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太田君の彼女は妖精さん⁈  作者: 本田 そう
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カンナ

挿絵(By みてみん)


「‥‥‥‥カンナちゃん⁈」


僕は目を丸くした。

魔法乙女カンナのカンナが目の前に居るのだ。


「う〜〜〜ん‥‥‥むにゃむにゃ‥‥‥」


僕の前で寝ている女の子に手を伸ばした時、顔に何かが飛びついた。


「ニャァー」


「な、なんだ!」


顔に張り付いたのは昨日助けた子猫だった。


「お前‥‥‥そこまで元気になったんだな!」


「ニャァ!」


「そうか。よかった」


「ニャァ!」


僕が子猫とはしゃいでいると、


「‥‥‥う〜ん‥‥‥うるさいです。眠れないじゃないですか‥‥‥」


と僕の目の前のカンナ?が起き出した。


で、起きるなり僕と目が合ったがまだ寝ぼけていたらしく。


「あっ、おはようございます」


と軽く頭を下げた。


「お、おはようぅ」

「ニャァ」


僕と子猫がカンナ?に挨拶をすると何を慌てだしたのか、


「う〜ん‥‥‥エッ?あっ!だ、誰ですかあなたは⁈」


「うん、まぁ、普通の反応だよな、これは」

「ニャァ」


僕は自慢じゃないが優柔不断だ。だが周りを瞬時に理解する判断は人並み以上ある為冷静だった。


「‥‥‥え〜と‥‥‥うん?、て、なんなんですか!この姿!」


「うん、ここもこう反応するわな」

「ニャァ」


「‥‥‥いったい何が……あーっ!」


「ようやく気付いたみたいだなぁ」

「ニャァ」


カンナ?自分の姿に驚いていきなりこちらを見るや、僕に、


「なんて願い事してくれたんですか!私があなたの彼女なんて!」


半泣き状態でカンナ?はまるで猛獣が暴れる様な勢いで言ってきましたよ。

で僕は、


「あっ、ごめん。でも別にいいんじゃない? 願い事だし」


「よくないですよぉー、うぇ〜ん(泣)」


「僕ではだめなの?」


「そうですぅ! あなたみたいなフツ〜ウの人は!」


「はははっ、普通ね。まぁ、これからよろし…」と僕が手を出したら、


「ガブッ」とカンナ?に噛まれた。

そして近くにあるベッドに飛び乗ると、布団を頭をからかぶった。


「イッタァーッ! なぁなにを……」

僕はベッドの方を見ますよ。でカンナ?は布団をかぶって震えています。


『姿はカンナちゃんでも、中身は猛獣か?イヤ怯えた猫か犬だな』


「ハァーッ(溜息) なあ、そもそもなんでお前はあのDVDの中に居たんだよ?」


僕が聞くと、


「えっ?なんでって……ハァ!」


被っていた布団の中からガバッと起き上がります。


「そもそもイヤなら空に帰ればいいじゃん」


「‥‥‥‥‥空に‥‥‥」


「そう。空に」


カンナ?はベッドの上でなにやら両手を合わせ祈ったポーズを取ると何か呪文の様なのを唱えると‥‥‥


「……帰れない……」


「へぇ? 帰れない?」


「帰れないよーお。うぇ〜ん」


カンナ?はベッドにうつ伏せになり泣き出した。


「帰れない。僕があんな願い事をしたせいで……ごめん、僕のせいで」


「そうよ!あなたのせいよ!帰して!私をあの空に帰して!」


ベッドの上でバタバタと暴れ出しましたよ。

で、僕はこの光景を見て思いましたよ


『この妖精、実はとんでもないワガママな奴では‥‥‥』


と。


「なぁ、さっきも聞いたが何故あのDVDの中に居たんだよ。まさかと思うが‥‥‥」


僕か暴れるカンナ?を見て言うと、


「えっ?」と暴れるのをパタッと止めて


「‥‥‥えっ〜と‥‥‥どうしてでしょうか?」


と、わざとらしく首を傾げて僕に聞いてきますよ。


「何故に疑問形なんだよ! て、実はお前、降りて来たのではなく、落ちてきたんだろ!」


「ギクッ。な、なんで…」


慌てふためくカンナ?に僕は更にツッコミをいれます。


「俺の考えでは空でなにか失敗して落ちて来た。DVDの中に居たこと、俺や子猫の事は偶然が偶然に重なっただけ‥‥‥てとこか」


「ギクッ、ギクッ、ギクッ…まぁ、まああ、だいたい合っているわね(汗)」


「あとな、DVD取ったの僕でよかったと思うよ。もし他の奴だったらとんでもない願い事になってたかも」


僕は図星を突かれたカンナ?にさらに‥‥‥


「と、とんでもない願い事とは?」


焦るカンナ?さん。


「お前が入って居たDVDがDVDだからな、あんな事やこんな事…おっとこれ以上は」


僕はニヤニヤしながら言うと、


「あんな事こんな事‥‥‥い‥‥‥いやぁーっ!」


頭に両手を乗せまたまた暴れだしましたよ。


「ちょ、ちょっと暴れるなよ。まぁなんだ、僕にも帰れなくなった責任はないわけでもないから、いつか空に帰れるように僕も協力するから」


僕は暴れるカンナ?に言うと、またピタッと動きを止めて僕に


「う、ううっ‥‥‥ほ、本当ですか?(泣)」


「あ、ああ、本当に本当」


「ありがとうございます」


僕の両手をギュッと握りしめてカンナ?は言った。


「『あ〜♡まるでカンナちゃんに迫られてる感じ』て中身ははあれだけど」


「えっ、中身がなんですって?」


「いや、こちらのこと。それよりこれからよろしく、て、え〜と、お前の名前って」


「私たち妖精に名前はないですよ」


ケロっとした表情で言うカンナ?さん。


で、僕は


「えっ!名前ないの? う〜ん、じゃぁ、DVDからでて来たので、でぶ……」


と僕が言う途中でいきなりきつい目で、僕を睨みつけ、


「えっ?今なんて?(ピキッと額に怒りマーク)」


「えっ?だからDVDから出て来たので、でぶ……」


と言った次の瞬間、僕の顔にカンナ?の右フックが決まり、空中で一回転して吹っ飛ぶ僕。


「だ、だ、誰がで、でぶですか!誰が!(怒)」


「痛っててて、冗談だよ冗談」


「冗談していい事と悪い事があります。プンプン! でなんですか。名前は?」


「こ、これいいかな?」


僕はカンナのDVDを手にして言うと、何か白い目で僕を見るカンナ?さん。


「はぁー、結局これになるんですよねぇ〜、いいですよ別に。下手な名前付けられるよりはましですし」


僕は一瞬小さくガッツポーズを取ると


「じゃぁカンナ、これからよろしく」


「はい。よろしくお願いします。ヒロさん」


「ヒロでいいよ。カンナ」


「はい。ヒロ」


こうして、僕とカンナ(中身は星の妖精さん)の新生活がスタートしました。

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