6 「ピクニック」
1話辺りの文字数バラバラですね。ゆるして
今日は休日なので朝の6時からログインです。
私はいつも遅くとも午後10時には寝てしまうので、早起きなのだ。我ながら年寄りみたいだなーと思っているのだが、そのことを歩に話した時、「むしろハル姉がこどm……痛い痛い!南穂やめて!」と南穂に頭を掴まれて連行されていったので、それ以降話題にはあげていない。南穂は何に怒っていたのだろうか。
○東の森 死神邸
家のベッドで起床し、朝食を作る。サラダとトーストとハムエッグだ。折角なので、庭に小さな木の机と椅子を用意し、庭で食べることにする。昨日街でセット売りされていたものだ。プレイヤー生産者の人が売っていたのだが、どの層に需要があるのだろうか。大半の人が平原を突破していない(らしい)状況では拠点も宿だし、平原は危険だしで使う機会がなさそうなのだ。私は助かっているのだけれど。
「ハルカちゃんはお料理が上手ね。とってもおいしいわ」
「ありがとうお姉ちゃん。でも、【料理】スキルである程度補正がかかってるから、スキル持ちなら誰でも美味しいと思うよ。」
「ふふっ、ハルカちゃんが作ってくれたからおいしいのよ」
「よせやい」
お姉ちゃんが顔を寄せてきたので恥ずかしくなってしまった。
「お姉ちゃん今日暇?」
「ええ、大丈夫よ。そもそも、ハルカちゃんは私の主なのだから、気にしなくてもいいのだけれど」
主とか言われるとなんだか悲しくなってしまう。テイマーになんかならなければよかったかなぁ……。
「……なんだか距離が離れちゃった気がするなぁ……ぐす……」
私がちょっとしょんぼりしていると、お姉ちゃんが、なにやら慌てた様子でしゃべり始める。
「なーんて!嘘嘘、冗談よ。ハルカちゃんはハルカちゃんで主とかは関係ないわ。これからも私がしたいようにするだけよ。ね?」
「……ぐす……ほんと?」
「ええ!ほんとよ。ハルカちゃんは私の大切な妹よ!」
「……うん。えへへ」
なーんだ冗談か。よかったよかった。
自分の目を袖でぐしぐしと拭い、お姉ちゃんに笑顔を向ける。
すると、お姉ちゃんが急に胸を押さえて悶え始めた。顔を逸らして私を見てくれない。
「お姉ちゃん?大丈夫?胸が痛いの?」
「大丈夫よ。ちょっと成長しただけ」
「これ以上大きくなるの!?」
なんて恐ろしいんだお姉ちゃんバスト。
「冗談よ。ふふ」
「やられたー!」
油断も隙もないよ。まったくもう。
「私を驚かせた罰として、今日は私の言うことをきいてもらいます」
「ええ。なにかしら?」
「まず一つ目!お弁当を作ってピクニックに行く!
二つ目!私と一緒にお昼寝をする!
三つ目!……はお昼寝から起きたら考える!
わかりましたか、マリィ隊員!」
「ふふっ。了解しました」
そう言って優しく微笑むお姉ちゃん。
さぁ、朝ごはん食べたばかりだけど、お弁当作りだ。
今、森を散策しているのだが、少々、いや、かなり歩きづらい。先ほど着替えた服に原因がある。そう、先日街で入手(着せ替え人形にされてお詫びにただでくれた)したドレスだ。ひらひらが沢山付いた黒いドレスで白の装飾がアクセントになっている。ごしっく?と言うらしい。袖もとても長く私の手が半分近く隠れてしまっている。慣れないので枝とかにたまに引っ掛けてしまう。ここまで物理判定作り込まなくていいのに。
ちなみに、私は普段毎朝ナホに準備してもらった服を着ているので、あまり服に詳しくない。今は、新しい服もナホにお金を渡して買ってきてもらっている。以前は一緒に買いに行ってもらっていたのだが、毎回着せ替え人形になるのが辛かった(いつも途中で店員さんまで混ざってくる)ので今はナホに任せている。
なぜこんな話をしたかというと、このドレス丈が膝までしかないのだ。そして、いつもナホが買ってきたスカートやワンピースは丈が足首くらいまであるもので、ナホ曰く「膝丈はハレンチ」らしいので怒られないか心配なのだ。
そもそも完全に森をなめている格好ではないだろうか。
なんてことを考えながら、足を進める。
お姉ちゃんはこの森に住んでいるのだし、全部知っているんだろうけど、私の隣で歩いてくれていた。少し申し訳なくもあるけど、今はその優しさに甘える。
「お姉ちゃん、ここはどう?」
「あら、素敵ね」
魔物を適当に避けながら進んでいると、小さな泉を見つけた。
ある程度の広さもあるので、そこでお弁当を食べることにした。
泉の水がとても澄んでいるので、これで紅茶を淹れることにした。ところで、泉の微生物とかは多分平気だよね?本当は麦茶持ってきてたんだけどね。正直サンドイッチに麦茶って微妙かなって思っていたのだ。麦茶が美味しいのがいけない。決して麦茶信者とかでは、ない。
サンドイッチをつまみつつ、木漏れ日に包まれる。あぁ、このゲームやっててよかった。もうこれが現実でいいんじゃないかな。耳を澄ませば鳥の鳴き声や遠くで小川の水が流れる音、風にそよぐ草が奏でる音が私を豊かにしてくれる。
む、オオカミの遠吠えまで聞こえてきた。意外と森の端まで来ていたのかもしれない。私の安らぎを妨げた罰として、今度、オオカミ狩りを行うことは決定した。
ただ今はこの睡魔に身をゆだねよう……。