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太田君の彼女は妖精さん⁈  作者: 本田 そう
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竹◯事変 その2

女性二人連れの内気そうな一人の女性がヒロの名を呼んだ。ヒロは「?」としたが薄っすらとした記憶があったがまだ覚え出せないでいた。


「‥‥あのう‥どちらさまでしょうか?」


ヒロが言うと、女性は少し寂し顔をしてヒロの方を見て


「覚えて‥‥覚えてないかな?」


「‥‥?‥‥」


「‥‥私‥‥大平 ‥‥大平 沙也加‥‥」


「大平‥‥大平‥大平‥‥‥‥沙也加‥‥‥」

暫く考えて

「‥大平‥沙也加‥‥て!大平!だって!」


驚くヒロは何やらまずい顔をして「じゃあ!」と大平に言うとぐるりと背を向け逃げようとしていたが、カンナと青葉に腕を掴まれ、


「ヒロく〜ん」

「ヒロお〜」

「「説明してくれるんでしょうねえ!!!」」


『ふたり共顔が怖いんですけど‥‥』

と呟いたヒロは「‥‥はい」と返事をした。


以下ヒロの昔話

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


大平とは同じ中学で中二、中三とクラスが一緒だった。俺は中二の頃からいじめにあっていたが周りに少しの友達が居たおかげと部活で剣道部にいたせいで体罰的ないじめは無かった(本人はそう思い込んでるだけ)。が精神的ないじめは毎日の様にされた。靴を隠されたり、教科書が無くなったり、挙句には給食のおかずに異物が入っていたりしていた。犯人はおおよそ見当していたが、なにぶんその頃の俺は弱虫だった。剣道部に入ったのもそれを治すことで入った。しかしいじめは酷くなる一方で机を叩いて泣いた時もあった。悔しくて悔しくてそのいじめの張本人を殴ってやろうとも考えた。しかし俺は剣道部に所属。その剣道部は全国に何回か出れる程の部で、そんな一人の不祥事で試合に出れなくなることは避けたかった。まあ、1番は意気地がなかったせいだが。そんな中学の数少ない友達で事情を知っていたのが大平沙也加だった。

大平は髪がストレートで肩まであり可愛く、頭も良く、人当たりも良い方で男子の憧れの的でも。そんな大平が俺に気にかけてくれ出したのが中三の秋ぐらいからだろうか。何かと助けてくれたりしたおかげでいじめの回数も徐々に減っていった。そんな大平に恋、好きになるのに時間は掛からなかった。そして中学の卒業の時思い切って告白をしたが、あえなく撃沈。その時の理由は「まだ、誰とも付き合うつもりはないの」と。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「と現在にいたる」とヒロはカンナと青葉に話した。


「‥‥‥ヒロ君‥‥いじめられっ子だったんだ」


「‥‥ヒロはいじめられっ子‥‥可哀想」


とカンナと青葉は哀れむような顔をしてヒロを見つめた。

『ちょっ!やめて!哀れむ様な顔。自分が惨めに感じる』


「‥‥‥と、大平さんには振られているんだよね‥‥」


「だから逃げ出そうとしたんだ」と青葉。


「まあ、まあね。‥‥ところで大平さんはあの男と付き合っていたみたいだけど‥‥‥もしよければ相談に乗るけど‥‥」

ヒロは大平の顔を見ながら言うが大平は口を閉ざしたまま暗い表情をしていた。

隣に居た大平の友人が口を開く。


「あっ、さっきはありがとう。私はこの子の大学の友人で かけ千晶ていいます。貴方、沙也加の旧友だったんですね」

と会釈をして話す。


「ところで欠さん‥‥」

ヒロが言うと


「千晶でいいわよ。私、『欠』てみよじあまりすきじゃないから」


「あっ、そうなんだ。じゃあ千晶さん、あの男の事話してもらえるかな」


千晶は沙也加の方を一度向くとコクリと頷き話し出した。


「あいつは大学の一つ上の先輩で加藤龍美ていうの。あいつの家は金持ちで、しかもあの容姿(美形)でしょ、だから結構もてるのよ。けど内面はさっき見たとうりの酷いやつよ!だから大学内ではあいつと付き合うと不幸になるとのもっぱらの噂があるぐらいなのよ」


横にいる大平さんを見て


「そんなあいつが沙也加に目をつけたのが去年の学祭の時、美人コンテストで沙也加は準優勝になったの。それがきっかけで沙也加はあいつと付き合う事になったんだけれど‥‥」


千晶さんも暫く沈黙し。


「あいつは僅か一カ月で沙也加を捨てたの!」


ヒロとカンナ、青葉三人は黙って聞いているしかなく、掛ける言葉さえ出ないでいた。


「‥‥‥‥ねえ、太田君。あなた、沙也加の旧友なんでしょ」


「あ、ああ」


「だったら‥‥だったら沙也加を助けてあげて!!」


「‥‥‥助ける?大平さんを‥‥」

ヒロ達は驚き互いの顔を見た。


何とか二話分アップ出来ました。

時間があるようでしたらもう一、二話話を進めたい‥‥かな_φ(・_・

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