頼みごと
人は本当に伝えたい言葉を心の奥底から叫べば、その人に届くもの‥‥‥。
『魔法乙女カンナの第11話のカンナのセリフだったか』
僕は腕を組んで考えながら呟いた。
「なにブツブツと言っているの?」
青葉が不審者を見るような目で僕を見ますよ。
「あれ?僕何か言ってた?」
「『カンナのセリフ』て聞こえたわよ」
やはり、不審者がいるような目で、僕を見ます。て、僕は不審者じゃないからね。独り言、独り言。
「ねぇ?ヒロ君。本当にカンナちゃんは妖精なの?」
まだ、信じられないでいる青葉。まあ、確かにカンナの力を直接見てないですしね。
「ああ、さっき話したとうりだよ。本当にカンナは妖精なんだ」
そう言うと僕は、青葉に今までの事を全て話した。 カンナと出会ったことからヨッシとアクアの事を。ただカンナとの過ごす時間にはタイムリミットがある事を除いて‥‥‥。
「けどねぇ‥‥‥ヒロ君の話だけではやっぱり信じる事が‥‥‥ねぇ」
青葉は腕を組んで、まだ信じられないような顔をしながら言ってきました。
「とりあえずカンナと話せばわかるよ。それより、さっき言った事、よろしく頼むよ」
青葉の方を見て僕は、軽く頭を下げた。
「私がカンナちゃんに女性のいろはを教える事?まあ‥‥‥いいけど‥‥‥」
やはり青葉はまだ妖精の事、てか、妖精自体がいる事自体を信じていない、その様な感じで話します。
「頼むよ!青葉にしか頼めないし、あと、その、青葉は昔に比べて‥‥‥そのう‥‥‥女性らしくなったし‥‥綺麗にもなった。うん! そう! 綺麗になった!」
おせいじ?、いや僕の本音かな? そう言うと、
「ヒロ君‥‥‥それ、本当?私、本当に綺麗になった?」
急に僕に近寄り顔を近づけてきましたよ。
『ち、近い!』と心の中で叫び、
「う、うん。 青葉は綺麗になったよ‥‥‥本当に」
「ヒロ君が、私のこと、綺麗になったて言った! うふふふ‥‥‥」
両手を自分の頬に当て、顔を赤めて恥ずかしがる青葉。
「わかったわ! 妖精はともかくカンナちゃんに女性のいろはを私が教えてあげる!」
青葉は自信満々に右手を胸にポンと叩いて言った。
「本当か?ヨッシ!」
少し控えめなガッツポーズをとる僕。
そうこうしているうちに、僕と青葉は、僕のアパートの部屋の玄関先まで来ていた。




