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眠り姫の穏やかなゲーム内睡眠  作者: 糸岡 めむ
21/24

21 「うさぎさんっ!」

(魔法の前後に《》付けた方が分かりやすそうだけど今までの修正めんどくさそうなのでこのままいきます)

「さて、どうする?私はここまでで充分だと思うんだけど。ていうか、私たちじゃどうしようもない気がする」


鑑定メガネかけとくんだった。今はもう触手も竜も見えなくなっている。


ゲームだし死に戻り前提で突撃、なんてことはしないよ。ゲームでも怖いものは怖いんだよ。


「あのクラーケンはレベル180はあったから、今の私達では討伐は無理ね」

「ひゃっ……」


ひゃくはちじゅう?


「しかし、ここで1つ案があるわ」


お姉ちゃんが唇に人差し指をあてがって言う。

わー、妖艶。


「そっ、それは?」


「漁夫の利よ」


……えっと?


「まず、あのクラーケンが獲物を締め上げながら水中に連れていくわよね。そこで獲物の体力が無くなりそうな辺りで総攻撃を仕掛けるの。そうすると、あら不思議、経験値が」


経験値システムがよくわかんないけど、結構な量は貰えそうだね。


周りのみんなの意見も聞いておこうかな。

って、めっちゃ悪い顔してるんだけど。

いや、誰も顔無いけど。欲に塗れたようなドス黒いオーラが出てるんだよ。こう、げへへへ、みたいな。

これは多分超乗り気……と。


「じゃあアレが見える辺りまで近づこうか」



うーん。さっきの所まで戻って来たけど、何もいない。

木陰で隠れつつ待機。


……のどかだなぁ。


「ハルカちゃん、お茶飲む?」

「のむー」

「おれもー」


ぐーたら親子です、どうも。


あ、【夢幻魔法】のレベル上がった。

動物生成が加わってる。


「うさぎ」


ポンッ。


「あらかわいいわね」

「そうだね」


うん、普通のうさぎだ。

全身のあらゆるパーツが動いていないことを除けば。

触れないし、動かないしでまたもや需要が少なさそう。

…………いや、私が動かすのか?

ほれっ、動けっ。


…………。

………………。

スライド移動かー。


昔のゲームのバグみたいになってるけど。


「か、かわいいわね」

「無理しないでいいよ」


移動速度というかスライド速度はそれなり、っと。

あと、MP消費は2割ですね。普通だね。

動物というか置物を動かす魔法ですな。

今更だけど、これ普通の人なら怒ってるよね。私が穏やかな性格で良かったな、開発め。



「っ!来たわよ!」

「んー?」


目をこらせば遠くに豆粒みたいなのが見えた。あれがワイバーンちゃんですか。


あ、メガネかけとこ。

ん? 遠すぎてまだ鑑定できないみたいだ。


にしても、なんでここに近づいてくるんだろう。ワイバーン界隈じゃ立ち入り禁止ぐらいなってそうだけども。情報は共有しないとダメだよ。掲示板に書き込まない私が言うのもなんだけど。


ふと、湖に波紋。

あ、先っぽ見えた。


クラーケンの触手A

レベル183


うわっ。

何よりAっていう表記がね。あといくつあるんだろうか。


さて、今回の贄はワイバーン君レベル68でした。


あ、【支援魔法】だけ使っとかないと。


「攻撃のタイミングはお姉ちゃんに一任します」

「ふふ、わかったわ。では、ブラボーはハルカちゃんの護衛。チャーリーは刀剣の投擲、武器庫の使用を許可。デルタは後方支援及び護衛。エコーは撹乱及び魔法援護」

『了解』

「色々アレなんだけど武器庫って何」

「さあ行くわよー」

『またか……』


「……ようやく人の敷地を荒らす盗人共から預かった武器の使い時が来たか……くくく……」


今、リビ爺が決定的なことを口走った気がしたけど聞き逃してしまった。

あと、その大量の剣どこで手に入れた。


「グオオォォォォオオォォ」


あ、捕まった。

火を吹いたりして頑張ってるっぽいけど、サイズが全然違うよね。合掌。


「そろそろ仕掛けてもよいのではないか?」

「いいえ、まだよ」


そして、数秒にも数分にも感じられる時間が流れて……(多分1分たってないけど1回こういう言い方してみたかった。てへ)。


「今よっ!」


「ふんっ!」

「タイフーンジャベリン」

「いきますぞ!ダークネスバレット!」


リビ爺からはどんどん剣が放たれ、セルバスは竜巻の槍を撃ち出し、エムオはなんか闇を纏った骨で突撃してるっぽい。

タカシは万一に備えて私の側におり、一方、隣にいるお姉ちゃんは私の目では追えない速さで鎌を振り回し、真空波みたいなのを飛ばしている。

あ、これ私寝てる方がステータス上がって良かったかな。もう遅いけど。


ふと、視界に新しく2つの敵影が。


クラーケンの触手B

レベル179


クラーケンの触手C

レベル177



やばいやばいやばい。


「うろたえないで!ワイバーンに攻撃を続行!」


お姉ちゃん!逃げようよ!


触手Bは左から、触手Cは右から湖畔の木々を薙ぎ払いつつこちらに迫ってくる。


スクラップの時間かな?


いくらタカシでもこれは受け止められないだろう。

諦める?

みんなが頑張って戦ってるのに何もしてない私が諦める?


それはダメでしょう。


なんかないか、なんかないか。

……っ!


「サンドイッチキャノン!」


せめて触手Bの注意だけでも引こうと、幻影サンドイッチをぶっ飛ばしたけど、これ相手から見えてる?


サンドイッチに向けて身をくねらせるBさん。


ビンゴ!


Bさん相手にはこのまま7つのサンドイッチで足止めをさせる。


そんでもって触手Cには


「うさぎさんっ!」


ポポポポポンッ!


全てのMPを注いでうさぎの幻影を生成。

サンドイッチよりもうさぎの方が移動速度に優れていたからね。


無表情無動作で触手Cの周囲を滑り続けるうさぎ達。


あ、頭がきつい……。


こんなに同時操作したことなかったのに。

ちょっとでも気が緩んだら、失敗しちゃいそう。


こわい、こわいよ。


「うっ、ううっ」


呻き声が出る。

システム画面で脳の負荷の警報も出ている。


でも、私がやらないと、みんなやられちゃう。


……いつまでもみんなに頼ってばかりじゃダメだよね。


今は私がやるしかないの!


今度は私がみんなを守る番だよ!


《称号【覚醒者】を入手しました》

《スキル【眠り姫EX】を取得しました》

《スキル【眠り姫】がスキル【眠り姫EX】に統合されました》


何かインフォメーションが来た直後、レベルアップの音が流れた。


「倒したわっ!撤退っ!急いでっ!」


「……おわっ、た?」


「ええ、もう大丈ーー」



お姉ちゃんの優しい顔を眺めて、そこで意識が途切れた。







水底からの意識の浮上。


「……んぅ」

「バルカち”ゃーん”!!」

「母ちゃーん!」

「むぐっ」


目は覚めて部屋の壁が見えたと思ったら視界が真っ暗になった。


「お嬢……まったく心配させおって」

「姫様ぁ〜!よかったです〜!」

「お嬢様も苦悶の果ての快らぐべらっ!」


セルバスのいつものクールさが失われるくらい心配させてしまっていたようだ。

骨野郎は既に粛清されたのでスルー。


「ええっと、この度はご心配をおかけしました。ごめんなさい」

「ハルカちゃんが無事ならいいのよー!」


むぎゅぎゅ。


色々積もる話もあるけど、今日のところはもうログアウトしよう。まだちょっと疲れがある気がするし。


「色々あると思うけど、今日は休ませておくれ」


あー、ちかれた。







はい、南穂とお出かけです。


「姉様、なに食べたいですか?」

「んー、あの店でいいんじゃない」


私達の間でいう『あの店』とは、立地と味はいいのに店の外観と店員さんのガラの悪さからスカスカのイタリアンのことだ。1人でもお客さんがいれば、後からどんどん来るんだけどね。あれだよ、先駆者がいればちょっと入りやすいみたいな。


「姉様は学生服が似合いますねー」

「わざわざ高校の制服引っ張りだすのはもう勘弁」

「争奪戦では父さんに一歩譲りましたが、貸し出しがあるのはいいですね」

「人の制服、家族総出で奪い合うのはなんかおかしい気がするよ」

「まぁ、こうして制服デートできてるしいいじゃないですか」

「……もうなんでもいいや」


店に到着。


「へい、らっしゃい!……って嬢ちゃん達か」


スキンヘッドの筋肉男がお出迎え。


「2人で。あと、その挨拶は変えた方がいいと思う」

「テラス席へどうぞー」


話をする気はないらしい。


「あ、ドリンクはサービスするぞ。ちっこい嬢ちゃんが20パーのオレンジで、でっかい嬢ちゃんがアイスティーだったな」

「客商売として絶望的な物言いですね」

「わざわざ20パーのを仕入れてくれる辺り憎めないんだけどね」

「姉様は相変わらず果汁少なめじゃないとダメですか」

「20までがおいしく飲めるゾーンなんだよ。そこから先は酸っぱいだけだよ」

「姉様はかわいいですねー。あ、何にします?」

「カルボ」

「じゃあ私はこのなんとか和風パスタにします」

「オーケー、わかった」


ずっと隣で待機してた店員さんが、厨房に消えていく。


「にしても、なんかコスプレしてるみたいで落ち着かないよ。私もう高校生じゃないのに」

「かわいいから大丈夫ですよ〜」

「ほらさっきから道行く人にチラチラ見られてる気もするし」

「それはこの店にお客さんがいるのが珍しいからですよ。姉様若く見えますし、違和感ないですよ」

「違和感はあってほしかったかも」


料理が運ばれてきました。


「うまー」

「はぁ、姉様かわゆ」


パシャパシャパシャパシャ!


写真撮りすぎじゃないかな。

ごはんはあったかいうちに食べなきゃだめだよ。



「そろそろ交換しよ」

「はーい、どうぞー」


一口ずつ交換なんてせずに、お皿ごと交換する。普通に五口


結構お客さんも増えてきたなー。やっぱり味はいいからね。



ふぅ、ごちそうさま。

お会計は南穂に任せてます。ていうか、お財布管理全般任せてるんだけどね。


「(嬢ちゃん達が来てくれると、うちも大繁盛で助かるぜ。やっぱ可愛い子がいると違うな。今日の会計はいいから、また今度テラス席で頼むぜ。)」

「(ふふ、任せてください。それでは、今後もよろしくお願いしますね。)」



その後、南穂に着せ替え人形にされた末に、うさ耳着ぐるみパジャマを買ったことだけ記しておきます。まだ、初夏なのに……。もこもこだよ……。





○篠宮家 夕食時


「南穂から聞いたわよー。良いヤツ買ったんだって?(遥の新しい服楽しみだわー。うさぎなんて絶対可愛いじゃない)」

「あー、うん。ボロ切れみたいになってたやつだけど(ワイバーン狩れたのは良かったよね)」

「ボロ切れっ!?そんなの買ったの!?(なんで!?お金足りなかった!?)」

「それぐらいじゃないと厳しいんだよ。元気だと火とか使ってくるし(あんなの正攻法じゃ無理無理)」

「火!?燃えるの!?(最近の服ってそんな風になってるの!?パンク過ぎない!?)」

「むしろこっちだけ燃やされるよね(あー、こわこわ)」

「着用者だけ!?呪われてるじゃん!(一体どうなってるの!)」

「他にも締め上げられそうになったりしたなぁ(触手挟み撃ちは予想外だったよね)」

「首を!?もうダメッ!今すぐ全部脱ぎなさい!!さあ!さあ!!(私が遥を守る!!)」

「なんでっ!?ママ!?どうしたのっ!ひいっ!助けてっ!助けて南穂ー!!」





ハルカ・パレスティア Lv43 テイマーLv32

HP D+

MP C-

STR D

VIT D

DEX D+

AGI D

INT D+

LUK D-


スキル【テイム】【支援魔法Lv18】【料理Lv13】【杖Lv7】【採掘Lv10】【威圧Lv1】【隠蔽Lv54】【夢幻魔法Lv6】【眠り姫EXLv1】(【隠密Lv50】【不意打ちLv50】)


称号【第一旅人】【最速の帰還者】【死神の親愛】【ネコカフェ解放者】 【覚醒者】



マリィ Lv43 (89) 死神Lv43 (89)

HP D+(B)

MP D (B-)

STR B (A)

VIT D- (B-)

DEX D (A)

AGI B+ (S-)

INT D (B)

LUK E (E)


スキル【首狩り】【鎌の呪い】【隠密Lv100】【不意打ちLv100】【隠蔽Lv100】【威圧Lv80】【探知Lv70】



タカシ Lv43 スライムLv43

HP C

MP E-

STR D+

VIT C

DEX D+

AGI F

INT E-

LUK E


スキル【形状変化Lv11】【溶解Lv13】【暴食】【火耐性Lv4】(【隠密Lv30】【不意打ちLv30】【隠蔽Lv30】)



リビルト Lv44 リビングアーマー・スティールLv13

HP C+

MP F

STR D+

VIT D

DEX F+

AGI D-

INT F

LUK F


スキル【剣Lv39】【受け流しLv25】【威圧Lv23】(【隠蔽Lv10】【不意打ちLv10】【隠蔽Lv10】)



セルバス Lv44 ミミック・スローンLv13

HP E+

MP D+

STR D-

VIT D+

DEX F-

AGI F

INT D+

LUK D


スキル【噛みちぎり】【擬態Lv37】【隠蔽Lv35】【念力Lv33】【風魔法Lv21】(【不意打ちLv10】【隠密Lv10】)



エムオニス Lv55 リッチLv11

HP B

MP C+

STR F

VIT F+

DEX E+

AGI E

INT C+

LUK F


スキル【HP自動回復Lv50】【不屈Lv45】【杖Lv24】【光魔法Lv34】【闇魔法Lv33】【念力Lv14】








【予想】第一回闘技大会総合part3【優勝はNPC】



1.名無しのゲーマー

第一回闘技大会総合スレ

NPC参加可能のため、かなり過酷な戦いになると予想される。

次スレは>>950

(過去スレ)




425.名無しのゲーマー

今見たけど予選が100人のバトルロイヤル数十回って参加者すげえな


426.名無しのゲーマー

ギルド覗いたらレベル5、60のガチムチばっかで心折れそう


427.名無しのゲーマー

そいつら全員参加とは限らないから……(希望的観測)


428.名無しのゲーマー

今朝の統計見たけど、プレイヤーの最高レベル40でしょ?もう無理やん。


429.名無しのゲーマー

階級分けたりするんやない?


430.名無しのゲーマー

予選マップ次第ではガン逃げかますわ

そしてガン逃げ2人でエンドレスワルツ


431.名無しのゲーマー

時間制限30分らしいしサクサク進むでしょ


432.名無しのゲーマー

>>430タイムアップは全員失格やで


433.名無しのゲーマー

プレイヤー側で優勝しそうなのはいないの?


434.名無しのゲーマー

イカれたメンバー紹介するぜ!


435.名無しのゲーマー

寝技のダニエル!

レアスキル【体力吸収】を使い毎秒1パーセントずつ体力を奪う!

草原でウルフと絡み合ってる巨漢が居たらそいつだ!


436.名無しのゲーマー

以上だ!


437.名無しのゲーマー

NPC出場が決まるまでは優勝予想も盛り上がってたけどな


438.名無しのゲーマー

ダニエル兄貴予選さえ突破できれば良い線いきそう


439.名無しのゲーマー

こういう時だけ矢面に立たされるダニエル兄貴すき

あと、100秒討伐の動画も面白くてすき


440.名無しのゲーマー

ウルフ「グルウゥゥゥウ」

兄貴「親に向かってなんだその燃えるような怒りを湛えつつ美しさをも感じさせる瞳は」


441.名無しのゲーマー

もう期待せずに明日を迎えるだけやな


442.名無しのゲーマー

はい、解散




○運営


「哀れワイバーン」

「この脳の負荷に応じて称号渡すのバレたら怒られますよね」

「なにより俺達が危惧しないといけないのはこのまま【夢幻魔法】のレベル上げを続けられることだろ」

「レベル50くらいでフィールド書き換える幻影だったかしら?」

「ああ、あのサーバーへの攻撃力が一番高いアレですか。まぁ、あそこまでいかないよう必要経験値やたら高めですし、大丈夫では?」

「なんか安心できねぇんだよなぁ……」

どっかでデスペナはお金落とすだけって書いた気がしますが、人ん家攻めた場合は別です。

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