嫉妬⁇
アパートの自分の部屋に戻った僕は、
噛まれた跡を摩りながらダンボールからテレビを出します。
「イタタッ! 昨日から俺噛まれてばっかだよ(泣)」
『おお、ようやく出してもらえた』
テレビの中のカミナリの妖精。
「ここなら気兼ねなく話せるな。とにかくだ‥‥えっ〜と、カミナリの妖精だったか?そうなった経緯を説明してくれるか」
僕はテレビに向かってカミナリの妖精に言いました。
『うむ‥‥あれはわらわが精霊様の手伝いをしていた時だ、わらわの不注意で精霊様の鉢を折ってしまってな‥‥‥』
腕を組みながら説明するカミナリの妖精。
「鉢て?あの太鼓をたたくやつか?」
『そうだ』
「なるほど、それで精霊様の怒りを買って、下界に落とされ、あげくテレビの中に閉じ込められた‥‥‥と」
僕は頷きながらテレビの前にあぶらをかいてその場に座ります。
「しかし、ひどい精霊様だな。たかだか一回の失敗でこんなことを」
僕がカミナリの妖精に同情するとですね、
『‥‥まあ‥‥まあな(汗)』
カミナリの妖精、何か隠しているように焦りながら言ってきました。
「うん?お前何か変だな?‥‥何か隠してないか?」
僕はこう言う事には鋭い感性が働くんですよ。
「何か隠してるだろう?」
ツッコミを入れる僕ですが、
『なあ、なんの事かな?(焦る)』
明らかに何か隠してるポイようなんですよ。このカミナリの妖精さんは!
「おい!こちらはお前をそこから出すのに協力するんだ!本当の事を言え!」
テレビの角を持ちグラグラ揺らす僕。
『わっ、わかった、わかったから揺らすのは…」
降参したのか、素直に言うカミナリの妖精。
「ヨシ!て、だいたい予想がつくがな。お前はドジっ子でイタズラ好きだろ?どうせ、業を煮やした精霊様がお仕置きでそこに閉じ込めた‥‥て感じか」
『おお〜つ、お主は妖精の心でも読めるのか?』
驚くカミナリの妖精。
「そんなのだいたい察しがつく!そもそもここにも空から落ちてきた妖精がいるからな」
僕がカンナに指を指すとですね、
カンナはまだプリプリと怒って、
「なあああに、ヒロ!(怒)」
「い、いや‥‥‥カンナ、こいつがテレビに閉じ込めたのは精霊様の怒りを買ってお仕置きで閉じ込められたみたいなんだ」
「ふう〜ん。で!」
「で、てカンナ‥‥‥」
「その妖精も助けてあげればいいでしょ!(怒)」
「だ、だから…‥なんでまだ…‥そうか!僕がしっかりしないからか‥‥‥」
僕はその場にスクッと立つと、カンナに頭を下げて、
「ごめん‥‥‥カンナ。そうだよなあ‥‥‥僕の願い事でカンナは僕の彼女になったんだから‥‥‥」
「‥‥‥そうよ。ヒロ」
「ごめんな、カンナ」
僕もう一度カンナに頭を下げて謝った。
『いちゃついてるとこすまぬが……』
「「何処がいちゃついてる!何処が!」」
『いや、どう見てもいちゃついてる様にしかみえないがな。しかし‥‥‥妖精と人間のカップルか‥‥‥実に面白い。なら妾も……』
テレビの中のカミナリの妖精は僕の方を見て言ってきたもんだからか、カンナが勘違いしたらしく、
「だ、だめえーー! ヒロの彼女は私なのだから!」
『‥‥‥いや、こやつとではなく、他の誰かだが‥‥‥』
「えっ?あっ! そうね」
慌ててますよ。カンナさんは。
で、ですね。僕はカミナリの妖精にもう一つ問います。
「ところで、精霊様からそこから出る方法とかは言ってなかったのか?」
『方法か?‥‥‥う〜〜〜ん‥‥‥あっ!』
何か思い出したのか、手をポンと叩きましたよ。
「あっ!て、おい! もしかして忘れてたて事はないよな!(怒)」
『‥‥‥そ、そのまさかだ…』
「お前は!(怒)」
テレビをまたも揺さぶりますよ、僕は!
『わ、わ、わるかった!わるかった!』
「たっく! 精霊様がお前にお仕置きをした気持ちわかるよ」
「それで、そこから出る方法とはいったいどんな方法なんだ?」
僕はカミナリの妖精に聞きました。