第08話 1日目 昼2-3
短いです。
慣れないロングスカートをはためかせながら神父に教会の奥に招かれたアリアは教会の関係者を紹介される。
「初めまして教会で調薬と裁縫を担当しておりますメディカです。よろしくお願いしますね」
長い銀髪の眼鏡をかけた女性が自己紹介をした。続いて隣に居る金髪の男性修道士が自己紹介を始めた。
「どうも鍛冶と料理を担当していますクッチです。よろしく頼むよ」
「冒険者のアリアです。こちらこそよろしくお願いします」
「自己紹介は済んだかね。では早速だが手伝いを頼むよ。メディカの後に付いて行ってくれ」
二人との自己紹介を終えたため、神父がアリアを案内するように促し、メディカに付いていく。奥から2番目のカプセル薬のマークが描かれている扉の前に立ち説明する。
「こちらの部屋が教会の調薬を行っている場所よ。基本的な道具は揃っているから使いたいときは自由に使っていいわよ」
じゃあ中へどうぞと扉を開けるとそこにはビーカーやフラスコの他に薬を詰めるためのビンや何に使うのか分からないかまどに水道、すり鉢とすりこぎに沢山の本があった。薬草は見当たらないが後で聞いたら奥の倉庫に種類別に保管してあると言っていた。
「始める前に聞くけれど、本当にアリアさんは調薬をするのは初めてかしら?」
「はい初めてですよ」
「じゃあまずは使う器具から説明するわね」
そう言ってメディカはまずかまどの前に立ち分かりやすいように説明を始める。
「こちらが薬草の乾燥に使われるかまどよ。調薬は乾燥した薬草を粉状にして水に溶かすのが基本的な方法よ。乾燥させる時間は薬草の種類によって違ってくるから気をつけてね。市販で売っている乾燥のための器具もあるのだけど数が必要な時はこのかまどを使うの。工程で一番時間がかかるのがこの乾燥だから先にやっちゃいましょうか。乾燥させている間に他の器具の説明をしちゃいましょう」
そういって薬草を取り出させてかまどの中に入れていく。普通の薬草は20分程で乾燥が終わるそうだ。マヒの薬草は25分でネムリの薬草は30分かかると補足が入る。
「次はこのすり鉢とすりこぎなんだけど、見たまま粉状にするための器具よ。力任せにすってもうまく粉状にならないから丁寧にね」
「わかりました」
「最後に水に溶かすのだけれど、こちらは粉状にした薬草を水に漬けて一煮立ちさせて色が変わったらろ紙を通して薬草を取り除きビンに詰めれば完成。これが調薬の流れよ、わかったかしら?」
「はい、大丈夫です」
「そう、よかったわ」
説明が終わり薬草の乾燥を待ってる間に世間話をした。メディカは元々薬屋をやっていたらしく薬草の知識に自信があるから分からないものがあったら持って来てもいいですよと胸を張って言った。
薬草の乾燥が終わり冷めるまで待ち、すり鉢に移して粉状にする作業に移る。アドバイス通り丁寧にメディカのやり方を真似しながらどうにか粉状にしていく。そして先程の説明通りに手順を行い、回復薬が完成する。一口飲んでみると少し苦味があった。まだ薬草が粗い証拠であるため要精進とのことだった。ちなみに味は緑茶である。
「えーと、時間は……うん、大丈夫そうかな」
ログアウトする予定の時間までゲーム内で15分であったため、厨房を借りてちょっとした料理をしようと試みた。料理道具や食材は持参の物を使う。
「食材は足りてるね。じゃあ早速」
厨房のコンロに火を点しゆで卵を作っていく。ゆで卵を煮ている間にパンを切る。ゆで卵が出来たら殻を剥きつぶしてマヨネーズ、塩コショウで味をつける。できた卵ペーストとハムをパンではさみ完成である。
「出来た。フユ姉の大好物のハムたまごサンド。家での味とは少し違うけどうまく出来たかな」
試食をして少し味の違いを感じながらも満足できる出来であった。そして割り当てられた個室に戻りログアウトした。
スキル
《調薬Lv.1→2》 《料理Lv.1→2》
調薬回&少しの料理回でしたね。ちなみに神父は基本的に何でもこなせます。すごいね!