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Free job online ~祝育士としての日常~  作者: 八神 憂
初めの街とシスターさん
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おまけ2 8日目 昼2 その2

 シラヌイの案内で連れてこられたのは何度か来たバザーであった。普通の服屋で買うのかと思っていたアリアは少し周りの視線を気にしながら歩いていた。


「いらっしゃいませー。お、そこの少女達!すこし見ていかない?」

「あ、昨日話題になってたシスターさんじゃん。あれコラじゃなかったんだね」

「どうやったらその胸を手に入れられるのかキリキリ教えなさい!」

「そうよそうよ!おっぱ……もとい情報の独り占めは良くないわよ!」

「んー実際見てみると個人的には慎ましい方がいいかな」


 昨日の出来事はアリア的にはそうでもないが周りにとっては大事だったようで次から次に声をかけられたりされ手で顔を覆い隠しながらも一言。


「もう帰っていい?」

「ここで屈しちゃダメだよアリアちゃん!」

「あそこの店にしましょう。品揃えがよさそうですし」

「よし!行くよアリアちゃん」


 中々歩の進まないアリアの手を掴んで引っ張り1つ目の店を見てみる。女性店主がやっている露店で女物の装備や服が多数置いてある。


「らっしゃい!あのシスターさんがウチの店に来てくれるなんてね。ゆっくり見てってくれ」


 気のいい店主に促されて店の商品を眺めてアリアに合いそうな服を見繕う4人はそれぞれ合いそうな服を手に取りアリアに差し出すが、そのラインナップを見てアリアは先程とは違い無表情である。


「あの……スカート嫌なの知ってますよね?」

「でも似合いそうだよ?」

「このプリーツスカートなんて似合いそうですよ」

「え~アリアさんはスカート合いそうなのに~」


 各人ロングからミニまで様々な長さのスカートとそのスカートに合いそうな上着を差し出す。押し付けられた服を見ながら溜息1つ。妥協して履く事を期待しながら見ている4人を一瞥する。


「皆さん?」


 一言呟き渡された服を元の場所に戻して残念な顔をする4人に対して振り返りただただ笑顔を向ける。知らない人から見ればただの笑顔であるが、この笑顔が物語っているのはただ1つである。


 次はわかりますね?


 笑顔の裏に隠されている感情に4人は向けられた笑顔に恐怖を感じながら次の服を見繕う。そうして選んで貰った服から気に入ったセットを1つ選んで購入する。


「どうですか?」


 購入した服を設置してある簡易的な更衣室で着替える。白色の控え目なシャツに袖を捲った濃い茶色のジャケット、そしてウエストと脚の細さを強調する白色のスウェット。靴は履いていたブーツをそのままである。


「うーん無難だね」

「無難ですね」

「かわいいというよりカッコいい感じですかね」

「無難だね~」

「シスターさんのイメージしか無いから……ほんわか雰囲気に合ってねぇな」

「うーんアリアちゃんの好みが分からないから、ミカンに合いそうな少し男性向けっぽい感じの選んだのが失敗だったかな」

「あーアユが選んだんですか」

「もっと緩い女性って感じのやつ選びたかったんだけど、これ以上怒られたくないしね、まあアリアちゃんが嬉しそうだしいいんじゃないかな?」

「それもそうですね」


 アリアは普通っぽい感じの服に満足気な顔であったため、アユ達はこれから勧めればいいかと次の店の向かう。毎度あり!と元気な声で言う店主に振り返りおじぎを返し歩を進める。

 歩きながら次の店に狙いを定めていると急に後ろから抱きつかれ胸を思いっきり掴まれる。


「……」

「おーおーホントに胸大きくなっとるんやな。羨ましい限りや……ってリアクション薄いな~」

「昨日散々触られましたから慣れましたよカナさん」

「なんや寂しいなー最初触った時にはいいリアクションしたのに」

「いいから離してくれませんか?」

「えーもうちょっとええやん。減るもんでもないし」

「本当なら今すぐにでも減らしてもいいんですよ?」

「つれないわーって離すから減らそうとせんで」

「まったく」


 あと3秒でも離さなければ戻すつもりでいたアリアは残念そうにステータス画面を閉じる。ほっとしている4人組を気にせずに改めて挑戦的な挨拶をしてきたカナを目に見やる。


「こんにちはへんた……カナさん」

「こんにちはやアリア、それに4人も。にしても今日は変わった格好しとるな」

「さっき店で買ったんだよ。こんにちはカナさん」

「これから別の服も買おうかと思いまして見て周ってるんです。カナもどうです?」

「アリアさんのファッションショーだよ~」

「スカートがダメなのが残念ですが」

「なんや自分まだスカートダメなんか?1着ぐらいええやん」

「外出る時くらいズボンがいいんです」


 ぷいとそっぽを向くアリアに可愛さを見出しながらカナは少し悔しそうにつぶやく。


「むむむ……これは絶対買わないって顔やな」

「とりあえずいいんですよ。カナ、最終目的は別にありますから」

「ん?最後に何かあるんかいな」

「触ったカナなら分かるはずです」

「触った?えー……あーそういう」

「そういうです」


 他の3人の顔を見ると同意見であるようでカナはその場で納得する。その様子に疑問符を浮かべるアリアを横目にわかったわと示し合わせる。


「じゃ、私も参加するわ。面白そうやしな」

「行きましょうカナ。ほらアリアも」

「あ、はい


 シラヌイが強引に話を進めてカナも参加させる。歩きながらカナは巫女服の着心地はどうかなど自分の所の商品の話題を出しながらアリアに話しかける。アリアも素直な感想を述べながらも1つ依頼を出したりしながら店を見て周る。


「ふむふむ……外套を作って欲しいとという事かいな」

「はい。促育の加護には修道服だと魔防足りなくてですね。けどいちいち着替えるのは面倒ですので羽織る物ならどうかなと思いまして」

「了解や。今はアキもおらんし夜にそっち行くってことでええか?」

「構いません」

「じゃ、夜の都合のいい時にメッセージ送ってな」

「はい。お願いしますね」


 こんな会話をしながら5件ほどの店を回り、今着ているのを含めて3着購入し一先ずバザーを後にする。


「さて、今日の目的の店に向かうよー!」

「あーそういう話でしたね。そういえばどんな店かは聞いてませんね」

「それは着いてからのお楽しみですよアリアさん」

「アリアには必要な物が置いてあるお店ですよ」

「そうだよ~」

「ま、行けばわかるで」


 そう煙に巻かれながらも本日メインのお店に向かう。アリアを囲む形で陣取る5人に違和感を感じながらも雑談しながら進む。そして5分ほど歩き件の店の前に着く。


「到着ー!」

「おーホントにあるんですね」

「ふふっ一度来てみたかったんですよね」

「お~」


 その店に飾られているのは色鮮やかな面積の少ない布地。奥は見えないが同じような物が取り揃えられているのは明白の理である。その事が分かっているアリアはあははと顔を苦笑いで固定させていた。


「楽しみやな」

「はい、楽しみです」


 男子禁制を示す看板を見上げ半歩半歩と音を立てずに少しずつ後退る。


「じゃあ行こう~」

「いざ!」


 アユがその店の役割を率直に上げる。


「ランジェリーショップへ!」


 その宣言と同時に後退っていたアリアがくるっと回れ右をしダッシュで逃げ出す。これ以上ない完璧なスタートダッシュであったが……


 ガシッ!


 誰かに肩を掴まれて冷や汗をかきながらなお逃げようとするがさらに強い力で肩を握られる。恐る恐る後ろを振り返るとそこには。


「アリアちゃん?どこ行くのかな?」


 これ以上ない位笑顔のアユが居た。その後ろでは同様の笑顔の4人を見てアリアは顔を前に向けて再び走り出そうとする。


「っ……り!そのお店だけは無理!絶対無理!そこ入る位ならスカートの方がマシ!そこだけは嫌!」


 無理と叫びながら涙目で逃げようとするアリアであったがそこはステータスの差かシラヌイにあっさり捕まる。ずるずると引きずられながら命乞いと言わんばかりに「そこだけは……」と懇願する・


「ダメだよアリアちゃん!キチンと自分の胸に合った下着つけないと!」

「せやでー。触った感じ初期の地味なやつ着けとるやろ?女子ならそこにもオシャレしなきゃ」

「そうだよ~誰に見せても恥ずかしくない下着じゃないと~」

「誰に見せる予定は今も昔もこれからも無いから!お願いだから!」

「往生際が悪いですよアリア。ほら行きますよ」


 懇願など知らないと言わんばかりに問答無用で引っ張られる。「嫌ぁぁぁぁ」とアリアの絶叫は店へと消えていった。中では服を剥かれては様々な下着を押し付けられては着せ替えさせえられ店を出る時に「死にたい」と呟いたのは余談である。なお、次の日から5人に対してプレイヤーさん呼びに始まりその日の最後には口すらきかないアリアが居たのはさらに余談である。

 嫌がる主人公を書きたい。ただそれだけの回。後悔も反省もしていません。次回からは新プレイヤーとギルドと夏イベ準備の第2部が始まったらいいなぁ。

 店の中での描写もしてみたかったけど、無理でした。すいません。

 5人を無理矢理喋らせようとするとセリフが多くなってしまう……。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 次の日から5人に対してプレイヤーさん呼びに始まりその日の最後には口すらきかないアリアが居たのはさらに余談である。 この部分の間話のようなものを見てみたいと思ってしまった… [一言] …
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