第48話 6日目 昼1-2
前回の話?知らないですね。という感じの今回の話です。あと少しアレな話第2弾です。
「メディカさんお待たせしました」
「全然大丈夫よ」
加護と呼び出しが終わり調薬室に入ると事前に準備された型紙通りにエプロンを作っているメディカの姿があった。アリアを出迎えると早速と言わんばかりに1つの服を差し出す。
「はいこれ。いつもありがとうという感謝の印よ。受け取ってくれると嬉しいわ」
「はい……こちらこそありがとうございます」
その服を手渡されたアリアは冷や汗を背中に感じながらも、ニコニコと笑っているメディカの想いを無碍にも出来ず笑顔で受け取る。
受け取った服を一旦アイテムボックスにしまい込みメディカの顔を見ると貰ってくれた安堵と同時に着てくれないかという期待の眼差しを向けていた。
「あの……この服は教会内で着れるんでしょうか?」
「この町の中ならどこでも着られるわよ。もちろん教会内でもね」
「そうですか……では着替えてきますね」
退路を断たれて観念する。渡された服を着なければエプロン作りにはいれないことを察してしまったアリアは調薬室を出て裏口で着替えをする。
「ええと……服の名前は、ああうん。って何でインナーまで付いてるの!?いや着ないよ……着ないよ。頭の装備も……着けないといけないよね」
アリアは呟きながらも装備を変えていく。着替えが終わり道中で誰にも会わない事を祈りながら調薬室へ続く通路を少し高いヒールに苦戦しながらも急ぎ足で歩く。調薬室の扉に辿り着きドアノブに手をかけた瞬間、鍛冶場の扉が開く。
「今日の依頼はこんなものですね……っておや?」
「そうなんですか?……お!」
鍛冶場から出てきたクッチとキャジに目撃されてアリアの動きが止まる。首をギギギ……と歯車が噛み合っていない機械の様に向ける。
「……やあ、こんにちはアリアさん」
「こんにちはアリア……」
「っーーー!」
珍妙な物を見る目でいる2人は声をかけるか迷いながらもとりあえず挨拶だけするが、顔が羞恥の色に染まるアリアは何も言えずに固まっていた。
「あの……その格好は?」
「その服ってどう見てもメ……」
「見なかったことにして下さい!」
キャジの言葉を遮り大声で叫ぶと調薬室へ転がり込む。その様子を見て首をかしげる2人であった。
「アリアさん叫んでいたけど何かあったのかしら?」
「何もないです……何も」
「そうなの?」
「はい」
心配そうに見るメディカに先程の事を忘れるようにそう言葉を漏らす。「それはそうと」とメディカは改めて話を切り出す。
「アリアさんにとても似合っているわね。私の見立てに間違いは無かったわ」
「そうですか……」
とても満足そうにしているメディカになんとも言えない表情のアリア。自身の服のスカートを摘み上げメディカに聞く。
「それにしても何でメイド服なのですか?名前は『家政婦修道服』ですけど」
「似合いそうだからですが?」
「……そうですか」
再度同じ言葉を返し着ている服をよく見る。オーソッドクスなロング丈のメイド服である。孤児院の物とは違いフリルがあしらわれたエプロン。おなじみのカチューシャに体を覆う黒色のドレス。襟元のリボンにボタンの付いた白い袖口などの差異はあるが大本はシスター服であることは着心地で分かる。靴を見ると普段履いているブーツではなく、少しヒールの高い黒色のエナメル靴。
「そういえばアリアさん」
「なんでしょう?」
「下着は……付け替えましたか?」
「ええと、あの……その」
「少し失礼しますね」
言い淀むアリアの反応を見て怪しく思ったメディカは履いているスカートに手を伸ばし、両端を持って一気にたくし上げる。足から膝上まで包む白のオーバーニーソックスとそれを固定するガーターが見えるが黒色のスパッツが全てを台無しにしている。アリアは慌ててスカートを抑えるが時すでに遅し、メディカが少し怒った顔で居る。
「やっぱりですか……そうなると上の方も替えてませんね。ダメですよアリアさん女性として見えない所でもオシャレをしないと」
「オシャレなんてしなくてもいいじゃないですか。それに恥ずかしいですよ」
「オシャレしないとダーメーでーすー」
「うぅ……着けないとダメですか?」
「ダメです」
「どうしても?」
「ダメです」
「……上だけじゃダメですか?」
「ダメです。下もです」
「わかりましたよぅ」
頑固として譲らないメディカの目に折れたアリアは渋々インナーの変更を行う。変更を行うと胸に少しの圧迫感と膝の付根に涼しさを感じる。
「終わりましたよ」
「では失礼しま」
「自分でやりますから!」
たくし上げられそうになるスカートを抑えながらそう返す。そちらの方が恥ずかしいのではという心の声を出さないようにしながらメディカが手を引っ込める。
「ではどうぞ」
「は、はい」
自身のやるを改めて自覚し顔を赤らめるアリア。前言撤回は許されない空気の中で自分のスカートに少し屈みながら手を伸ばす。スカートを膝の辺りから片手で掴み少しずつ上げていく。白色のソックスが膝上まで隠しているが段々と風通しが良くなっていく下半身とは対照的に顔は熱くなっていく。どんどん露出を多くしていき、膝から上の綺麗な肌色が現れる。
「っーー!」
羞恥に耐えながらもあと1センチでも上げれば見えてしまうラインまでスカートを持ち上げる。もう片方の手で口元を隠しているがその仕草がより妖艶さを引き立たせている。その状態から20秒程経ち少しスカートを下げた後意を決して上げようとした時、突如調薬室の扉が開く。
「メディカさん少しよろしいです……か?」
「……」
「……」
レーゲが視界に写る情報を整理し考え結論を述べる。
「お楽しみのところを失礼しました。どうぞ続けてください」
「……」
簡潔に伝えて退室し扉を閉める。その状況を理解して数瞬、メディカが部屋を飛び出す。アリアはスカートを掴んでいた手を離して放心状態で佇んでいた。その後、大丈夫よ私達は仲間ですからと言う声と違うのよ!と言う声が教会に響いたとか響かなかったとか。
メイド服です。ロング丈のメイド服です。普通のメイド服です。
この服に関しては書いてる当初から主人公に着せる気満々でした。茶髪ロングのメイドさんは至高……前回の話?知ったこっちゃねーです!
たくし上げは良い文明そう思ってる作者です。だけどその魅力を伝えきれない非力な作者を許してくれ。
初期のインナーって?→女性アバターの場合は黒のスパッツとキャミソールです。色気なんてありませんね。元々絶壁の時点で色気なんて皆無ですが。




