって。命大事にだよホントに。大会で盛り上がっちゃうのはいいけど何もこんなめちゃくちゃな大会に……」
盛り上がってるのはそっちじゃ……
「はいではこのペンダントを持って、控え室へー」
言われた通りに控え室へ。周りを見ると、まあいろんなやつがいる。獣人、エルフ、ドワーフ、竜人など。もちろん人間もいる。魔人、といったこの辺りでは見かけない者もいる。魔人は王都やその西の方に多い。
「お、来たか」
門番長に声をかけられた。この人と当たったら負けが確定する。この人は推定神話級。(神話級のエルダードラゴン美味いとか言ってるから。)
「誘われたし、最近あまり腕が上がらなくってるから」
「そうなのか。お前と当たるのを楽しみにしている。ではな」
「じゃ。…勝てる気が全くしないですけど、当たったときは全力で」
門番長はああ。とだけ返事をして去っていった。
「えー私司会のポーエンです。さああて予戦を開始しまあああす!!!! ルールは単純、16人になるまでお互いを叩きのめすだけっ!」
「司会のレミーです。参加人数は257名、全員が激突します。分けたほうが絶対にいいでしょう」
「まあここは広いですからねーというか数なんて戦場じゃ気にしてられないですからねー」
「単純な一対一の強さでは決まらない、と」
「そうですねー。番狂わせが一番多いですねー」
「さて注目の選手は誰でしょうポーエンさん」
「そーですねー冒険者、ギルド『サンブライト』の【輝剣】のクルト、ギルド『冒険命』の【剛破】のマーダス、王国女騎士【瞬華】のラナ、門番長【武芸者】のマイヴァルですかねー」
「なるほど。見たところ、この中だと【剛破】はハンマーそれ以外の選手は剣、が武器となりますね」
「いやー【武芸者】は拳も使いますからねー剣だけが武器じゃあないです」
「個人的に気になるのはメイドと黒外套、…ん?ギルド長もいますね」
「ギルド。ややこしいですよねー冒険者ギルドと他の区別がつきにくい。あー噂の異界人もいるようです。後は…サーベルタイガー獣人の人や、薄い紫色の髪の子も気になります」
「なるほど。さて、そろそろ試合開始です。その前に一応序列の解説を。上から1.八大盛強 2.準盛強 3.神話 4.英雄 5.古代 6.ファルト 7.フィート 8.シア 9.クーロ 10.ファイ11.ラート、となっています。11階級ですね」
「6までは偉人や英雄の名前ですねー。それでは3…2…1…試合開始っ!」
さて…まずは横から来るやつの攻撃をかわして魔術を叩き込む。魔法陣の数は4。
魔法陣は回転し、氷の矢が16本放たれる。
こんなものはただの牽制だ。後ろのやつを剣を抜き斬り倒す。回復と同時に斬ったやつの気配が消える。
なるほど、これなら体が消し飛ばない限りまあ安全だろう。
乱戦。この場合はとにかく感覚を研ぎ澄ませ全方位に対して警戒を敷く。難しいことだが、人を護るために覚えた。教えた恩人が見たところ空間把握は俺に向いているらしい。
「おおーっと凄い、メイド、次々と手刀で敵を倒していくー!」
「惚れ惚れするほど見事な手際ですね。縮地で相手に詰め寄り首や後頭部に手刀を叩き込み意識を刈り取って行きます」
弓矢を斬り払う。魔法を横に避け、左のやつと斬り結ぶ。
「ハァッ!」
剣と槍がぶつかる。火花が散り、収まることなく乱舞する。
「おおっギルド長が炎と雷に包まれていますっ!何でしょうこの技はっ!教えてレミーたん!」
「たんはやめましょう。エンチャントの対象が自分、ということでしょうか。私にはそう見えますね。ただこれは少し違うようです。攻撃がすり抜けたり、腕が伸びたりしてますので」
「謎の技法、ということですね。大人げないっ!準盛強のくせにっ!」
「いまうっせーって声が聞こえましたね」
「余裕すぎですね。誰かやっちまえ」
間合いは不利、しかし魔法を織り交ぜる。
魔法陣を高速回転させ氷の矢を放つ。
矢は槍の柄でに当たる。
「氷の華」
弾かれる筈の氷の矢は一瞬の内に十数個の氷柱を出現させ相手を貫く。
相手が消えたのを確認し、作りだした氷を壁にして魔法陣を書描く隙を作る。
「いやー大分減りましたねー」
「そうですね、黒外套の…えー名前が……マージナル?」
「聞かない名前ですが、魔法が強いですねー。よほど優秀と見えます」
「そうですね。古代級の私から見ても教わりたいくらいです」
「ほんとかレミーちゃん。どこらへんが」
「特筆すべきは繊細さ、速度、数ですね。あの領域に立つのは天才の中でも飛び抜けた才能か熟達した魔法使いがさらに時間をかけた者ぐらいでしょう」
「物好きな吸血鬼でも来たんですかねえ。人類と絶賛敵対中の吸血鬼が」
「さあ…最近はこの町吸血鬼とは会話できるだろうって魔導具店などで血ぐらい売るそうですのでありえなくはないですね」
「吸血鬼と共存ですかー400年前神話大戦が行われたときに吸血鬼の一人が人類側だったとか最近言われてるんですよー」
「聞いたことないですね」
「最近ですしねー」
数は九つ。誘導性のおまけつき。矢と弾は周辺を巻き込み氷の華を咲かせた。
見つけた一人を不意打ちで倒し、辺りを見回すと数は40人程に減っていた。
ここまで残れたのは運だろうか。少し離れた所に一人の男…おそらくこれが司会の言っていたサーベルタイガー獣人だろう。
虎獣人はこちらを向くと驚くほどの俊敏さで間合いを詰め、メイスを振るう。
「グうっ…」
重い一撃。腕力も強く、速度と体重を乗せた一撃。下がれば助走の機会を与えてしまう。
それでは負けてしまう。
鈍器と剣が衝突する。激突の度に門番の方が押し込まれる。氷の矢は炎を付与した相手の腕で払われる。
単純な実力の違い。相手の洗練されたメイス捌きと門番の剣の腕は同じか、門番が上だろう。
だが虎獣人は己の膂力を信じ、力強く振るっている。それにより虎獣人の優勢となっている。
片腕で振るうにもかかわらず、門番を押せるのは彼の腕力を示している。
門番は魔法陣を描く。歯車のように回転し、地面を氷に変える。
「ぬっ…」
対応は早い。靴に炎を付与させ氷を溶かす。
門番は剣を振るう。相手の炎を付与する、という隙をつく。
門番は氷の上で気にした様子もなく、剣を振るう。
一時は劣勢になったものの、次はこちらの番だ。魔法陣を描く。
今の俺は氷の床を出して加工するのを一度には出来ない。別に魔法陣を用意する必要がある。
門番の作りだす魔法陣が回転し砕け散った瞬間に床から氷柱が突き出す。
虎獣人は巧に避けていく。そしてメイスを勢いよく振り門番を狙う。
門番はメイスを鼻先掠めながら止まり右手で魔法陣を描く。―――いや、描かれた魔法陣を回転させながら右手を前へ出していた。
氷の槍が突き出される。虎獣人の胸を突き刺し、氷槍の華を咲かせた。
「おおーっと注目のサーベルタイガー獣人のヴァーダットが派手に退場したー!!」
「予想外の展開。倒した彼の周りが氷だらけですね。趣味が合いそうです」
「えー剣士の彼の情報が遅れてますね。この時点で残り23人です。【輝剣】、【剛破】、【瞬華】、【武芸者】といった有名な選手は残っています」
そういえば何気に門番長かっこいい二つ名持ちなのか。
周りに敵はいない。というか虎獣人が倒していた。
「まあこの方達が暴れていても意外性が無いので実況からは特に何も伝えませんでした」
「こちらの趣味ですね。意外性押し。……あ、異界人は?」
「残っていますよ。彼の活躍は単純です。向かってきたのをすべて蹴散らしてました」
「ほー最低でも古代級だそうです。古龍を倒したそうなので」
「ただまあ、容赦ないギルド長もいますので…【輝剣】などは英雄級一歩手前です。【武芸者】はどうなのでしょうか」
「さあ…多様な技を使う人ですが何級、というのは…あ、ギルド長が叫んでますね。なになに、あれは【輝剣】とかの三人とは別格…だそうです」
「別格ですか…これはギルド長対門番長になるのでしょうか」
「いやーどうでしょうねー私の勘では黒外套あたりが怪しいですよー」
「おや、どうやら16人になったようです」
「試合終了ーー!!! いやー考察してたら残りやられてましたね!」
「そうですね。まあ南側の数名は暇だったみたいですが」
「北の一か所は集中的に戦闘が行われてましたからねー。広いから暇な人が出てしまいましたねー」
「ところで不遇剣士ヤレット選手についての情報が来ましたよ」
不遇って………まあ放っとかれたけど。
「えー魔法剣士ですね。珍しい。あ、そうでもないですね。少ないですが。契約魔術が出来る…?契約魔術とは?」
「悪魔などの魔法生物、幻想生物と契約を結ぶことで行う魔術です。珍しいですね。これは一般では前時代的ですが、魔術師はまだ行っていますよ。伝承を利用した魔術のくくりにされていますが別種です。召喚術に近いですよ」
「ははあ、なんか強そうですね」
「契約するものによります。私も使えます。おいでリーシェ」
「おお、ちっこくてかわいい。キンキンに冷やした水を用意してくれる、っていうのなんですか?」
「比較的小さいものを用意する、という契約です。ありがとう、戻ってリーシェ」
「彼はこの大会では低い方のフィート級…だとか。噓でしょ。サーベルタイガー獣人ことヴァーダッドは古代級ですよ」
「駆け引きでなんとかなる、ということではなさそうですね」
「謎ですね~。あ、なんか大会のペンダントとは別にネックレスをしていますね」
「あ、本当ですね。白いです。あれはマジックアイテムですね。一回で切れるタイプの。奥の手でしょうか。指輪は魔導具…いや魔導宝具ですか?」
まてまて知らん。え、そうなのか?
「ネックレスは奥の手でしょう。まあ魔導宝具は発動していないみたいなので壊れてるか、使い方を知らないかでしょうねー」
…壊れているのかなあ…………
「見た感じ魔導宝具はまだ生きているのでまだ使えますよ。使い方を知らないだけでしょう」
「さてさてそれでは午後1時半からは本戦となります。それまで解散です。なお、本戦出場者は1時までに集まってください」
ふうーなんか残った。相手古代級だったのか。あれ、俺古代級なの?
とりあえず外に出ることにした。
歩いているとヴァーダッドが話しかけてきた。
「ようヤレット。お前に負けちまった俺の分まで頑張ってくれ。氷の床と右手から出してきたやつは肝を冷やした。というか後ろのやつはほんとうに冷やされたがな!ははは!」
「ああ。本戦頑張るよ。面子が規格外なのが多いけどな」
「ギルド長とかな! まあ精一杯戦ってくれたら文句はない」
お互い拳を突き出し、お互いに去っていった。
感想、誤字等の報告、なにこの駄作、ここがわからないなどフリーダムに受け付けています。
前書きの通り、渋々分けました。
一話一日。7話にして挫折。早っ!
バトルに力入れすぎな気もしますが、しばらくこうなります。
やー大変。