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Free job online ~祝育士としての日常~  作者: 八神 憂
初めの街とシスターさん
33/69

第33話 4日目 昼2-6

 ……教会で加護をかけるだけの予定だったのにどうしてこうなった?

 教会の前へ到着するとウサギ抱えたまま2人の男性プレイヤーに絡まれていたハクを見つける。かなり困っている様だったため見かねたアリアが声をかけるよりも早くシラヌイが間に割り込む。


「私の連れに何の用でしょう?しつこいとGMコールしますよ?」

「ああん?何だお前?コッチはこの子と楽しくおしゃべりしてたんだぞ?体に触れている訳でも無いんだからよぉ?」

「そうだそうだ!お前見たいなまな板に興味無いんだよ。まな板はまな板らしく厨房で寝そべっとけ!」

「誰がまな板ですか?その口を二度と開けないようにしましょうか?」

「え?え?」


 突如現れたシラヌイに驚き状況を掴めないまま周りを見渡すと、さっき知り合ったアリアを見付け少し落ち着きを取り戻す。だが一触即発の空気で何も出来ずに居た。


「上等だ!退く気が無いんだったら力ずくで!」


 男性プレイヤーの1人がデカイ斧を取り出しシラヌイ目掛けて振り下ろそうとするが、男性が斧を振り上げた時点でシラヌイは動き出していた。

 腰のナイフを取り出し相手重心が後ろにある内に全体重を乗せて左胸に向けて刺突する。そうして相手のバランスが崩れた所に即足払いを決め完全に体勢が崩れたら馬乗りなりに片腕を絞めた上で首元にナイフを突きつける。


「力ずくで……何ですか?」

「な……!」


 あまりにも速い攻撃に何をされたかも分からないまま唖然としている相手にシラヌイは冷たい声で淡々と告げる。


「今後、女性にちょっかいをかけないで下さい。お前達の様なプレイヤーがいるからどんどん女性プレイヤーが止めていくんだよ」

「ふっざ……けるなぁぁぁ!ベン!」

「あいよ!」


 そう叫ぶとベンと呼ばれたもう一人の男性プレイヤーがシラヌイに対して蹴りを放つが声で気付いたシラヌイはギリギリ回避する。シラヌイが離れたことで体の自由が戻った男性は立ち上がり斧を構え直す。


「しっかりしろよステル、相手はガキだぞ」

「ああ油断した。けどもう大丈夫だ」

「2対1ですか……上等です」


 シラヌイは2人を挑発するように手をクイックイッとする。その挑発は逆上したステルと呼ばれる斧使いのプレイヤーには十分だったようで真っ直ぐシラヌイに突っ込んでいく。ステルが振り回す斧をすんでのところで回避しながらどんどんハクから距離が離れるように後退する。


「ほらほらどうしたんですか?そんな攻撃じゃ当たりませんよ」

「ちょこまかと!うざってぇ!」


 ステルが斧を振り回している以上射程内ではベンは攻撃をしてこない。それを分かっているため距離と時間を稼いでいく。

 そして1分程経ちハクから大分距離を離したらシラヌイも斧の射程から逃れるため大きくバックステップをするが、それを待っていたかのようにニヤリと笑いながら斧を振り回すのを止めると、ステルを踏み台にしてベンが高跳びしそのままシラヌイに向けて踵落しを決める。


「ガァッ!」


 咄嗟のことで避けられないシラヌイは踵落しを後頭部にモロに喰らってしまい前のめりに倒れる。ゲームで尚且つ町中であるため痛みやダメージは無いが蹴られた衝撃はそのまま体に響きうつ伏せの状態から直ぐには立てない。地に伏したシラヌイはベンに体を踏まれながらも顔を上げて睨む。その様子をニヤニヤと笑いながらステルは斧を構える。


「俺たちの邪魔をしたバツだぜぇ?まな板なら刃物下ろされても文句言えねぇよなあ!」

「シラヌイさぁん!」


 ハクを保護したアリア達はシラヌイのピンチに気付き駆け出していたが間に合わない……そう思った瞬間、ベンは後ろに居た何者かの一閃により吹き飛ばされる。


「やっちまえステルぅぅぅ!?」


 突然吹き飛ばされたベンに構うことなく高く振り上げられた斧を振り下ろそうとするがガキン!と二つの槍によって完全に受け止められる。


「何……がぁっっ!?」


 ガラ空きの腹に蹴りを入れられ尻餅を着く。自分の邪魔をした者を見るとそこには1人の女性プレイヤーが殺気を全開にして見下していた。


「はあ……1人の少女によってたかって何をしている?」

「フユ姉ぇ……」


 姉は立てるか?とシラヌイに背を向けながら語りかける。大丈夫ですと立ち上がりよろけながらもナイフを構える。その様子を見て姉の名前を呟くアリア。ホッとしたのも束の間、状況を飲み込んだステルは完全にキレていた。


「どいつもこいつも邪魔しやがって!おいベンさっさと立て!」


 発破をかけられ急いで立ち上がるベンはステルと共に戦闘体勢であるが姉はそれに待ったをかけて1つ提案を持ちかける。


「おい……」

「あん?」

「互いに町中じゃダメージは与えられないだろ?そこで」


 姉はパネルをいじり相手に1つのメッセージが表示される。


「決闘するぞ。モードは完全決着で勝った方は相手の持ち物と所持金全部貰える……お前らは2人でいいぞ。私は1人で十分だ」

「ちょっ!フ……ミカ姉!?」

「私も戦いますよ!?」

「お、アリアも居たのか。こりゃかっこ悪いとこは見せられんな……で?どうする」

「やってやらぁ!」


 シラヌイの意見を無視し決闘を開始する。互いに武器を構えながら体の硬直が解けるのを待つ。開始のブザーが鳴り硬直が解けまず動き出したのはステルである。


「俺たちを舐めた事後悔させてやらぁ!」


 再び斧を振り回そうと腕を振りかぶる……が腕を伸ばした瞬間に顔に槍が突き刺さる。


「遅いぞ」


 そう告げた瞬間、姉がそのままもう片方の槍で肩・腹・足を突きを放った後顔に刺さった槍を引き寄せ胸を蹴飛ばす。それだけでステルのHPは6割近く削れていた。ベンはステルがやられたと認識して焦って姉に突っ込むが槍の一薙ぎで牽制される。


「……思ったより硬いな。普通は顔面のクリティカルだけで7割削れるんだがな」


 槍をくるくる回しながら呟く。アリアは姉が何をしたのか理解できずに居て近くで見ていたシラヌイは槍の刺突速度に唖然としていた。


「武器を持たずに突っ込むところを見ると拳闘士か……懐に入れなければいいだけだな」


 そう結論付けてスッとステルとベンを見る。ステルはよほど自身の防御に自身があったのかHPの減りを見て恐怖に顔を染めていた。ベンはどうにか近づけないかと姉の隙を窺っている。


「さて懺悔の用意は出来たか?」


 未だに尻餅を着いているステルに近づき喉元に槍を突きつける。それを隙と見たのか死角に回り込み一気に近づき顔面に殴りつけようとするが、一瞬の瞬きの間に顔に槍が刺し込まれていた。


「ぐっ……!」

「回り込んでいる所を見られてたら意味ないだろう」


 防御が低いのか1回の突きで体力が全損し体が崩れ落ちる。頼みの綱がやられ完全に戦意を喪失したステルは顔を青くして謝罪を行う。


「わ、悪かった……俺たちが悪かったからお願いだからアイテムだけは……!」

「言うのが遅い」


 相手の謝罪は聞く耳持たずでそのままトドメを刺そうとすると腕をシラヌイに絡め取られる。


「も、もういいですから……」

「む?本人が言うなら止める……のはやまやまだがどっちかがやられるまで終わらんぞ?」

「じゃあ……ステルさん、死に戻りした後に再び教会前に来てください。もう二度としないと約束したらアイテムは全部返します。それでいいですか?」

「所持金は……?」

「反省しないなら何も返しませんよ?」

「はひ!ちゃんと反省しますから!どうかアイテムだけでもぉ」

「……やれやれ、じゃあお願いします」

「あいよ」


 シラヌイの了承を得てトドメを刺す。「決闘に勝利しました。以下のアイテムを獲得しました」と2人分のアイテムがプレゼントボックスに入る。ピリピリとした空気も終わり一息ついていると「それで」と姉が尋ねる。


「これ元々何が原因なんだ?」

「それがですね……あ、名乗るのが遅れました。シラヌイです」

「どうも私はミカンだ。そこのアリアの姉だ」

「アリアのお姉さんでしたか……あ、助けていただきありがとうございます」

「どういたしまして。で、結局あいつら何だったんだ?」


 再度尋ねられたシラヌイはその経緯を話すと「なるほどな」と納得してその後シラヌイに対して「無茶するな」と言うが全員心の中で「あなたが言うな」と突っ込んだとか突っ込んでないとか。

 これ誰が主人公かもう分かりませんねぇ……男前な発言が似合い圧倒する姉とハクを守るために立ち塞がるシラヌイ、それを見守るアリア……あれ?


 誰がこのタイミングで戦闘描写が入ると予想できただろうか。なお作者自身書くとは思わなかった模様。……戦闘描写ってこんなもんでしたっけ?

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