真実
僕の友達、いや友人か?の吉田ヨシオとは一年半前の冬コミケで知り合った。年は同じ20歳だ。
そして、住んでる所がたまたま近場だったので友達になった。
僕はあいつを『ヨッシ』と呼んでる。
スマホでヨッシに連絡をした僕は、
「例の物くれぐれも忘れないようにな」
念を押してヨッシに言うと、声の向こうで「おう!」と返事をして切った。
『そういえば、ヨッシ足(車)がなかったよな』
「しゃぁない、迎えに行ってくるか」
ヨッシのアパートまで車で片道10分は掛かる距離。
「カンナ。30分ぐらい留守番していてくれるかな?」
「いいわよ」とカンナ。
「じゃぁ、すぐに戻ってくるから」
僕は部屋をでると車のある駐車場に急いで行った。
僕が出た後、部屋はカンナとテレビに中のカミナリの妖精だけに‥‥‥で、1分くらい沈黙が続いた後、妖精がカンナに聞いてきます。
『おい! お前‥‥‥』
「お前じゃない! 今はカンナて名前がある」
沈黙を破ったカミナリの妖精はカンナを『お前』呼ばわりしたので、カンナは少しご機嫌斜めになり、頬を少し膨らませてます。
『そうか‥‥‥すまん‥‥‥ではカンナ、お主はあやつ、ヒロの願い事を叶えたみたいだが‥‥‥』
「ええ、そうよ。ヒロの願い事を叶えたわ、それで、今のわたしが…このような形のわたしがいるの」
カンナは答えます。
『そうか‥‥‥では妖精界のルールもしっているか?』
テレビの中の妖精が真剣な面持ちでカンナに言います。
カンナはその“ルール”と言う言葉に、「ビクッ!」と体が一瞬動くが、
「‥‥‥ええ‥‥‥知っているわ」
『では、あやつ、ヒロは知っているのか?』
「‥‥‥ヒロは‥‥‥」
その後、カンナは下を向いて黙ってしまった。
◇◇◇◇
ちょうどそのころ僕は車に乗り込みエンジンを掛ける所だった。
「あっ、やばい。スマホ忘れた!」
とまた、急いでスマホを取りに部屋に戻った。
ドアを開け玄関先のすぐ横の台所のテーブルの上にあったスマホを取ると、リビングからカンナと妖精の声が聞こえた。どうやら僕が戻ってきたことに、気づいてないみたいだ。
急いで車の所に戻ろうとした時、リビングからカミナリの妖精の言葉に僕は足を止めた‥‥‥
『カンナ、お主の命は大丈夫なのか?‥‥‥』
「‥‥‥カンナの命がどうかしたって?」
何を言っているか分からない僕は、暫く聞き耳を立てます。
『あのヒロとか言う人間の心しだいでは、カンナ、お主の命は後、30日間しかないのだぞ』
「‥‥‥うん、わかってる‥‥‥」
先程のカンナの元気な返事とは違い、まるで‥‥‥もう後がない様な返事をするカンナ。
「えっ! 僕の心しだいで“カンナの命が30日間”しかないだって!」
僕はスマホを握り締めながら、その場に唖然とした様子で立ちすくんでいた‥‥‥。