第36話 4日目 夜2
アリアの冒険用の装備担当者登場。どうでもいいけどこの小説とは1ミリも関係ない短編上げました。短いし細かい設定も無いので息抜きにどうぞ。
家事を終わらせていつも通り加護をかける約束をしてログインする。
「さてと加護かけた後何をしようかな?」
そう呟きながら部屋を出て礼拝堂へ向かう。昼よりも人が多く昼にも見かけた加護士も居た。のんびり眺めようと思ったが、やはりこちらに気付くとやって来る。
「君が祝育士のアリアさんだね?」
「そうですけど何か?」
「いやぁ加護をかけて欲しいと思ってね。お願い出来るかい?」
「構いませんが……あちらの方も加護をかけてくれると思いますけど?」
チラリと少し困り顔の加護士を見るが「そうだけど」と断りを入れる。
「やっぱり祝育士の方が加護の上昇値が上だから、祝育士が居るんだったらそっちに頼みたいんだ」
「そんなに違うんですか?……というよりも他に祝育士の方は来ないんですか?」
「一時的に来るんだが……足元見てるのか割高な要求をしてくるんだ。それに元々の絶対数が少ないのがね」
「そんな少ないんですか?」
「せっかくのVRなんだから自分で剣や魔法を使いたいだろう?ってシスターさんやってる君にはピンと来ないか」
「本来姉を支えられたらいいなと思ってやっているジョブですからね」
「まったく姉御はこんな妹さんを持って幸せだよ」
そう言うと周りもうんうんと頷いた。少し恥ずかしげにしながらも「わかりました」と杖を装備し加護の準備をする。もう一度加護士の方を見ると気にしないでと言った感じでいた。
「説明は不要ですよね?」
「ああ、欲しい加護は……」
欲しい加護を次々かけていく。途中で姉のパーティがやって来て姉が冷やかしを受けたのはご愛嬌である。
「終わりましたね」
教会に訪れたプレイヤーに加護をかけ終えて一息つく。すると加護士が声をかけてくる。
「お疲れ様、やっぱり人気だね」
「あはは……祝育士ってだけで買いかぶりすぎですよ」
「君の場合はその容姿と人柄もあると思うよ。いくらジョブが良くても関わりたくない人っていうのは居るもんだよ」
「そうでしょうか」
最後に加護士(後にグナードという名前だと知る)に魔防が上がる加護をかけてがんばって下さいねと言い残し奥へ引っ込む。
「レベルは……14か。後1レベルで新しい加護だね」
自身のレベルを確認し次の加護へ期待を寄せながら歩いていると肩を叩かれたので振り向くと、そこにはレーゲが居た。
「アリアさん本日はありがとうございました」
「あ、いえいえ。こちらも楽しかったですよ」
「それを聞けて安心しました。また孤児院に行ってあげて下さい。あの後次はいつ来るのとずっと尋ねられましたから」
「わかりました時間があれば行きますよ」
「お願いします……あ、それとですね」
顔を赤らめて何か言いづらそうにしているため、何だろうと思っているとレーゲが小さく呟く。
「……さい」
「……はい?」
「今度、料理を教えてください」
料理が出来ないことを気にしていたらしいレーゲがアリアに頼む。驚いたアリアであったがすぐに気を取り直し質問する。
「良いですけど……クッチさんじゃ無くていいんですか?」
「その……クッチには一度教えて貰ったんですけど、愛想つかされちゃいまして」
「……一体何をしたんですか?」
「鍋が……爆発しました」
「…………」
アリアからの何を言っているのか分からないという視線に恐縮しているレーゲ。アリアはその原因を聞きだし対策とも言えない基本的な事を教える。
「レシピ通り作れば普通爆発なんてしないんですよ?」
「はい」
「……」
「……」
「……分かりました。教えますよ付きっ切りで」
「ありがとうございます」
「時間は明日の夜でいいですか?」
「あっはい。大丈夫です」
「食材はこちらで用意します」
「いえそんな!アリアさんにそこまでの負担をかけるわけには!」
「今の話を聞いてレーゲさんに用意させるのはちょっと……」
はう!と言葉の刃が突き刺さるり膝を着くレーゲに明日の夜ですよとフォローもせずに立ち去るアリアであった。決して昨日の夜の意趣返しではない。自室に戻り鍵をかけてアイテムを確認するためメニューを開くとメッセージが一件あることに気付く。
「アユさんからだ。えーと……明日種族変更クエスト受けるから、出来るだけ装備整えていて欲しいな……か。そう言えば未だに外で装備出来るのがあの服だけか」
初期装備である冒険者の服を取り出す。町に居る分には困ることは無いのだがクエストに行く上でアユ達に迷惑をかける訳にはいかないため、そろそろ装備の変更を決意する。
「暗い……良く考えたら夜の町に出るのは初めてだった」
思い返してみると夜はずっと教会に居るため暗い町並みは印象が随分違って見えた。そう思いながらも装備ということでバザーへ向かう。
「昼より人多いなぁ」
昼よりも活気溢れるバザーに到着し一言。少ないよりいいかと思い直し早速見て回る。何か良い装備は無いかと探しているが良い悪いの基準がイマイチであるアリアは商品を眺めるも頭を捻る。
「シラヌイさんでも居てくれたらな……」
フレンドリストを見てみるがシラヌイはログインしていない。アユやシルト、姉は狩りの途中であるため邪魔する訳にもいかない。悩んでいると1人のプレイヤーを確認する。
「あ、ハコベラさんがログインしてる。ちょっと聞いてみようかな」
フレンドリストからコールを掛けるとすぐに出てくれた。どこに居るのか聞いてみるとバザーで店を出していると言っていたため向かうことにする。2分ほどでハコベラの店を見つけ声をかける。
「ハコベラさんこんばんは。すいません突然訪ねて」
「いやいや全然構わなですよ。アリアさんが杖を使っているおかげで良い宣伝になっていますからね。それで何か用事ですか」
「ちょっと装備を買おうと思ったんですけど良し悪しが分からなくて……」
「ちなみにどんな物が欲しいとかは決めてありますか?」
「いえ特に決まってないです。しいて言うならスカートではなくて露出が少ない物をと考えています」
「なるほど……宛はあるかい?」
「無いです」
「ふむ……こちらで1組宛があるけど紹介しましょうか?」
「お願いしてもいいですか?」
「じゃあ少しお待ちください」
ハコベラは早次にフレンドにコールをかけ2、3言話すとすぐに切ってしまう。
「すぐ来てくれる見たいです」
「ありがとうございます」
「それで、急に装備を揃えるなんてどうしたんですか?」
「アユさんからクエストに誘われて装備を整えておいた方が良いといわれたので」
「なるほど」
そんな雑談をしながら呼び出したプレイヤーを待っていると後ろから一人の女性プレイヤーがそーっと近づきアリアの胸を掴む。
「ひゃい!?な、何ですか!?」
「むむむ噂通りの絶壁やな。感度は良いみたいだけど物足りな……ってあいたぁ!」
女性プレイヤーに拳骨がお見舞いされてアリアから手が離れる。何事かと後ろを見ると手をグーにしている黒髪で長身の女性と頭を擦っているアリアと同じくらいの身長の茶髪の女性が居た。
「何するんや!せっかくのシスターさんの胸やで!?」
「何するじゃないでしょ!いきなり触るのはやめなさい。まったく……驚かせてごめんなさいね」
「い、いえ……」
いきなり胸を触られて明らかに警戒しているアリアの表情を見て深い溜息を吐く。どうしたものかと考えているとハコベラが助け舟を出す。
「お待ちしてましたよアキさん、カナさん。アリアさんこちらが紹介したい人達です」
「いきなりカナがごめんなさいね。私はアキ裁縫士よ」
「私は細工士のカナや。主に小物を作ってるでよろしゅうな」
「……祝育士のアリアです。こちらこそよろしくお願いします」
「なんやめっちゃ冷たい目でウチを見てきよるんやが」
「出会い頭に胸触ったらそうなるわよ。第一印象が大事なのにどうするのよ?」
「あんなんジョークや……はい、ごめんなさい、次からはしませんのでその顔はやめていただけませんでしょうか」
「次からじゃ遅いのよ?」
アキ自身は笑顔であるがその怒気は明らかである。カナに対して数分説教が続くがその間にハコベラから出会った経緯を説明される。元々女性向けの装備を作っていた2人はアリアの杖を作ったハコベラに目をつけてアリアを紹介して欲しいと頼まれたそうだ。
説教が終ったのか若干涙目になっているカナが謝ってくる。
「いきなり胸を触ってごめんなさい。許していただけないでしょうか」
「……はぁこのままじゃ話進みそうに無いですし許しますよ。でも今度からやめて下さいね?」
「はい善処します」
「やめるとは言わないんですね……」
「さて、カナの許しを貰った所で商談に入りたいと思うんだけどいい?」
「はいお願いします」
商談という事で真面目な顔になるアリアとアキ。
「まず予算と素材だけどどうする?」
「予算は……相場ってどれ位のものですか?」
「3箇所作って大体5万ってところかしら。持ち込まれた素材次第で安くなるけどどう?」
「5万ですか……大丈夫です。それで素材はどういうのを?」
「見せたくない物が無ければアイテムボックスの確認が一番早いのだけれど」
「アイテムボックスですね、大丈夫です」
メニューからアイテムボックスを開き中の素材を見せていく。お布施として貰ったアイテムがいくつか有りそれを使用すれば安くなると言われる。アリア自身は困ることも無いためお願いする。
「次はデザインだけど注文はある?」
「露出が少なくてスカートじゃなければいいです」
「えー?こんなベッピンさんなやのにスカート嫌なんか?絶対似合うで?」
「お客からの注文にケチつけないの。スカート駄目で露出少なめ……アリアさんのスタイルと髪に似合うとなると……あ、いつまでに作らないといけないのかしら?」
「出来れば明日までにお願いしたいのですが……」
「何時にログアウトする?」
「現実の夜10時です」
「早いわね……流石に今日渡すのは無理か。明日何時にログイン?」
「いつもなら昼の12時くらいです」
「その時間私は居ないわね……カナは?」
「ウチはおるよ。装備の引渡しは引き受けるで」
「アリアさんはそれでいいかしら」
「大丈夫ですよ。胸さえ触って来なければ」
「それに関しては言い聞かせておくわ。じゃあ商談成立ね。体の採寸は済ませてあるかしら?」
「してありますよ」
使うとは思ってなかったステータス画面のスリーサイズを開き2人に見せる。その際にある1つの数値を見て可愛そうなものを見られる目で見られたのは内緒である。
「最後にフレンド登録と素材を受け取るわ。お代の4万Gは完成してからでいいわよ。持ち逃げなんて絶対しないから安心しなさい」
「信頼第一がモットーや。受け渡しは明日の12時から13時の間ってことでええか?場所はハコベラの店の前でええやろ」
「それでお願いします。急な注文ですいませんね」
「いいのいいの。有名なプレイヤーの装備を作れるってかなりの宣伝になるからね」
フレンド登録と要求された素材を渡し2人は仕事に戻る。それを見送ったアリアはハコベラにお礼を言い教会に戻る。
ステータス
ジョブ:祝育士 Lv.11→14
HP:230→260
MP:310→340
魔防:85→94
器用:40→46
どんな装備か来るかは次のお楽しみです。
先にアキの名前を取った人が登場。実際無難な名前ですから仕方ないですね。
関西弁おかしくね?→関西弁に余り詳しくないので大目に見てください。おかしいと感じたらご指摘下さると助かります。




