7 「スライム」
*****
ハルカちゃんが眠りについた。今はただ、私の腕を枕にして眠るこの小さな子がたまらなく愛おしい。
昨日の夜、ハルカちゃんが眠ったあとナホちゃんとアユ君がまた家に来て、姉をよろしく頼む、と伝えてきた理由がよくわかった。
この子は純粋で、優しくて、危うい。
例えば、悪意や敵意に対して、どのような反応をするのかがわからない。気にせず今まで通り過ごすかもしれない。でも、壊れてしまうかもしれない。幸い、今までそのようなことはなかったらしいが、これからもそうとは限らない。
ならば、傲慢と言われようともこの子を守ろう。障害は私達が排除するから、前だけを見て笑っていてほしい。
長々と考えていたが、結局はこういうことなのでしょう。
あなたの側で、いっしょに笑っていたい。
そろそろ私も眠くなってきたので、寝てしまいましょう。
今日もハルカちゃんを抱き枕にして。
*****
「……むーん」
意識が少しずつはっきりとしてきた。
眠っていたのは一時間程だろうか。
伸びをして、体をほぐそうとしたところで、体が思うように動かないことに気がつく。
まるでナホに抱き枕代わりにされた時のようだ。
「…………」
お姉ちゃんに抱き枕にされていた。
今のうちに一旦ログアウトしておこうかな。
諸々を済ませすぐにログイン。
相変わらず抱き枕にされていたが、ある変化を見つけた。
「……スライム?」
それは紅茶の入ったカップに覆いかぶさるようにいた。飲んでる?
国民的表現ならスライムというよりはぐれた方に似た奴だ。
アイテムボックスから昨日手に入れた鉱石の一つである『封魔石』を取り出す。
『封魔石』は武器や防具に付与することで何かしらの強化を得ることができるものらしい。
「食べる?」
いまだ抱きしめられたままなので、手首のスナップだけでそれを放る。
なぜこれをあげようと思ったかというと、鉱石がジュワジュワ溶けるのが見たかったからだ。私の個人的趣味に付き合ってもらうのだからと、一番レアそうなものを渡した。
するとどうだろう。スライムに触れたところから『封魔石』がどんどん削れていく。
え、溶けるってよりも消滅してるんだけど。スライム怖い。
全て消化しきった辺りで、スライムの色が銀色に変わっていく。
すると、少年のような声が聞こえた。
「ふぅ。うまかったー、ありがとな姉ちゃん」
ん?誰?
「おーい、聞こえてる?そこの銀髪の姉ちゃん?」
「……私?」
「それ以外いないだろー?」
「あんた喋れたの?」
「いんや。さっきまでは喋れなかったよ?なんなら自我もなかった。だけど、今、石食ったら急に閃いた的な?」
軽いぞ、この小僧。
「『封魔石』食べたら賢くなったってこと?」
「多分そうじゃねーの?こうして俺を進化させてくれたんだ。感謝してるぜ姉ちゃん。
……はっ。俺に自我を与えてくれたのは姉ちゃん……。つまり、姉ちゃんは母ちゃん!?」
「いや何が悲しくてスライムの母にならんといかんのよ」
「そんなこと言うなよ母ちゃーん。俺を養ってー」
やばい、ゲーム始めて3日目で息子を騙るスライムにたかられてる。
「いいんじゃないの、ハルカちゃん。テイマーなら仲間は必要よ」
あっ、お姉ちゃん起きてたんだ。いや、そりゃ起きるよね。目の前で会話されてたら。その割には抱き枕続行中だけど。
「そういえば母ちゃんに抱きついてるあんたは誰なんだ?」
「ふふっ、私はあなたのお母さんの姉よ」
「つまり……おば、ひいっ!」
スライムが急に怯えた声をだした。
多分【威圧】を向けられたんだろう。
「くっ、こんなやつに私の【探知】を抜けられるなんて不甲斐ないわ……。ハルカちゃんを守ると誓ったばかりなのに……。いや……私が【探知】に気を配ることができないくらいにハルカちゃんに魅了されていた……?それなら全て説明がつくわね……。ハルカちゃん、恐ろしい子……!」
お姉ちゃんが何か呟いているがよく聞こえない。よくわからないけどちょっとキャラも変わっている気がする。
「私のことはマリィとでも呼んで頂戴……」
「わかったぜ、マリィ!」
怒られた直後に呼び捨てだなんて、なかなか肝が据わっておりますな。
「………………………………………………………じゃあ私と一緒に来てくれる?」
「もちろんだぜ、母ちゃん!」
《スライム 個体名:無し をテイムしました》
私の葛藤は伝わらなかったらしく、喜びながらぴょんぴょん跳ねるスライム。あ、ちゃんとボール状にもなれるんだね。
こうして、スライムのテイムは終了した。ずっと私たちは寝そべり続けていたので、画的には微妙だろうけど。
「あんたの名前はタカシね」
「よっしゃあーー!!名前だー!!」
「あらあら、うふふ」
あの後はまた昼寝して、家に帰った。帰り道はお姉ちゃんが【威圧】を全方位に発動していたので魔物とは出会わなかった。
その後、夜ごはんを食べて寝た。タカシは私のお腹の上で寝ていた。
ハルカ・パレスティア Lv10 テイマーLv1
HP F+
MP E-
STR F+
VIT F+
DEX F+
AGI F+
INT E-
LUK E
スキル【テイム】【支援魔法Lv3】【料理Lv4】【杖Lv5】【採掘Lv3】【眠り姫Lv4】(【隠密Lv50】【不意打ちLv50】【隠蔽Lv50】)
称号【第一旅人】【最速の帰還者】【死神の親愛】【ネコカフェ解放者】
マリィ Lv89 死神Lv89
HP B
MP B-
STR A
VIT B-
DEX A
AGI S-
INT B
LUK E
スキル【首狩り】【鎌の呪い】【隠密Lv100】【不意打ちLv100】【隠蔽Lv100】【威圧Lv80】【探知Lv70】
タカシ Lv2 スライムLv2
HP E
MP F-
STR E
VIT D-
DEX E-
AGI F-
INT F
LUK E
スキル【形状変化Lv2】【溶解Lv3】【暴食】
【おいでよ】東の森散歩二歩目【臓物の森】
1.名無しのゲーマー
ここは遂に到達した東の森の攻略スレです。
どんなことでも構わないので情報をお願いします。本当に。
次スレは>>950
(前スレ)
789.名無しのゲーマー
もうエンドコンテンツでいいんじゃないかな
790.名無しのゲーマー
スライムが一番怖くね
791.名無しのゲーマー
スライム (画像)
物理ほぼ無効。魔法が有効。
他のゲームのスライムの概念は捨てろ。
樹の上から降ってくる場合もあり。その場合は窒息でほぼ確実に死亡。鎧も溶かされる。
近接型は武器に支援魔法の各属性のエンチャントで撃破可能。
フォレストビー (画像)
サッカーボールほどのサイズ。
刺されると確率で即死。
敏捷性も高い。
なによりこいつを追ってクマが出てくるのがやばい。クソ
792.名無しのゲーマー
フォレストベア (画像)
体長2メートルほど。
ハチミツどころかハチごと食うクソモンスター。ハチを追いかけて行動しているので、ハチとの戦闘に時間をかけると、いきなり襲われる。
突進と切り裂きが強力。
フォレストディアー (画像)
普通のシカ。
なぜこの森で生きていられるのかわからないくらい普通のシカ。
数は少ないが経験値が美味しい。
多分ボーナスキャラ。
フォレストウォーカー(仮称)
おそらく森をランダム移動している。
かなり高レベルの【威圧】を発動しており、プレイヤー、モンスター問わず恐慌、気絶に陥る。
戦闘リセットキャラ?
姿はまだ確認されていない。
793.名無しのゲーマー
乙
ハチとクマの恨み深すぎて草
794.名無しのゲーマー
昼でこれだから夜なんて魔境だよなぁ
795.名無しのゲーマー
進化はまだ報告されてない?
796.名無しのゲーマー
エルフ無双かと思って来てみたらクマにワンパンでやられたでござる
797.名無しのゲーマー
ヘビ(仮称) (画像)(画像)(画像)
頭上から落ちてきて全身締め上げられた
多分ソロじゃ解けなくて確実に死ぬ
結構奥進んだ辺りで出てきた
隠密でモンス避けてたけど、ヘビには効かなかったよ…
798.名無しのゲーマー
>>795地理的に騎士団無理っぽいし、進化条件厳しいか、進化無しかな?(希望的観測)
799.名無しのゲーマー
ウルフリーダーと怠慢はれるようになってもこれだもんな
800.名無しのゲーマー
>>797
乙
鑑定する間もなかったか
締め上げられつつもスクショを撮った男気に賞賛
801.名無しのゲーマー
>>797
お疲れ
鑑定はしても大体頭上に出るからなぁ
こうも捕まってると見えないか
802.名無しのゲーマー
>>797
死に戻りして三枚目で宿の天井撮るのは草
803.名無しのゲーマー
へいよ!日刊銀髪幼女だ!
(画像)(画像)(画像)(画像)
ちなみに【隠蔽】レベルが高すぎて何も見えなかったぜ!くっ、プレイヤーネームさえ見えればメッセージ送れるのに!
804.名無しのゲーマー
きたあああああああああああああああああ
805.名無しのゲーマー
神に感謝を
806.名無しのゲーマー
西から移住してきた甲斐があったぜ
お昼寝幼女かわいいいいいい
807.名無しのゲーマー
昨日の初期装備とは打って変わってゴスロリだと!?わかってる。わかってるよ眠り姫様!
808.名無しのゲーマー
この膝枕してる黒髪の清楚系お姉さん誰ー?
詳細はよ!
809.名無しのゲーマー
黒髪ワンピはわかりすぎててつらい
810.名無しのゲーマー
わかるわ
811.名無しのゲーマー
眠り姫は的を射ていますな
ところでお腹にのってる銀色のスライムは?
812.名無しのゲーマー
がわ”い”い”な”あ”
813.名無しのゲーマー
>>811
多分テイムモンスターじゃねアイコンもそうだし。
814.名無しのゲーマー
テイマー……実在したのか……。
815.名無しのゲーマー
俺もテイムして欲しいけどなー
816.名無しのゲーマー
ちょっとまて
817.名無しのゲーマー
>>816
ん?
818.名無しのゲーマー
ん?
819.名無しのゲーマー
>>816
ん?
820.名無しのゲーマー
黒髪ワンピさんもテイムモンスターのアイコンじゃね??
821.名無しのゲーマー
な、なんだってー!
822.名無しのゲーマー
うわーまじやん
823.名無しのゲーマー
転職してくる。
824.名無しのゲーマー
こんなモンスターいたか?
そもそもモンスター?
825.名無しのゲーマー
お供NPCとか?
そもそも幼女様自体が謎すぎてな。
826.名無しのゲーマー
まあ幼女様に会ってみないことにはわからんなあ
827.名無しのゲーマー
銀髪幼女出た途端に攻略情報途切れるのは相変わらずなのな
○運営
「今日のハルカは大人しいな」
「ピクニックして昼寝してスライムテイムしただけだもんな」
「一体もモンスター倒してないのは頂けないけどね」
「でも死神の【威圧】のせいでプレイヤーモンスター問わず犠牲者でてるんだよな」
「あ”ーそうだったどうしよう」
何だか自分の文章を読み直すのが恥ずかしくて流し読みしてるので、誤字脱字等あると思います。その時はご報告お願いします。
でも、誤字脱字も普通に恥ずかしいよなぁ。