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太田君の彼女は妖精さん⁈  作者: 本田 そう
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願い事

「俺とつきあってください! 」


彼女は暫く考えて、男に言った。


「ごめんなさい」と。


男はガックリとし、フラれた男がよく言うセリフを言った。


「どうして、駄目なの」と。


彼女も女がよく言うセリフを


「う〜ん、あなたは優しくていい人よ。けど……、ごめんなさい」と。


そして彼女は、男をその場に残し帰って行った。


男は暫く呆然とし、近くのベンチに腰掛けて


「またかよ! なんで駄目なんだよ? 優しさだけでは駄目なのか? なにが足りないんだよ!」


悔やむ男は自分の両手の手の平を見て、拳を作ると


「やっぱり僕がオタクなのがいけないのか!」


因みに先程の男が告った彼女は腐女子である。

コミケで知り合って、最初は話があったが‥‥‥話が合わず振られた。


このフラれた男の名前は、太田 ヒロ。

20歳で普通にその辺の会社に高卒で就職し、普通にアパートに一人暮らしをし、普通の格好をし、容姿も普通。本人はオタクと言っているが普通にアニメを見て、フィギュアを集めることはなく、普通に暮らす、

普通の青年である。


「あそこまで話が盛り上がっていたのに、付き合うて事になると、別の話てことになるんだなぁ〜」


暗くなった公園のベンチで一人気落ちし佇むヒロは


「やっぱり俺の嫁は『カンナちゃん』だけだ!」


そう言うとスクッとベンチから立ち上がって走り出した。


因みにカンナちゃんとは『魔法乙女カンナ』と言うアニメで、今は殆んど見かけなくなったツインテールの可愛い女子高生が主人公の物語である。




◇◇◇◇



夜空に光る小さな星達。その内の一つの星がポロっと一つ落ちてきた。とある場所のとあるレンタルビデオ屋に。


僕はいつもの馴染みのレンタルビデオ屋に寄っていた。


「おおっ! カンナちゃんの新作DVDがあるじゃないか」


喜び直ぐに僕はそのDVDを手に取ると‥‥‥体に電気の様ななにかがピリッと走った。


「えっ?なんだ今のは?静電気?」


はて?と考えて‥‥‥


「まぁ、いいか」


と、カウンターにDVDを持っていった。


レンタルビデオ屋から出て家路の途中、僕は電柱の下にあるダンボールに目がいった。そしてダンボールの中からか細い鳴き声が聞こえた。


「‥‥‥ネコ? 子猫の鳴き声がする」


しかしその鳴き声は、今にも消えかかりそうな声だった。

ダンボールの中を覗くと小さな三毛猫が震えながら小さな声で鳴いてた。


「こんなとこに捨てるのかよ。春だけど夜はまだ寒いんだぞ」


「ニャァ…ニャァ……ニャ」


「かなり弱ってんじゃないかよ。けどうちはアパートだし……」


「ニャァ…ニャ…………」


「アーッ、モーウー」


僕は小さな三毛猫を手に取ると、自分のジャケットの中に優しく包み込むように抱き、急いで家に帰った。


「ガチャ」家のドアを開け、


「えっ〜と、バスタオル、バスタオルはと。あと暖房、ミルク‥‥‥」


僕はバスタオルに包んだ子猫を優しく摩りながら


「頑張れ!、死ぬなよ。頑張れ!」


一晩中僕は、子猫の看病をした‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥







『この人なら…願いを…叶えて‥‥‥あげても‥‥‥』






◇◇◇◇





翌朝


「う〜ん、何か指を……、ハァッ!子猫は?」


僕が目を覚ますと子猫が左薬指をペロペロと舐めていた。


「はぁ〜っ、よかった。元気になったんだな、と、お前お腹減ってるだろう? ミルク飲むか?」


小さな皿にミルクを入れ、子猫の前に出すと子猫はペロペロと飲み出した。


「よかった‥‥‥なんとか元気になったみたいで、て、よくないかな? こいつどうしたら‥‥‥引き取ってくれる人はいないし。う〜ん‥‥‥‥‥」


「ヨシ!駄目元で大家の叔父さんに相談してみよう!」


僕は子猫を撫でながらそう言うと、テーブルに置かれたレンタル袋を見て、


「あっ、そうだ!カンナちゃん見るの忘れてた。この時間じゃまだ叔父さん達寝てるし、DVD先に見るか。カンナちゃん、カンナちゃんっと」


レンタル袋からDVDを取り出しデッキにセット、

暫くして魔法乙女カンナのタイトルが出てきたが、なにか様子がおかしい。タイトルのまま先には進まない。


「えっ! デッキの故障か?」


デッキの取り出しボタンを押そうとした瞬間、テレビの画面が眩しく光り出し‥‥‥声が聞こえた。


「‥‥なんだ!‥‥いったい?‥‥声?‥‥」


眩しさのあまり両手で目を覆った僕は暫くすると目が慣れたが、まだ声が聞こえ、僕は恐る恐る周りをみて、


「‥‥‥誰だよ?何処‥‥‥に居る?まさか、お前か?」


子猫に言うが「ニャァ」としか言わない。


「だよな。お前じゃないよな?じゃぁいったい‥‥‥」


『ここです。ここ!』


「『ここです』て言われても、どこだ……うん? あっーーっ」


僕はまた周りを見渡すと‥‥‥白く映ったテレビの画面には小さな髪の長い女の子?らしい人が映っていた。


「うん‥‥‥ゲェッ! さっ、貞子!」


『誰が貞子ですか! 誰が! 私は星の妖精です』


テレビの画面の中の人物?が僕に指差し言いますと、僕は


「星の妖精?星の………プゥッ、妖、プゥッ妖精ぃ、プゥッ、あはははっ」


『なんで笑うんですか!失礼な人ですね。プンプン!』


「だっ、だって、よっ妖精?妖怪の間違いでは?」


僕が笑いながらツッコミを入れると、画面の中の妖精さん?が機嫌を悪くしたのか、


『笑うなら笑っていいですよ〜だぁ! せっかく願い事を一つ叶えてあげようと思いましたけどぉ、もういいですぅーっ』


「あははは‥‥‥えっ?‥‥‥願い事だって!本当に?」


『ええ! そうです。けどあなたは信じない見たいですから、いらないですよねぇ、願い事!』


妖精さん?は画面の中を機嫌が悪そうに右に左に動いてますよ。


「しっ、信じます、信じます。妖精さん。どうか許してください」


と画面に向かって土下座をする僕。


『どうしようかなぁ〜〜』


とチラリと土下座をする僕を見て、


『わかりました、許してあげます』


「よっしっ」と小さくガッツポーズをする僕‥‥‥で、


「所で妖精さん、願い事を叶えてくれるて言うけど、僕は妖精さんに何かしたかな?て、もしや、僕の命と引き換えに‥‥‥」


『えっ? 違います、違います!』


「じゃぁ、僕の大事な物と交換!」


『それも違いますぅ!』


「それじゃぁ、何だよ」


『その子猫です』

と子猫に指を差す妖精さん。


「子猫?また何で?」


『この子猫は私の星の元の下に生まれたからです。けど生まれてすぐに捨てられた。そして死にかけた子猫をあなたが助けてくれたんです。ですのでそのお返しに一つ願い事を叶えてあげようと』


「そう言うことか。う〜ん、願い事ねぇ‥‥‥アッ!」


『願い事を増やして、は駄目ですよ』


「えっ?‥‥‥‥読まれてたか」

僕は暫く考えて


「願い事かぁ‥‥て願い事、願い事‥‥‥一つだけだもんなぁ」


僕は腕を組んであーでもないこーでもないと暫く考えます‥‥‥


『あの〜う、まだですかぁ。あれから一時間は経ってるんですけどぉ。優柔不断な男は彼女ができませんよぉ〜』


「うるさいなぁ! 彼女なんて……彼女……」


僕は昨日の告白のシーンをフッと思い出していた。


そして……


「‥‥‥妖精さん‥‥‥決まったよ、願い事!」


『エッ! 漸く決まりましたか‥‥‥では願い事を!』


画面の中の妖精さんはやれやれと両手を顔の横に上げポーズを取ると、


「僕の願い事は‥‥‥」


「妖精さん! 僕の彼女になれ! カンナちゃんのような姿の可愛い彼女になれ!」


僕はテレビ台の横に置いてあるカンナフィギュアを手に取り画面に向かって言った。


『彼女ですね‥‥‥彼女‥‥‥彼女‥‥‥うん? ‥‥‥えーーーっ! 私があなたの彼女ぉーーー!』


妖精さんが言うとテレビの画面がまた光り出すと、僕が手に持っていたフィギュアも光り出した。


『ちょ、ちょっと待って下さい! この願い事はありなんですかぁーーー!』


すると天から声がした。


『我が星の妖精よ』


『あっ! 精霊様。この願い、アリなんですか?』


『ありです』


『そ、そんなぁ〜っ! 私にも選ぶ権利がぁ〜』


『頑張りなさい』


精霊が言うと画面から金色の光りが出てフィギュアの中に入った。

そして辺りがパッと光る‥‥‥‥‥‥




◇◇◇◇




暫くして僕は目を覚ました。


「‥‥‥う〜〜ん。なっなんだったんだ今の‥‥‥」


僕は周りを見渡すと何も変わりがないのを確認したらテレビの画面を見た。


画面はDVDのトップ画面になっていた。


「‥‥‥あれは夢だったのか?」


僕が起き上がろうと右手を動かした時、「ムニュ」と、何か柔らかい物に触れた。


で、触れた方を見た僕は‥‥‥‥‥‥


「えっ!‥‥‥ええええええ!」


「カッカッカッ…………………カンナ……ちゃん⁈」


僕の右横には可愛いらしい女の子が寝ていた。助けた子猫と一緒に。



















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